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レーテー……。
レーテーなぁ……。
どうしよう?
頭の中で必死に検索しても、全くヒットしない。
エッチなネタが含まれていない英単語くらい難解だ。
SとEとXが含まれているだけで簡単に覚えられるんだけどなぁ……。
高校受験前、1人でそんな感じで勉強してたわ……1人で……。
あ、危なかった。
今一瞬、世界も魔王もどうでもいいから焼き払っちゃおうかなって思ってしまった。
これが暗黒面か……。
まあ、この世界に転生してからは、前世では想像すらできなかったくらい幸せな生活を送れているんだけども?
ふはは!
但し、休暇は殆ど無いものとする。
「ファム、10秒くらいでいいから、頭を撫でながら俺の事を褒めてくれないか?」
「え?嫌にゃ」
「頼む」
「なんかヤバイ気配するから嫌にゃ」
「ウチがやってあげよっか?」
「頼む」
「うん!」
ああああああ……美少女に頭を撫でられながら褒められるだけで世界に肯定されている気がするぅ……。
「よし、何とか魔王様を救おう!」
「うん!絶対パパを助けないと!」
「女に頭撫でられただけでどうしてここまでやる気出るニャ……?」
理由?男だからだよ?
「ただ、やっぱり魔王様がどういう状態なのかわからない事には、こっちも対処しにくいよな」
「やっぱりフクロ蟲かにゃ?」
「いや、例のフクロ蟲らしきものは浮かんでないだろ?」
「新種の可能性はないニャ?」
「自分にわからないことを只々今まで世の中になかった事柄であるって片付けるのは、非常に危険だぞ?何でもかんでも特質系って言っちゃうようなもんだ」
「なんにゃ特質系って?」
「ただ、もちろん新種の何かである可能性を捨てるのもダメなんだけども」
「え!?なんで特質系について流したニャ!?」
俺に考えられる予想としては、今の魔王様が置かれている状況は大きく分けて2つだ。
寄生されて洗脳されているか、魔術的なもので操られているか。
寄生されているんだとしても、体内に本体がいるのか体外にいるのかで大分話は変わってくるし、魔術的なもんだとしたら、もう殴って正気に戻らないか試してみるしかなくなる。
いや、寄生されているんだとしても、やっぱり殴って正気に戻す方法は試さないといけないだろうけども……。
あれ?寄生虫って聖羅に何とかできるんだろうか?
多分できると思うけど、もしかして体内の寄生虫が体外に……。
色々想像すると怖くなったので、俺はそれについて考えるのを止めた。
「レーテーってのは、個体名なんだろうか?」
「どうだろうにゃ……」
「魔族って、他人に寄生する奴はいるのか?」
「さぁ……少なくとも、ニャーは見たこと無いニャ。他人に寄生するように生きてる奴はいっぱいいるけどにゃ」
「居間で日がな一日煎餅齧ってる奴とかな」
「ニャハハ」
「笑い事じゃねぇからな?」
「でも、どっかのだれかが案外そんなニャーの姿にヤレヤレって思いつつ、ちょっと興奮したりしてるって分かってるんだけどニャ」
「……」
ノーコメントとする。
「とりあえず、確認するぞ?俺達に今できる現実的な対応としては、とりあえず魔王様を殴ってみるか、とりあえず魔王様を焼いてみるか、とりあえず魔王様を刻んでみるか、とりあえず体勢を立て直すために撤退するかのどれかだ」
「ボス、魔族のニャーでも流石に引くにゃ」
「ねぇ大試……もう少し優しい方法無いの……?」
「無いとは言わないけども、あの魔王様が乗っ取られるような状態になってる相手だぞ?油断してたら、こっちだって危ない。そう言う意味では、遠距離から焼き払うのが一番安全で確実ではあるんだけど……」
だってなぁ、寄生虫の一番厄介な所って、やっぱり感染するって要素だろうしなぁ……。
感染しないってわかってるならともかく、感染する危険性があるなら、少なくともファムとエリザを患者に近づけたくない。
俺だって近づきたくはないけれども、最悪俺だけなら、感染してそうな場所をセルフで斬り捨てる感じで処理もできるし。
「でも、それだとパパが!」
「うん。だから、とりあえず対話してみようと思うんだわ。あの得体のしれない寄生者に」
「はぁ!?対話って、あのレーテーとか名乗ってる変なの相手にニャ!?」
「そうだ。ファムのファンっぽいレーテーとか言う変なの相手にだ」
「正気じゃないニャ……」
「でも、魔王様を助け出すヒントが出るかもしれないだろ?独り言で自分の名前をぽろぽろ漏らすような奴っぽいし」
「かもしれないけど……あーもうわかったにゃ!もしボスが変な感じになったら、問答無用で聖羅のとこ連れてくからにゃ!?」
「頼む」
実際、ファムがテレポートで聖羅の所に直送してくれるのは、この得体のしれない奴を相手にするときには頼りになる。
場合によっては、命綱だ。
「でもでも……大試は大丈夫なの?怖くないの……?ウチ、大試が変になっちゃうのもヤだよ……」
俺が傷つくことを美少女に心配されるなんて、なんて幸せな世界なんだろうか……。
また世界に肯定されている気が……!
「まあ、心配するなって。何となく、相手の正体に気が付いてきたからさ」
「ホントにゃ!?」
「そうなの!?」
「うん。っていうか、エリザはともかく、ファムは何で思い出さねぇんだよって不思議なくらいなんだけども……」
「ニャ?」
不思議そうに頭と尻尾を傾げている猫耳メイドと、不安そうにしているギャルをその場に置いて、俺は魔王様の所へと向かう事にした。
レーテーってさ、今更思い出したけども、マッスル部の合宿の時に倒した魔族だったような気がするんだよなぁ……。
ファムのファンの魔族って検索条件でヒットしたわ……。
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