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「朝から呼び出して御免なさい。でも、とても大切な案件だって事は、皆分かってくれるわよね?」
朝7時50分。
まだ一般の生徒は、殆ど校舎にやってきていない時間帯だ。
運動部の一部が、朝練のためにいるくらいか?
そんな時間に、俺達は生徒会室にいた。
この学園の生徒会は、中々に権力を持っている。
OBには当然のように大物貴族がゴロゴロいるし、今の生徒会メンバーだって高位の貴族家出身者が多い。
更に、王立魔法学園の生徒会にいたというだけでも貴族社会ではステータスとされるので、卒業後の就職なんかでもとても有利だ。
そんな奴らがメインで使ってる部屋なので、当然広い。
俺の前世で通ってた学校にあった生徒会室は、広さ的には音楽室の隣にある準備室みたいなこじんまりとしたものだった。
それが、この学園の生徒会室ときたら、普通に会議室みたいな広さがあって、更にそこで使われている家具類もとても豪華だ。
机は、一応折りたたみのものなんだけれども、明らかに高級で頑丈だとわかる骨太さとツヤツヤ感がありながら、特別重いという訳でもない不思議アイテムだし、椅子もローラーが脚についているオフィスチェアの形でありながら、座るとフワっと体を包み込んで受け止めてくれる。
少人数で利用する時用のソファーなんて本革でツヤツヤだし、机はマホガニー……っぽい見た目だけど、これ実はトレント材製だな。
このように、アホみたいに金がかかった生徒会室で、生徒会のメンバーが雁首を揃えていた。
生徒会長の彩音に、副会長の真面目そうな顔して褌勧めてくる変な女子と、弟ラブな漫画を描く予算を勝手にとりつけて何とかしようとしているルイーゼの2人。
更に、バカ男子4人組や、彩音と生徒会長の座を争った占い女子なんかもいる。
え?名前?ごめん忘れたわ……。
さて、何で正式な生徒会メンバーじゃない俺がここに居るかといえば、俺は現状生徒会のお手伝いさんというか、現生徒会を後援したパトロン的存在なため、彼女たちが何かやらかした場合に責任を取らされかねないからと、しりぬぐいをしなければいけないからだ。
ぶっちゃけると、水城が生徒会長だったころと、あまりやることが変わっていない。
「私は、今年度の桜花祭の内容を今までの物とは全く物にしようと考えています」
彩音のその宣言を受けて、それぞれがそれぞれの反応を返す。
驚いている者。
納得顔の者。
俺が一応用意した間食用のパンを食ってるだけの者。
纏まりが全くないけれども、まあ皆優秀なハズだし大丈夫だろう。
だって、ゲームのネームドキャラたちが殆どだもん。
「今回は、1年生の主席がダントツの好成績をとってしまい、それと比較して2位以下の生徒たちの成績が数人、ほぼ似たような物という状態になってしまっています。更に、主席の涅さんが主将を辞退してしまった為、次の候補者を決めるのに困っていました。そこで……」
彩音が、背後に置いてあったホワイトボードの板面を裏返した。
するとそこに、達筆な文字で『チームサバイバル』と書かれていて、その下には丸っこい絵で2足歩行のウサギが描かれていた。
まあ、そのウサギは今回の議題とは何の関係も無いんだけれども、彩音が勝手に描いただけだ。
「今年度の桜花祭では、学年関係なく任意のメンバーでチームを組んで戦うこととします!」
ドーン、って効果音が付きそうな勢いで彩音がそう発表すると、またまたそれぞれがそれぞれの反応を返す。
驚いている者。
感心顔の者。
俺が一応用意したオレンジジュースをごくごく飲んでるだけの者。
後であの男子4人組にはちょっと食費わけてやるか……。
あまりにもあんまりだろう……。
「チームメンバーは、任意で決めてもらう事になっていますが、中には上手くチームを組めない方々もいるはずですので、そういう方々の受け皿として、寄せ集めチームも用意します。こちらの主将は、有栖さんにお願いしていますが、そういう性質のチームが2つ以上あっても問題は無いので、良い候補者を思いついた方は教えて下さい」
この寄せ集めチームは、俺と彩音というコミュ障コンビが絶対必要だという事で考えたものだ。
だって、チーム分けってコミュ障にとって超危険なものだし……。
「……あ、念の為、恐らく皆さんは自覚していると思いますが、生徒会メンバーは運営側として参加することになるので、チーム分けは必要ありません。それぞれの仕事の担当分けは、今日中に作成して通達しますのでお待ちください」
これは、昨日の時点で彩音は分かっていなかったことだ。
自覚していると思いますが……じゃねぇよと。
俺が教えたことを最初から知ってましたと言わんばかりに胸を張って言うその姿はちょっとかわいいけども。
とまあ、つまりは桜花祭に関して、例年から大幅な変更がありますよって言うお知らせのためにちょっと早めに登校したんだ。
ぶっちゃけ俺がここに居る必要なんてほぼないはずなんだけれども、これだけネームドキャラが集まっているんだから、そうなるとゲームイベント的なトラブルも起きやすいだろうし、実際に起きた場合被害が大きくなりそうなので、尻ぬぐい役としては出席せざるを得なかった。
……彩音からのメッセで、「絶対来てくださいね」と何度も送ってこられたからってのもあるけれども。
ちょっと忙しくて数分既読無視しただけで「もしかして、嫌でしたでしょうか……?」なんて半泣き状態で電話をかけてくる困ったちゃんだけども、まあ俺が生徒会長に押し上げちゃった以上責任もって手伝いくらいはしてやるさ。
とはいえ、俺の立場的に、そこまで面倒な事を押し付けられる程前に出ることも無いだろうから、気楽っちゃあ気楽だよなぁ。
「そして、新たに大きな特徴として、ボーナスバルーンを用意しました」
ん?そんな話聞いてないぞ?ボーナスバルーン?
「チームごとに活躍に応じてポイントを配り、その最終的な合計ポイントで順位を競う予定ですが、ボーナスバルーン役の生徒に対してだけ、有効な攻撃や撃破をした際のポイントが100倍になるように設定しましょう!」
あれか?クイズ番組の最後の問題でアホみたいにポイントとかスーパー魔王くんを渡して行くやつ。
あれ、途中まで勝ってた奴らは、表には出さないかもだけど面白くなさそうだよなぁ……。
「生徒会メンバーは、実戦に介入することはできないので、今回は犀果大試さんにボーナスバルーン役をお願いすることにしました!はい、皆さん拍手!」
彩音が笑顔でそう告げると、またまたまたそれぞれがそれぞれの反応を返す。
驚いている者。
やっぱり……って顔の者。
俺が一応用意したコーヒーまで飲み干そうとしている者。
そして、突然何の説明も無く告げられためんどくさそうな仕事に唖然とする俺。
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