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『ふむ……どうやら、最後に残ったのは私と貴方達だけのようですね。これは、中々予想外でした。やはり神の考えることは、私の貧困な想像力程度で予想するのは無理という事なのでしょうね』
『ふん、貴様の行動も十分訳が分からんわ!』
『そうじゃ!折角教皇となったにもかかわらず、自らの意思で退くじゃと!?じゃったら素直に我らに後任選定も任せればいい物をこのような不可解な催しなんぞいきなり開催しおって!』
『とはいえ、我々3人に追い詰められたアナタには、もう後など有りません。ここで大人しく倒されてください。そうして我々は、由緒正しいコンクラーベを開かせていただきますよ』
『フフフ、ええ、ええ。貴方達が優勝したのなら、きっと神はそれをお望みだという事。存分に為さると宜しい。私は私で、全力で抗うのみです』
爺さん4人がそれぞれの理屈を元に相対する。
先程までは、個人の発言が聞こえるのは代理人に指名した者たちの端末だけだったのに、チームが残り2つとなったせいなのか、会場中のモニターから彼らの発言が聞こえる。
1人は、なんか俺にネチョッとした視線を送ってくるようになったちょっとキモイ印象の現教皇。
うすら笑いで何もかもすべて受け入れます的な雰囲気で胡散臭い感じまでプラスされている。
対する3人の爺さんは、これはこれで全員違う感じ。
1人は、多分教皇と同い年くらいの爺さん枢機卿で、プロレスラーみたいな体型だ。
実の所、この爺さんに関する記憶が俺には無かったんだけれども、最後の2チームになったからか、各選手の下にテロップが表示されていて、簡単なプロフィールが読める。
どうも、現教皇とは長年のライバル的な爺さんらしい。
聖騎士の経験もあるらしくて、身体強化が得意らしい。
次に、教皇たちより年上っぽい爺さんオブ爺さんって感じの枢機卿。
こっちは、相手を弱体化するような魔術が得意らしい。
ねちっこい絡め手タイプだな。
嫌い。
最後は、他の面々より多少若く見えるけれども、爺さんは爺さんって感じの爺さん。
メガネをかけていて、体はすらっとしているけれども、その目が細く胡散臭い感じなので、主人公サイドに回っても裏切り者となる未来しかなさそうなデザイン。
司令塔的なポジションらしいけど、それを特徴として紹介されるってよっぽどほかに碌な紹介内容が無いって事だろうか?
とにかく、この3人が対教皇同盟を組んだチーム枢機卿らしい。
『さぁ、それでは信仰を始めましょうか』
『何が信仰だ!狂人め!いくぞ!』
『ワシが奴の動きを封じよう!ぜぇぇぇえぃ!』
『ほう、拘束魔術ですか?とはいえ、この程度では私のパワーを止める事など不可能ですがね』
『な、なにいいいいいいい!?』
オブジから放たれた光の輪のような拘束魔術が、教皇のチョップ一発で霧散した。
枢機卿たちの認識だと、教皇にこれ程の戦闘力なんて無かったはずだった。
戦いといえば、盤外戦術の多いタイプの男。
それが、枢機卿たちの中にある現教皇のイメージだった。
そんな彼が、いつの間にかムキムキになり、魔術を手で破壊しているんだからビックリするだろう……。
というのが、横で見ている有栖の感想だ。
『狼狽えるな!数ではこちらが上!囲め!』
『よかろう!』
『いいでしょう!』
プロレスラー枢機卿が怒号で指示を飛ばしつつ、絡め枢機卿とメガネ枢機卿が動く。
流石はここまで残った参加者だというかなんというか、中々様になる動きで走り回っている。
あれ?司令塔的なポジションってメガネ枢機卿じゃなかったの?
お前、何指示出されてるの?
いや、枢機卿ともなれば、皆司令塔なのかもしれんが……アイデンティティ崩壊してない?
