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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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797:

 なんとかエリザを安心させる事が出来たようなので、俺は俺で魔王様がどんな状態なのかを確認しないといけない。

 下手に刺激して藪蛇になっても困るので、できるだけ秘密裏にだ。


「じゃあお前ら、エリザとこの店の事は内緒にしろよ?じゃねぇともう二度と奢ってやらん」

「「「「は……い……」」」」


 今にも吐きそうな状態で返事をしてから帰っていく2年生イケメン男子4人を見送った。

 イケメンの面影ねぇけども……。

 夜中に歓楽街で道端に蹲ってるオッサンみたいになってるわ……。


 何でこいつらがこんなに飢えているのかと思ったら、こいつらが入っている上位の貴族用の寮は、食事が無料じゃないらしい。

 そんな状態で、普通に生活していれば十分足りるはずの小遣いを焼肉パーティーにつぎ込んだもんだから、今日俺に会わなければ本当に草を食べたり、ザリガニ釣りにでも行こうかって話をしていたそうだ。

 ある意味たくましいわ……。


 俺が最初に入っていた階級的には下っ端の貴族とか、魔力がちょっと多いってだけの平民が入るあのぼろっちい寮は、福利厚生のために食事は殆ど無料だけれども、上位の貴族ともなるとそんなもん自分で用意しろって事になるらしい。

 なんなら、もっと寄付して下っ端貴族と平民を養えってくらいの勢いなんだとか。

 もっとも、上位の貴族の部屋には、専用の豪華なキッチンまであって、侍女やメイド、すごいと専属の料理人に料理させるらしいので、仮に食事を無料で出されたとしても食べんかもしれんが。

 因みにリンゼは、部屋でゲームしているのを邪魔されないように使用人を配置せず、レトルトやカップ麺だけで何とかしようとしていたこともあったらしい。

 それが家族にバレて、しっかりした食事を作る女性料理人を派遣されてしまったらしいけども……。


 さて、とにかく今は魔王様がどうなっているかを確認する必要がある訳で、行き先等を多少なりとも知っていそうな奴に聞き取りをしたいと思う。

 エリザはさっき聞いた以上の事は知らないみたいだったし、今白川郷リゾートのレストランで仕事中のキオナさんに聞きに行くのも憚られる。

 そして俺には、今この瞬間仕事もせずぐーたらしているであろう人材に心当たりがあった。

 しかも、かなり身近に。

 というか、家に。




 バリっ

 ぼりっぼりっぼりっ


 帰宅した俺が目にしたのは、居間のソファーで横になって煎餅食べながら、再放送の刑事ドラマをつまらなそうに見ている猫耳メイドだった。


「ファム、お前なぁ……」

「にゃ?」


 ポーズ的には、完全に休日のオッサンである。

 見た目がビックリするほどの美女で、更に猫耳メイドであるという事以外は、怠惰に支配されている気がする。


「ってかさ、脚開いてるからパンツ見えてんぞ?」

「見たいなら見りゃいいニャ。ニャーはテレビ見るので忙しいにゃ」

「これ、もう何回も再放送されてないか?普段そんなにテレビ見ない俺でも見覚えあるぞ?」

「真新しさなんて求めてないんだにゃー。BGMみたいなもんニャ」

「ふーん……」


 多少何かを言った所で気にもしないようだ。

 確かにコイツは、個人でテレポートができるという唯一絶対の特技があって、それだけでも給料を払うに足る存在なんだけれども、かといってこれはどうなんだろうか?

 流石にさぁ……。


 俺は、素直に仕事をしてくれそうになさそうなファムを動かすために、彼女の脚側へと周りこんで、股間を凝視し始めた。


「…………」

「…………にゃ…………?」

「…………」

「…………えぇ…………?」


 寧ろ見ろとでも言わん勢いで脚をおっぴろげていたのに、俺に凝視されるのは流石に恥ずかしかったらしく、顔を赤くしながら脚を閉じてソファーに座り直した後、スカートを手で押さえる猫耳メイド。

 どうやら、恥ずかしいという感情は残っていたらしい。


「なんにゃ……?なんの用ニャ……?」

「お?俺が何か頼もうとしてるってわかるか?」

「まあ……流石にパンツガン見してまでニャーのテレビ鑑賞を邪魔するって事はそうかにゃって……」

「実はそうなんですよピンクのフリフリつきパンティさん」

「にゃああああああああああ!?」


 そこから5分ほど、見苦しい口論が発生したけれども、割愛する。


「……んで、結局なんにゃ?」

「それがさ、魔王様がどうも様子がおかしいんだよ。それで、何か心当たり無いかと思って」

「魔王様が?どんなふうに変なのニャ?」

「カレー屋とエリザをほったらかして、帰ってこないらしい」

「は?」

「しかも、たまにエリザと会ってもエリザの事を『エリザベート』って呼んだらしい」

「……は?」


 俺の言ったことがあまりに信じられなかったのか、完全に固まるファム。

 レアな表情だなぁ……。

 スマホで撮影しとこ。


 数秒後、やっと再起動したファムは、大声で叫んだ。


「大事件じゃないかにゃああああああああああ!?」

「だろ?そりゃアウトロー気取りのくせにピンクのフリフリつきパンティなんて可愛い物履いてる猫耳メイドの手も借りたくなるさ」

「パンツから離れろニャ!」


 とりあえず、やっぱり魔王軍元幹部からしても、大事件だったらしい。





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>「実はそうなんですよピンクのフリフリつきパンティさん」 流石、乙女な猫さんっすね
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