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「今しばらく、私が貴方達の防波堤となりましょう。どうやらそれが、神の思し召しのようですので……。本当は、教皇という立場を誰かへ託して開拓村へと移住し、そこで孤児院つきの小さな教会でも運営して余生を過ごしたかったのですけれどもねぇ……。一応の確認のためにお聞きしますが、犀果さん、教皇になりたくは……」
とかなんとかよくわからない事をくっちゃべっていたムキムキ爺さんをスルーし、俺はもっと重大な問題と向き合っている。
いや、正確には、向き合っているというか……途方に暮れているというか……。
「すごいサイズですねぇ……」
「でしょう!?石像と超合金像はもっと巨大になる予定なの!」
「それは……すごいサイズですねぇ……」
「でしょう!?」
目の前には伏せて俺をしゃぶろうとしていた体勢のまま待機している猫の木像がある。
伏せた状態だというのに、頭のてっぺんまでの高さが10mを軽く超えているように見える。
当然尻尾の先までとなると、その何倍もの長さだろう。
水城は、80mくらいだって言ってたっけか?
「それで、これで何をするんですか?」
「え?」
「いや、こんな巨大で、意のままに動かせる物を使って何するつもりなのかなって……」
銀河で英雄がなんちゃらするとか、宇宙の世紀とか、そういう戦争な感じです?
「もちろん、悪しき巨大な敵が出たら戦うのよ!だって、私は神社の娘だもの!」
「そうなんだ……」
やっぱり神社生まれは凄い。
「でも、やっぱり大魔神てふ子様程のスペックではないのよね……。急造だから仕方ないんだけれど……」
「像をスペックで評価するのがすごく新鮮に感じるんですけど俺」
「確かにそうかもしれないけれど、いつか『こんな事もあろうかと!』って思える日が来ると思うのよ」
「まあ……かもしれませんね……」
本当に神とかいる世界だもんね。
その神クラスの敵を倒すためにデカい像を作ろうって言う発想が、流石てふ子様の子孫って感じだが。
あ、でも、前世の大仏とかも、飢饉とか疫病を起こす悪しきものを倒すとか避けるとか、そう言う目的で作られたんだったっけか?
制作時に流出した大量の水銀とかで健康被害がすごかったりしたみたいだけども……。
「それに、何より可愛いわ!」
「可愛い……」
「可愛いでしょ!?」
「まあ……」
ネコのソフィアそのままのデザインだから、そりゃ可愛いといえば可愛いんだろうけれども、俺は人生で全長80mを超えるものをあまり可愛いと思えたことが無いんだが……。
「そういえば、石像と超合金像?もその口ぶりだと動くみたいですけど、どこに発注したんですか?そんなん作る職人っているんですか?」
「安倍之重工っていう老舗が請け負ってくれてるのよ。大魔神てふ子様の整備もしてくれている会社なんだけれども、新規で発注したら『負の感情を貯めるのに時間がかか~るね!』と言われてしまったの。よくわからないけれど、重要な事なのね。それに、サポート地域外だから追加料金がかかるとも言われたわ」
「安倍……」
奴か。
ってことは、縮退炉搭載型の巨大な猫像が2機もあの神社に鎮座することになるのか。
そして今、どこかの人外ケモミミ美女が他の男と仲良くしている妄想をチャージしていると……。
うん、俺しーらね!
「水城、教皇になりたくはないですよね?」
「え?嫌よ。私は巫女だし」
「了解」
この話は終わり!『教会バトルロイヤル~奥多摩がリングだ!~』も終わり!
もう帰ろう!
俺は、後ろで我関せずでピクニックを再開している聖羅たちに声をかけた。
「そろそろ帰ろうか!」
「わかった。あ、絢萌も帰って来たって」
「丁度いい。じゃあ今日の夕食は絢萌と水城の帰還パーティーって事でケーキとか食べるか!」
「賛成です!ケーキカットは任せてください!」
「いいぞー!でもエクスカリバーは使っちゃダメだぞ?」
「えっ!?」
「ケーキかぁ……。大きいのって作ったこと無いな~……」
「大きくても小さくても甘ければワシは問題ない!ポンポン作って欲しいんじゃが!」
「あのぉ、私も友人として参加しても……?」
「いいぞ!何なら泊ってくか!?」
「今夜もいいんですか!?はい!」
「私はそろそろ寮に……」
「涅、お前の部屋はもう我が家に用意されている。荷物も搬入されているぞ?」
「え!?いつの間に!?」
「だって、キャンセル可能期間過ぎたから、お前はもう俺のサポートを受けなきゃいけなくなってるんだ」
「どういうことですか!?いや、有難い事なんでしょうけれども……」
「大試様 好き 好き」
「水城も今夜は泊っていきますよね?」
「ええ!帰るのは明日にするわ!」
冷静に考えると、頭がオーバーヒートしそうな情報が大量に叩き込まれた時は、こうやって無関係な事で上書きするために無理にテンションを上げると良いんだ。
そう言う事を、俺は転生してから学んだ。
明日に回せることは、明日に回そう。
きっと明日の俺が何とかしてくれる。
巨大な猫の機動兵器の事だって、きっと……。
「よーし、やっと明日から休めるぞー!」
「え?」
「ん?リンゼ、どうかしたか?」
俺の言葉に、何言ってんだコイツって顔を向けてくるリンゼ。
なんだというのか?
俺、何か変な事言ったか?
「アンタ、もしかしてまだ春休み気分なワケ?」
「いや、これからやっと春休み気分なワケ」
「そう……。落ち着いて聞いてほしいんだけれど」
「明日から、3年も授業開始よ?」
「…………」
リンゼが何かを言った気がするけれども、気にしないことにした。
そして俺は、振り返ってデカいソフィア像に心の中で語りかける。
ソフィアえもん、時間を巻き戻す機械をだしてよと。
『あ、ここら辺の土結構いい栄養ありますね。種でも植えておきますか』
「…………」
俺の願いなど無視して、体を構成するドライアドがもっと怖い事を言っていた。
感想、評価よろしくお願いします。




