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「正直、エリザお嬢様をエリザベートって呼ぶ状態の魔王様の行き先なんて、全く思い浮かばないニャ。それはもう、全く違う生物みたいなもんだにゃ」
「やっぱりか。じゃあ、どうやって探したもんか……」
「ふん!ニャーは確かに行き先が思い浮かばないって言ったけどニャ、見つけられないとは言ってないにゃ!」
「え?見つけられるのか?」
「当たり前にゃ!これでも魔王軍幹部だったんだからニャ!」
「魔王軍幹部ってすごいんだなぁ」
「ニャハハハ!」
先程俺にパンツを凝視された事など忘れたかのように大きく笑う猫耳メイド。
ただ、顔は未だに赤いし、スカートを両手で押さえながらソファーに座っているその様は、逆に弄れと言っているかのようにさえ見えた。
まあ、流石にそんな事をしたら、泣きながら暴力に訴えて来そうなのでしないけども……。
「それで、どうやって見つけるんだ?」
「ニャーは、知ってる相手なら魔力で場所を特定できるニャ」
「すごいなそれは……揶揄ってみようかとも思ったけど、それすらできないくらいすごい……」
「何で揶揄いから入ろうとするニャ……?まあでも、何となく……程度だけどにゃ」
「それでも何もないよりはマシだろ。俺なんて、地面に顔近づけて臭いで辿れないかなぁとか考えてた程度だぞ。因みに、流石に時間たちすぎてて無理だった」
「もうちょっとカッコいいやり方思い浮かばないのニャ……?って、実際にやろうとしたのにゃ!?」
カッコいいやり方?
無いです。
あとはもう、AIメイドたちに頼んで王都中のカメラとかから割り出してもらうくらいしか思い浮かばない……。
「そういや、魔王様がエリザを探すように頼んだ相手もファムだったもんな」
「そうニャ。ニャーがその気になれば、気に入らない奴の所に爆弾送るのだってカンタンにゃ。魔族がそんな狡いやり方好まない連中でニンゲンどもは幸運だったニャ!」
「ありがとうなぁファム。おかげで、お前のパンツの写真をネタに無理やり大人しくさせる必要も無くなった。流石に爆弾ぽこぽこ送ってこられるのは怖かったからな」
「写真撮ってたにゃ!?スマホ寄越すニャ!ぶっ壊してやるニャ!」
「わー嘘だ!撮ってない撮ってない!」
またもや醜い口論……っというか取っ組み合いを経て、お互い冷静になってから、何一つ解決していない問題へと向き合う事にした。
「ハァ……ハァ……で、魔王様は今どこにいる?」
「ニャ……はぁ……後で覚えてろニャ……。えーっと……うーん……にゃあ……?」
顔を赤くしながら忌々し気にそう言った後に、何かを念じるようにしながら呻き始めたファム。
その姿を見ていたら、どんどんと表情が険しくなっていった。
間違いなく、良い反応ではない。
「どうした?問題発生か?」
「いや……うーん……?にゃにゃっ……?」
言葉を忘れたか?
って思ったけれども、そうでもないらしい。
「なんというか……何となく方向は分かったニャ」
「随分ざっくりした表現だな」
「元々そんな精密にわかるもんでもないニャ。しかも、魔王様は魔力がすごく多いから、本人の魔力を手掛かりに探そうとするとどうしても誤差がデカくなるんだよにゃ。でも……」
そう言いながら、腕を組んで首を傾げる。
そのままたっぷり1分ほど悩んでから、何が不思議なのか教えてくれた。
「魔王様の魔力が、いつもと違うニャ」
「どういうことだ?魔王様じゃないのか?」
「魔王様の魔力の中に、何かが混ざってるっていうのかにゃ……ニャーにもよくわからんにゃ。こう言うの初めてニャ」
「個人の魔力が後天的に性質を変化させることってあるのか?俺は魔力をあんまり感じられないから、その辺りよくわからないんだよ」
「聞いたことは無いニャ。まあ、そもそもそこまで感知できる奴が魔族でもそうそういないだろうってのもあるけど……」
パッと魔王様の居場所や、置かれている状況がわかるかもと思っていた俺達の甘い見通しが崩れ、2人で苦い表情をしていたけど、突然ファムが立ち上がって叫んだ。
だからさ、スカート履いてる自覚あるか?
今も勢い良く立ったせいで可愛いパンツ見えてたぞ?
「あ!でも、そういや、似たような話聞いた事あるにゃ!」
「似たような話?」
「何だったかニャー……名前……えーと……アレにゃ!フクチ……フクレ……蟲……にゃー……!」
あと少しで思い出せる言葉が出てこないらしくイライラしているファムを見て逆に冷静になった俺。
そして、絞り出すように思い出そうとしているファムの呟きを聞いて、前世で聞いたことがある生き物の名前が思い浮かんだ。
「もしかして、フクロムシか?寄生虫の?」
「ああああああ!ソレにゃそれ!フクロ蟲ニャ!」
フクロムシといえば、カニとかの甲殻類に寄生して、その宿主の生殖器をフクロムシを産むための器官に変えてしまうヤバイ奴だ。
何がヤバいって、この生殖器って言うのが、別にメス限定じゃない事。
雄がこのフクロムシに規制された場合、メス化されてしまう。
ヤンキーがヒロインキュンにされるのを通り越している。
神っぽいやつのやらかしよりヤバイってわけよ。
「そのフクロムシがどうしたんだ?」
「いや、そいつに寄生されると、魔力の性質が変化するって聞いたニャ。まあ、滅多にお目に掛かれる物じゃないから、ニャーも実際に見たことは無いけどにゃ」
「へぇ……」
前世で見たフクロムシのデータを脳内で再生して、休日の夜中に寄生中の事を調べていたら、朝になっていたのを思い出した。
いやぁ……何してたんだろうなぁあの時の俺……。
明らかに妙なテンションだったわ……。
あれ?
え?
ちょっと待って?
「なぁ、ファム」
「なんにゃ?」
「仮に魔王様にフクロムシが寄生しているとしてだぞ?いや、フクロムシって決まってるわけじゃないんだけども」
「まあ、フクロ蟲は珍しいからないだろうけどもニャ」
「俺の知識の中のフクロムシは、宿主をメス化させるんだけども……」
「ニャ……」
部屋の中を沈黙が支配した。
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