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「つまりだ、俺は確かにボーナスバルーンという役割を担うことに同意はしたけれども、だからといって俺が大暴れするような事態はどうかと思わないでもない。そこまで頑張ってポイントを稼ぐ必要が無い俺が、折角学園で一旗揚げようとしている一年生を始めとした学生たちをボッコボコにするだけのイベントなんて、流石にあんまりだろう?」
「でも私は大試さんが大暴れしてる所が見たいです!」
「見たいです!じゃねぇんだよ……」
ここ数日連続で昼にやって来ているこの校舎裏のちょっと薄暗い場所。
そこに、今日は彩音を連れてきてパンを食べている。
彩音は、どうやらクルミパンが好きらしい。
あの味が大して無いパンをおかずがある訳でもないのにどうしてそんなにおいしそうに、一番最初に選んで食べているのか……。
いや、もしかしてアレは特別美味しい奴だったり……ってんなわけ無いか。
単純に美少女が美味しそうに食べてるから美味しそうに見えるだけだわ。
まあいいけどもその辺りは。
「とはいえだ。確かに昨日の俺は、余りにやる気が無かったのは認めよう。流石に傍から見てどうなんだお前はと言われかねないレベルだったかもしれん」
「はい!活躍して欲しいです!」
「……活躍はともかくとしてだな……」
何でこいつは、こんなにも俺に難題を投げかけてくるのか?
やる気ある奴等の邪魔をせず、且つギャラリーたちが盛り上がる程度には見せ場を作れって事だろ?
難しいぞぉそれ……。
……ん?あれ?いや待てよ……?
「彩音、良い事思いついたかもしれない」
「良い事ですか?」
「うん。それで、一つ提案なんだけどさ、俺にも勝利条件くれないか?」
「勝利条件?」
彩音が首を傾げながら、2個目のクルミパンを手に取った。
いや、ちょっと待て……またクルミパン?クリームパンとかもあるぞ?
好きにしたらいいけども……。
「そう、勝利条件。ボーナスバルーンってだけだと、ただの美味しい獲物でしか無いんだろ?」
「そうですね。即死級の攻撃を放ってくるボーナスバルーンです」
「え?俺の反撃も普通にアリなのか?」
「はい!大暴れして欲しいなと!」
生徒会長が笑顔で言って良いことかなぁそれ……?
「とにかくさ、俺が何かを達成したら、俺の一人勝ちって事にして欲しい。勝利報酬で俺だけ1万ポイントで他の参加者全員0ポイントとか」
「それはとっても素敵ですね!友達として鼻が高いです!」
「待て待て。あくまで、『そう言う条件をボーナスバルーンが達成しちゃったら、最悪な事になる』っていう要素さえあればいいから、俺は勝利するつもりはないぞ?」
「えぇ!?大暴れしないんですか?」
「いや、大暴れはする」
「するんですね!?」
俺が大暴れするってだけで何でそんな嬉しそうな顔になるの?
今の君、どう見ても氷姫なんて異名つくような雰囲気じゃないよ?
ひまわり畑とかそんな感じ。
喜ぶところおかしくない?
可愛いから許すけども。
「要はさ、俺というクソ邪魔臭い奴を誰もが無視できないような状況にして、最終的には俺を全員でぶちのめそうと躍起になるくらいの状況になればいいなぁと思うんだよ」
「どういうことですか?」
「俺が仮にただのボーナスバルーンで、俺に有効打与えたり撃破すれば美味しい思いができるとしてもだ、ぶっちゃけ俺は簡単には倒されないだろ?」
「まあそうですね?私の友人ですから当然です!」
根拠として成立するのかそれ?
「そうなると、ある程度要領の良い奴らなら、俺なんて無視しておけってなるんじゃないかと思うんだよ」
「そうでしょうか?強い相手を見たら、腕試しに寧ろ率先して戦いに行くのが普通では?」
「そんな脳筋そこまで多くないと思うんだ」
確かにそう言う奴に心当たりあるけどさ……。
うちにも何人もいるし……。
特にリンゼなんかは、対戦で勝てないと「ムキー!」っとなるのに、最後まで絡んできそうだし……。
「でも、俺が条件を達成しちゃったら他の全員が新学期早々大きく躓くって事になれば、きっとかなり本気で俺を倒しに来てくれると思うんだよな」
「まあ、そうかもですね?」
「……分かってなさそうだが、続けるぞ?そんなこんなで、今年の桜花祭では、俺は魔王役になろうと思う」
「魔王ですか!?魔の王を自称するとは流石ですね!」
「役だからな?」
そう!
俺は、倒される事で物語が成立する存在になるんだ!
それならば、俺に活躍して欲しいと言ってくる奴らの期待に沿いながらも、撃破される事も許されるだろう!
とはいえ、そのためには本当に大暴れをしないといけない。
全員が俺を無視できないくらいの存在感を放ちながら、かといって桜花祭の進行が滞るような事にならない程度の破壊を行う!
悪役!とっても悪役だ!
プロレスで言えばヒールとかルードだな!
いやぁ、正義の味方よりそっちの方が今回は楽しそうな気がするぞ!
桜花祭を盛り上げるためにも、適度な大災害を実現しないとな!
その為には、どっかの義兄が勝手に新型を作り続けているあのシリーズの最新作を借りてくるか!
「ふふふ……楽しくなってきたな!」
「よふぁったへふ!」
「……なぁ、そのクルミパンそんな美味いの?もう3つ目だよな?」
「おいふぃいへふ!」
「そう……」
分けてもらったけど、やっぱりクルミパンはクルミパンだった。
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