800:
いつも読んでいただいてありがとうございます。
800話まで来ました。
びっくりですね。
事態が事態なので、エリザも伴って魔王様を探すことにした。
エリザ曰く、カレーのスパイスを無駄遣いできないので、今はランチ営業に絞って開店しているらしく、俺達がさっき食べ終わった段階で店を閉めて、自分流のスパイス研究をしていたそうで、問題なく一緒に来てくれることになった訳だけども……。
「え!?パパが女の子に!?」
「いやいやいや!多分ないと思うけども、そう言う話がさっきでたってだけで!」
「あれ?そうなの?それはそれで楽しそうだったのに……」
「楽しくないニャ……恐ろしいにゃ……」
「ムキムキおっさんのTS美少女化とか誰が喜ぶんだよ……」
と、ひと悶着あったりもした。
こいつ……やっぱり魔王の娘にして、選択肢によっては将来の魔王だった存在だけあって、考え方がぶっとんでやがる……!
「それでどうやって見つけるの?」
「今の魔王様は、いつもより魔力操作が御座なりというか、雑らしくて、見つける事自体は簡単らしいんだけどもな」
「そうニャ。そこは心配ないにゃ。ただ、それ自体が心配なネタでもあるからにゃあ……」
「なんでいきなり魔力操作の仕方が変わったのかとか、魔力が変質しているのかとか、不安材料が多すぎるんだよな」
「で、寄生されてるんじゃないかって話になったにゃ。ニャーがフクロ蟲って寄生蟲の事を思い出して、ボスが色々知識と想像で肉付けしたら、とんでもない事になったニャ」
「そうなんだぁ……で、パパが女の子になるんだね!」
「「ならねぇって(にゃ)」」
「そっかぁ……」
何で残念そうな顔になるんですかねお姫様さぁ……。
「じゃあ、さっさと行くニャ?」
「そうだな……。あんまり近いと見つかりそうだし、ある程度距離ある場所に飛んでくれ」
「うーん、そうなると、50mくらいは離れてた方がいいと思うニャ。普段だったら100mでも見つかりそうだけど、今のあの魔力垂れ流しって感じだとそれも無さそうにゃ。原因はわからないけどかなり魔術がへたっぴになってるっぽいしにゃあ……」
「俺には、その辺りの事全くわからないから、ファムに任せる。どうせ確かな事は何もわからない状態なんだから、後は野となれ山となれだ。最悪、俺が盾になってる間に2人は逃げてもらえばいいし」
「わかったニャ。まったく悩まずボスを置き去りにして逃げるにゃ」
「良い度胸だなお前。エリザ、こいつピンク色のフリフリパンティなんていう可愛いの履いててめっちゃ良」
「にゃあああああああああ!ぶっころしてやるにゃああああああああ!」
「まて!分かった冗談だ!初手で殺そうとしてくるな!」
「あはは!仲いいね2人とも!」
本日何度目になるかわからない取っ組み合いを一通りして、俺達は魔王様がいるらしい場所へと飛ぶことにした。
そうして、テレポートした訳なんだが……。
「森の中……?」
「そうにゃ。すっげー森の中ニャ」
「こんな所にパパがいるの?」
「反応からするとそうにゃ」
俺はてっきり、もっと何か悪事をするような秘密基地的な所かと思っていた。
最悪、王都近郊に魔王城(仮設)が出来ちゃってるんじゃないかと。
でも、流石にこんな森の中だとは思ってなかった。
人が入ってくることなんてまず無さそうな場所なんだけども……。
うわぁ……。
樹の密度が高い上に、その間を硬い笹が埋めてる……。
普段だったら絶対入りたくない場所に立ってるわ俺……。
こういうとこって、歩きにくい上に蜘蛛の巣とかダニとかつき放題なんだよなぁ……。
「で、魔王様はどっち方向にいるんだ?」
「あっち側だと思うけど、誤差はあると思うニャ」
「あっちにパパが……あれ?なんか変な臭いする?」
ファムが指さした方向を向いて目を凝らそうとしたら、エリザの言う通り変な臭いがしてきた。
なんていうか、バーベキューでもやっているような臭いと、苦い薬を作っているような臭いが混ざったような、非常に形容しがたい臭いだ。
「とりあえず、自然に発生する臭いでは無さそうだし、魔王様がいるのは間違いないんだろうけれども……」
「何やってるのか一気にわから無くなったニャ……」
「カレー作ってるとか?」
「こんな臭いするカレー嫌だろ」
「カレーは不味いともう一杯なんて思えない料理だしにゃ」
「でも、カレーってお薬としての効果もあるんだよ?」
「あー……いや、俺はカレーにそんなもん求めてないし……」
「まあ、カレー食べた後はお酒飲んでも酔いにくいのはわかるにゃ」
「それ偶に聞くな。母さんたちもそう言ってたし」
「そうニャ。今度試してみるにゃ?高い酒買ってくれたらニャーが実験台になってやるにゃ」
「わかった。度数が高い酒買ってやる」
「値段が高い酒にするにゃ!」
臭いがヤバすぎるせいで、現実逃避がしたくてしょうがない俺たち。
しかし、これ以上は現実を直視しない訳にもいかないと心に鞭を打って、魔王様に気が付かれないよう50mくらいまで近づき、様子をうかがう事にした。
「これは……」
「え?何やってるにゃあれ?」
「お料理?」
「料理は料理だろうけど、あれは……」
そして木々の隙間から見えた魔王様は……。
「燻製作ってんな……」
「「燻製?」」
お手製っぽい燻製機の前でニヤニヤしながら何かをメモしていた。
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