教皇は教皇で、年齢を感じさせない流麗な動きで爺さん3人を翻弄している。
囲もうと回り込もうとするメガネと絡め手に対して、瞬時に距離を詰めて攻撃を行い、足止めをしつつ囲いの外へと逃げ延びる。
プロレスラーと比べて、絡め手とメガネは肉体派ではないらしい。
プロレスラー枢機卿の舌打ちが画面越しにも聞こえてきた。
「それにしても……」
「ん?大試、どうかした?」
「いや……爺さん4人の肉弾戦を延々見せられるのって、案外苦痛だなって」
「そう?見てないからわからない」
「見てすらいないのか……」
一応聖羅の知り合いの教皇戦ってるんだが、本格的に興味が無いらしい。
俺からしても、爺さんたちなのに中々頑張ってるなって思う程度で、リンゼたちが敗退した今、もう好きにやってくれって感じになってるけれども。
仮に今の教皇が交代して、あの戦ってる3人の枢機卿チームの誰かが教皇になったとしたら、どの程度俺達に影響が出るかはわからない。
だけども、俺達へ理不尽な要求を突き付けてくるようなアホな事をしてきた場合、ぶっ飛ばして地下世界に放逐してしまえばいいって開き直ってしまえば、後はもうピクニックをしているような気分になってしまうのも無理からぬことだと思うんだ。
ドドスン……
ドドスン……
「んー……」
「どうしました?」
「なんかさぁ……さっきからずっと地震みたいなの感じない?」
「地震ですか?いえ……あら?ちょっと感じるかも?エクスカリバー開放して地面ぶっ叩き相殺してみます?」
「してどうするんだよ……もっと被害でそうだぞ……?」
「そうでしょうか?」
理衣とリバーシをして暇つぶしをしている有栖が訳の分からない脳筋プレイを提案して来るけれども、もちろんそれはお断りしておく。
任せたら、地殻まで吹き飛ばしかねない。
ドドスン……!
ドドスン……!
「……あっ」
「ん?リンゼ、どうかしたか?」
「いや、アンタが言ってた地震みたいなの、アタシも感じたかも?」
「やっぱり?」
「地面にベッタリくっついてるから、体全体に振動が来るのよね」
「あぁ」
厨二行為で傷ついた心を回復させるために、俺の太ももを枕にして横になっているリンゼ。
その全身をつかって、俺の感じる振動を察知したらしい。
「教皇たちの戦闘の余波じゃないんかのう?」
「いや、あの爺さん4人の戦いも中々ですけど、流石にここまで振動が伝わってくるような物じゃ……」
「火山の噴火が近いとかどうでしょうか?」
「怖い事言うなよ彩音……」
「地震がずっと続いているっていう方が怖くないですか……?」
「それはそうかもな」
イチゴ大福を食べてご満悦のソフィアさんと、未だに顔が赤い彩音たちも雑談に加わった。
俺だって答えが分かっている訳でもないから、絶対に違うとも言えないけれども、噴火は嫌だなぁ……。
というか、ずっと地震が起きているっていうこと自体嫌だぜ。
『よし!時間稼ぎは終わった!集まれ!』
『『おう!』』
『……ほう?これは……』
考えがオカルト方面とかまで脱線しそうになっていた俺達を他所に、G4バトルは大詰めとなっていた。
先程までとり囲もうとしていたのが時間稼ぎのフェイクだったのか、枢機卿3人が一か所に集まり光始めた。
それを目を細めながら楽し気に眺めている教皇。
合体技的な物を放つ気なんだろうけれども、俺にはよくわからない。
ドドスン!!!
ドドスン!!!!
「なぁ、なぁなぁ!やっぱり地震起きてるよな!?どんどん音大きくなってね!?」
「え、ええ……。ちょっと怪獣映画みたいな音してるわね……」
その間にも、地震は強くなってきていた。
なんていうか、近寄ってきているような感じで……。
『『『食らえ!!合魏シャインインパクト!!!!』』』
枢機卿3人が叫ぶと、教皇を中心に光の柱が構成された。
技名からして、光で押しつぶすような魔術だとは思うけれども、信仰心を煽るための演出が過剰だなぁ……。
『これで貴様も終わりだああああああ!』
『ニャアアアアアアアアア!!!!!』
だが、その光の柱が教皇を押しつぶすことは無かった。
何故なら、突如現れた巨大な何かが突撃して、光そのものが消し飛んだからだ。
そして、その巨大な何かは大きく飛び跳ね、戦場を飛び越え俺たちの目の前へと飛び降りてきた。
ドオオオオン!!!!
「うおおお!?」
俺が万が一のために剣を構え、聖羅たちが結界を貼る。
あまりの衝撃に土埃が舞って何も見えないけれども、確実に何かがそこにいる。
それが、何かのプレッシャーとして感じられた。
『に゛ゃあ゛!に゛ゃあ゛!に゛ゃあ゛!(オス人間!水城ちゃんがおっきくしてくれたの!見て!』
土埃が晴れたそこに、デカいソフィアの木像が鎮座しているなんて、いったい誰が予想できただろうか?
俺はできなかった。
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