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「ボーナスバルーンが何だって?」
「すふぃはへん」
「聞いてないなぁそんな話」
「すふぃはへん」
「何とか言え」
「いっへはふ」
会議が終わった後に、俺は俺を面倒な目に合わせようとしている下手人の両ほっぺを摘まみながら尋問をしていた。
何コイツのほっぺ……本当に俺と同じ人間の肌か……?
ツヤツヤすべすべふにふにで……。
まるで聖羅たちみたいだ……。
ちょっと涙目になって来たので放してやるか。
「で?」
「うっ……大試さんが活躍する所が見たくて……」
「活躍って……」
「だって言ったじゃないですか!何か手伝えることがあったら言えって!」
「言ったかもな?でも、結局手伝う内容を俺に伝えてなかった訳なんだが?」
「さっき言いました!」
「お前なぁ……」
「それに、大試さんあんまりやる気なさそうでしたし……」
「それは、まあなぁ……」
昨日のマッサージの後、俺は彩音に色々と世間話をしていた。
魔王様関連とか、相手が魔族だったとかは伏せた上で、「色々大変な事をやり切った上に、普通の人生を送っていたらある程度ゴールみたいなことをしたから、なんか燃え尽き症候群みたいな感じなんだよなー」的な感じで。
だってさぁ、操られていたとはいえ、魔王を倒したんだぞ?
もうこれRPGだったらゲームクリアでしょうよ。
RPGあんまりやってないからイメージでしかないけども……。
隠しボスとか後から出てくるもんなのかな?
魔王の後に魔神王とか竜神王とか。
ぶっちゃけると、俺は学園の成績どころか、王都での評判だってどうでもいいんだ。
聖羅たちと生きるこの世界で、俺の大切な人たちと幸せに生活できるならそれで。
そして、生活する場所は開拓村周辺になる予定なので、モデルになったというゲームみたいに魔族が攻めて来たりだとか、戦争が起きたりだとかが起きないようにかなり安全になって来た今となっては、この王立魔法学園3年生という短い期間だって、既に消化試合みたいなものになってしまっている。
もちろん、身内の皆と学生生活をするのは楽しいし、彩音も含めて色々通う利点はあるけれども、絶対に好成績を残さないとなぁと思う程でもなくなってしまったんだ。
だって!俺がどう頑張ったって魔術の試験はほぼ0点だし!
学科試験だって毎回頑張ってるけど、ゲームでネームドキャラだった奴らの記憶力や情報処理能力が半端なさ過ぎて太刀打ちできねぇもん!
俺一応これでも身体能力が上がるって部分で脳の機能も上がってるはずだから、前世よりは好成績な自信あるんだけどなぁ!?
とまあ、そんな感じでグチグチ言っていたのを聞いて、「こいつやる気ねぇな?」って彩音には思われたんだろう。
だからって、俺をボーナスバルーンにするなんて……。
「因みにさ、ボーナスバルーンって言うけれども、実際に何をやらせるつもりなんだ?アドバルーンでも背負って走り回ればいいのか?」
「いえ、そんな事は考えていませんよ?というか、大試さんが嫌でもやる気出る状況に出来ればなと思って決めただけで……へにゃ!?いふぁいへふ!」
「お前なぁ……!」
またすぺすべぷにぷにの頬っぺたをつねって引っ張って放してやった。
「はぁ……。まあいいや。実際にやる気なかったのは事実だしな」
「ですよね?私にはわかっていましたよ!友達ですから!」
「……」
今問題にしているのは、勝手に変な事決めてしまった事であって、俺のやる気がどうこうでは無いんだけどなぁともう一度頬っぺたを何とかしてやるかと思ったけれども、なんかもう面倒だから見逃してやった。
「とにかく、俺はそのボーナスバルーンをやることは了承した。だけども、それ自体が何なのかって所がまだフワフワしすぎていて、何をしたらいいのかいまいちわからない。そこを詰めていくぞ」
「はい!」
「つっても、直ぐに朝のホームルームだし、相談は昼休みにするか」
「昼……休み……?」
「え?何でそこで驚愕の表情になる?」
「だって……昼休みに2人で会うなんてそんなの……」
「とっても友達っぽいじゃないですか!」
「そうなんだろうか?」
俺は俺でそんなに友達がいたことが無いので、よくわからないです。
でも、多分そこまで大層な事ではないと思う……。
「因みに、彩音は普段昼食はどうしているんだ?食堂で食べてるのか?」
「え?あんな人がいっぱいの所で1人で食べたくないので、最近はいつもここで食べてますよ?」
「生徒会室でか?そうか、言われてみれば生徒会長ならここで飯食っても許されるだろうし、混まないから便利かもな」
「ええ、本当に生徒会長になって良かったです」
「……流石にそれは、歴代の生徒会長が聞いたら嘆きそうな喜びポイントだけれども……」
まあでも、ボッチの人間にとって昼休みに安心して過ごせる場所が校舎内にあるってのは、とても嬉しい事であるのはよくわかるがな。
勉強しっかりした後にFPSやったら中々勝てなくて夜中までやっちゃって、次の日眠くて昼休みに机に突っ伏してうとうとしてたら、「コイツっていっつも寝てね?この席で話す時席空けてくんねーからマジ邪魔なんだけど」「やめなって、多分寝たふりで聞いてるよ?」って声が聞こえた瞬間から、俺はあの教室を危険地帯と認識していたし……。
うん、彩音に優しくしてやらないといけない気がしてきた。
「パンで良ければ一緒に食べるか?奢るぞ。それとも弁当でも持って来てたか?」
「チャイムと同時にダッシュで食堂に行って、そこで持ち帰りのお弁当を買って生徒会室へっていうのが最近の流れでしたけれども、パンも悪くないですね!」
「なら売店でパン買ってから合流するか」
「場所はどこにします?生徒会室は友達が昼休みにご飯食べる所っぽくないですよね?」
「うーん……実は最近ちょっと連続で行ってる場所があるにはあるんだけどなぁ……校舎の裏の方で……」
「なんだかマンガでクラスになじめない2人がこっそり非難する場所っぽくていいですね!そこにしましょう!」
「彩音がそう言うならそうするか……」
道草食いに来る奴らがいたらまた煩くなるんだろうなぁ……。
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