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「……………………お、落ち着こう!一回落ち着こう!」
「そうだにゃ!?落ち着くニャ!」
魔王様がとんでもない事になっていそうだという悪い予想をしていたら、別方向にとんでもない事になっていそうだと想像してしまった俺達。
お互いの正気を保つために無駄に握手したり肩を組んだり、ハグしてみたりを繰り返した。
それ自体が、相当混乱している故に行われたことだろうと後から冷静になるとわかるけれども、それが理解できない程混乱していたんだからしょうがない。
「俺が言ったのは、あくまでフクロムシって言う寄生虫の話だ。フクロムシにだって種類はあるだろうし、そもそもカニやエビに寄生する生物だから、魔王様に寄生している可能性は低いと思う!」
あのオッサンが、カニやエビの特徴を取り入れて生み出された魔族だとしたら話は変わってくるけれども、少なくとも見た目からしてそんな要素は皆無だ。
「え?そうなのニャ?ニャーは、フクロ蟲は魔族や人間にも寄生するって聞いたにゃ」
「はえ?」
え?ちょっと待って?
それだと話は大分変ってくるよ?
怖いよ?
この世界のフクロムシって、ホラーの住人じゃない?
とはいえ、ここは俺の知っているフクロムシがいた世界とは別の世界。
この世界においてフクロムシとは、人に寄生してメスにする生き物である可能性もある。
怖い……怖いが、確認は必要だ。
気が付いたら周り全員フクロムシにメスにされて、フクロムシを産むためだけの存在にされてたら嫌だし……。
「ファムが知ってるフクロムシのってどんなんだ?小さいエビやカニじゃなくて人間に寄生するって事は、ある程度大きいのか?」
「ん~とにゃ……フクロ蟲は、ニャーが知っている奴だとこんなんにゃ」
そう言ってファムがメモ用紙に絵を描いていく。
なんか、全体的にめるっこい絵で可愛いかもしれない。
そして完成したのは、風船を持っている子供を描いたような絵だった。
「なにこれ?」
「この部分がフクロ蟲にゃ」
「……どの部分?」
「だからここニャ!この風船みたいなの!」
「ん…………ん~…………!?」
うん、俺のイメージするフクロムシとは全く違ったらしい。
「浮いてんの?」
「そりゃ浮いてるニャ。空中に浮かぶ袋みたいな蟲だからフクロムシにゃ」
「へぇ……」
「下に伸びてる触手を生き物中枢神経に突き刺して体の自由を奪うらしいニャ。でも、空中を漂ってるだけで、自由に飛び回れるわけじゃないから、簡単に殺されちゃうせいで順調に絶滅危惧種になってるにゃ。まあ、絶滅した所で誰も困らないと思うけどニャ」
エグイ……。
エグイけど……。
どうしよう?雌にされて人外生物産むための機械にされるよりはまだ尊厳は失わないかもしれない……。
「あの風船部分は、浮くガスが上の方に詰まってるニャ。それ以外の部分は、ちょっとの内臓と卵にゃ。触手から卵を獲物の神経に送り込んでくるから、一回触手突き刺されたら上位の回復魔術とか解毒魔術かけてもらわないと、一生お尻から風船出す生活を送ることになるらしいニャ」
「思ったよりヤバかった。絶滅させようぜそんなもん」
「魔族の領域でも、見つけ次第消し飛ばされてたにゃ」
だろうな。
俺でもそうする。
「よし、とりあえず化け物フクロムシの事は置いておこう。ただ、フクロムシによる寄生じゃないとしても、別の生物に寄生されているって可能性はあると思うんだよな。フクロムシに寄生されたから魔力が変質するんじゃなくて、そもそも寄生されることそのもので魔力が変質するのかもだし」
「でもにゃあ……魔王様が寄生されるなんてよっぽどだと思うニャ。しかも、思考にまで干渉できるくらいってなると、それこそすぐに根絶やす勢いで狩らないとヤバイ生物にゃ」
「まあなぁ……」
あのオッサンは、テレポートを魔力の多さによるゴリ押して成立させる化け物だ。
まあ、魔力の多さだけで言えば、エリザの方が最近は多いらしいけれども、その魔力を扱う能力で天と地ほどの技術差がある。
リンゼに言わせれば、魔王の魔力操作を例えるなら、ナイアガラの滝を自分好みの流量に逐次調整するようなもんらしい。
うん、さっぱりわからん。
そして、そんな高魔力が渦巻くオッサンの体に寄生するってことは、その高魔力に耐性があるってことだ。
どうやったら駆虫できるんだろうなぁ……。
まあ、まだ寄生虫と決まったわけでもないんだけども。
「まあ、何はともあれ、とりあえず探してみるか。んで、俺達が魔王様について何かを探っているっていうのを本人に悟られないように行動した方がいいと思う。つまり、ちょっと離れたところからコソコソと観察したい。魔王様から直線距離で100mくらいの所にテレポートってできるか?」
「うーん……やっぱり魔力が多すぎてよくわからんにゃ。もう少し離れたところに飛んでから、徒歩で近づく方が確実だと思うニャ」
相手の索敵能力がどんなもんかもわからんし、突然近くまで飛ぶのは危険か……。
「じゃあそうするか。すぐにテレポートしてもらえるか?」
「いいけど、流石に魔王様相手にスニーキングミッションとか危険すぎるから、ボーナスが欲しいニャ」
「ボーナス?どんな?」
「…………新しいパンツが欲しいニャ。ボス的にニャーに似合いそうなもんを選ぶニャ!ピンクのフリフリだって自信あったのに笑われたし、ニンゲン社会の流行りを教えるにゃ!」
は?何言ってんだお前?
「一応言っておくが、俺が文句言ったのは、パンツをあけっぴろげにしていたその酷い行為そのものにだぞ?ファムの体はラインが素晴らしいし、パンツなんてある程度良いのであればどれでも似合うだけの美しさがあると俺は感じてる。さっきのガサツなポーズから段々顔を赤くして乙女チックなポーズになっていく一連の流れは、できれば動画で撮影しておきたかったくらい素晴らしい物だった。だから、別にお前にピンクのフリフリパンティが似合わない訳じゃない。とはいえ、下着を選べというなら選んでダース単位で買ってやる。お勧めは競泳水着だ。なに?水着は下着じゃないだと?下着として水着を使っちゃいけないなんて法律はないだろ?逆に、パンツじゃなくて水着であれば、見られても多少は倫理的にもマシなんじゃないか?だからってあの横になって脚広げながら煎餅食べるのは拙いと思うけどな。お前は、自分の美人さをもっと認識すべきだ。そのツラとその体でパンツを見えるようにされたら、健全な思春期の男子は、俺みたいに鉄の理性でもない限り暴走しちゃうのが当たり前だ。だからこれからは意識を入れ替えてほしい。お前は、エッチだ。良いな?」
「なんか早口が気持ち悪いニャ……」
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