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「フハハハハハ!!!みろ!!!筋肉が筋の1つ1つまでしっかり動きを制御できているぞ!!!やはり私の考えは正しかった!!!」
「おい」
「煩い!後にしろ!そしてこの魔力量!未だ私にはそれを完全に制御する事叶わんが、それでも十分だろう!闇魔術がここまで有用だとは、魔王軍の幹部共でも知らない筈だ!!!何故なら私も知らなかったのだから!!!フハハハハハ!!!」
「おい」
「黙れ!死にたいのか!?去れ!!!私は!!!この力で世界を手に入れるのだ!!!魔族の領域だろうと!!!ニンゲンどもの領域だろうと!!!私の前にひれ伏すのだ!!!」
「おーい」
「しつこいぞ!!!どこかへ行け!!!5分もすれば私の事を忘れるはずだ!!!」
ふむ……。
正直、この反応は想定外だった。
話しかければ、何らかの激しめの反応をしてくるもんだと思ってたんだけれども、まさかここまでスルーされるとは……。
これも、魔王様の体を乗っ取っているという余裕から来る物だろうか?
仕方ない。
本人には嫌がられるだろうけど、ダシに使わせてもらうか……。
「あ、ファムのパンツだ」
「なにぃ!?ファム嬢のパンティだとぉ!?どこだああああ!?!?」
「思ったより反応してキモイな……」
おっと、反射的に口から本音が出てしまった……。
「おい!!!ファム嬢のマッスルトレーニング直後の脱ぎたてホカホカちょっと湿りパンティはどこだ!!!!」
「しらねぇよ……」
「な!?貴様は!!山田太郎!!!!!!」
「え?山田?」
何で山田?
山田……あ、そういや俺、コイツにそう名乗ったんだっけか?
どうでもいいから忘れてたわ……。
「山田ァ……山田山田山田山田山田あ!!!!貴様を!貴様をこの手でネジ殺すために私は蘇って来たぞ!!!」
「あ、そうそう。そこが聞きたかったんだよ。お前今どういう状態なんだ?」
「フハハハハハ!!!怖いか!!?いいだろう!教えてやる!!!私の天才的な発想によって実現したこの最高の闇魔術を!!!」
なんか、労せずして説明してくれるっぽくて助かる。
今すぐぶん殴りたいくらい声がデカくてウザいことを除けば。
「貴様に倒される前の話だ。私は、ある真理に辿り着いていた」
「はぁ」
「『脳筋』という概念を貴様は知っているか?」
「知ってるけど」
「脳まで筋肉!そんな存在がこの世界にはいるのだ!それはつまり、筋肉には、脳細胞に匹敵する思考能力が存在するという事!」
「そうかなぁ……」
「だが、私にそんな特殊な身体能力など存在しなかった……」
「だろうな」
「しかし!私には闇魔術があった!忘却のレーテーと呼ばれた私だが、その忘却こそが闇魔術だと知る者は少ない!」
「忘れられるんだもんな」
「煩い!私が忘れさせているのだ!」
忘却されるレーテーだもん。
ファムからも忘れられてたし。
「闇魔術といえば、貴様なら何をイメージする?」
「知るかよ」
「そう!ネクロマンシーだ!」
「…………」
落ち着け俺……。
殴ったらダメだ……。
もう少ししゃべらせろ……。
「死体を操る魔術!霊を操る魔術!まあ色々ある!そこで私は考えたのだ!『筋肉に自分の霊を憑りつかせればいいのでは?』と!」
「何がいいのかわからんが……」
「結局実験もしていない不確かな状態だったが、貴様に消滅させられた時に咄嗟に発動したのだ!『筋肉霊術』をな!」
「そんな汗くさいネクロマンシー聞いた事ねぇよ……」
「臭くない!フローラルなハズだ!」
「どこに反応してんだよ……」
「とはいえ、だ。中途半端な者相手に憑りついた所で私の力を発揮することはできないだろう。だから、吟味に吟味を重ねたぞ。最初は、この国の王にしようかとも考えたが、どうにもニンゲン相手だと上手く成功しなかった。だから強大な魔獣でもいないかと考え王都周辺をウロウロしてみたが、雑魚しかいない!そんな折、私は見つけたのだ!最高の素体をな!!!」
「カレー屋の店主か?」
「魔王様と呼べ!不敬だろうが!!!」
「その魔王様に憑りついてるっぽいお前が言うな」
一番不敬だろ。
魔族の男に『憑りついてもいいですか?』って聞いて、『いいよ』って答えるオッサンがこの世界にどれだけいるんだよ。
大抵は気持ち悪がられるぞ。
「憑りつく先を決めたのはいいが、しかし簡単には行かなかった!抵抗力が半端なくてな!そんな折、一瞬だけその抵抗力が弱まったのだ!!」
「へぇ?それはちょっと気になる」
どんなタイミングだと、霊的なものに憑りつかれやすくなるのかとか知りたいわ。
「娘であるエリザベート嬢に『パパ嫌い!』と言われた時だ!」
「あぁ……」
それは弱るわ……。
「私は、すかさず憑りついた!そこからは地道に憑りつき範囲を広げていき、1週間ほど前に、ついに筋肉の自由を奪うことに成功した!筋肉さえ手中に収めてしまえば、全ての行動は我が思いのままだ!」
「成程な。出力ってのは基本筋肉で行われるからな」
「よくわかっているじゃないか!今の私は、筋肉で考え、筋肉で動いている!!!筋肉と魔力の塊であるこの魔王様の体を使ってな!!!!控えめに言って世界さいきょぶべっ!?!」
魔王様の顔面にめり込む木刀。
知りたい情報は、大体手に入れた。
その上で、何となくの対処法も考えた。
後は、ストレスの赴くままにボコるだけだ。
「き、貴様ああ!!!人が話している時に暴力を振るうなんて何を考えている!」
「どこまでボコったらお前がその体から出てくるか、かな?」
「悪魔か貴様!?」
そんなことは無いが。
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