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●LIVE
『フフフ……アーッハッハッハ!見たでしょ大試!これが!アタシの新しい力よ!』
リンゼが、ドローンに向かって魔王か何かみたいなポーズとテンションで話しかけている。
非情に機嫌が良さそうだ。
酒を飲んで賭けに3連続で勝った時の母さんくらいといえば分かってもらえるだろうか?
貰えないよな。
『ん!?あのドローンで大試さんが見ているんですか!?』
『ええそうよ!って言っても、他の奴らにも映像は届いているけれどね。まあ、音声は代理人に指名した本人たちの端末にしか届いていない筈だけど』
『そうなんですね……ぴ、ピース!ピースです!大試さん!』
『うわぁ……森があちこちで消し飛んでるぅ……』
思い切って友達っぽい事をしようとする彩音と、リンゼが初手でぶっ放した魔術の規模にドン引きしている涅。
涅は、もうソフィアさんによってやらされた自己暗示が解けてしまったらしい。
まあ、開始前からギリギリな感じだったしな。
『ところで、今のでどのくらいの敵が倒せたんですかね?』
ピースを止めた彩音が、森を一部消し飛ばした本人に尋ねた。
『ここに飛ばされた瞬間、アタシの魔力感知だと、鈴蘭の射程内には12のチームがいたわ。それが鈴蘭の着弾の瞬間8に減ったから、恐らく4チームを倒したんじゃないかしら?』
『4つも!?5分の1じゃないですか!やっぱり鈴蘭は凄いです!』
涅がビックリしているけれども、まああれだけの規模の魔術をいきなりブッパされてそれだけで済んでるのは逆にすごいと思う。
流石は、このバトルロイヤルに予選を勝ち抜いて参加してきた奴らだな。
『鈴蘭は強力だけれども、今回のは選別を兼ねた挨拶に過ぎないわ』
またまた悪役っぽい顔でそう言い放つリンゼ。
これ、後でこの映像を見せたら、間違いなく恥ずかしくなってベットで悶えたりぐるぐる回ったりする奴だろ?
あと、将来的に月に数回は、フラッシュバックして同じように悶えてぐるぐるするんだ。
俺にはわかる。
『選別と挨拶……ですか?』
『ええそう。覚醒したアタシたちとやり合うなら、このくらいは防いでみなさいっていうね!』
覚醒って……。
その言葉を言っていたってだけでも悶えてぐるぐる……面倒だからもーぐるでいいか!
もーぐるするだろうなぁ……。
『それに、今のはただ奇襲が上手く行ったに過ぎないわ。考えてみなさい?アタシの攻撃を凌いだパーティが8つもあるのよ?』
『確かに……あの鈴蘭、素晴らしい威力と派手さでしたね!』
『でしょう?アンタも見てたでしょう大試!?』
『ピースです!』
ごめん、お弁当見てたわ。
『さぁ、次からはアンタたちも戦うのよ!折角生きてる人間と直接戦えるんだから、実戦の雰囲気を味わいなさい!仮に負けたって、大試は別に教皇になりたいわけでもないんだしね。何より!アンタたち2人が瞬殺されたとしても、アタシさえいれば絶対に最後まで生き残ってやるわ!というより、他の奴らを全滅させてやるってのよ!』
『おお……リンゼ先輩がノってますね……』
『確かに……でも……フフフ!残念でしたねリンゼさん!強くなったのは、貴方だけじゃないんです!私だって、友人の前で恥ずかしい所を見せるわけにはいきませんからね!バリバリ活躍しますよ!』
『へぇ?面白いじゃない!じゃあ2人とも、その力を見せてみなさい!』
『はい!』
『えっ……私もですか……?』
なんだか黒いオーラを放ちながら悪い顔で挑発的な事を言うリンゼと、自信満々に笑顔でキラキラ光る冷気を放ち始めた彩音。
対照的に、状況に心が追いつかなくなってきた涅。
メンタルの差だな。
ああやって馬鹿っぽくてもテンション上げていられる奴らの方が、戦場では役に立つんだよ。
まあ、もしスナイパーなら、最初っから最後までダウナーな感じの方がいいかもしれんが。
え?
もちろんゲームの話だぞ?
こう……もじゃもじゃがいっぱいついたギリースーツって言う隠れるための服着て地面に寝っ転がり、試合開始から終了までずっとそんな感じでモゾモゾしながら敵を狙撃してポイント稼ぐんだ。
通称芋スナ。
芋虫みたいなスナイパーだから芋スナ。
前世で俺は、自分でやったこともあるけれど、味方がそれをやってるのを見たら大抵戦力にもならないし腹が立つのでTKするようにしていた。
「FU○K!!」ってメールが届くから「イピカイエー!」とか「ハッハー!」とか送り返すんだ。
そうすると、俺を含めた味方と味方で殺し合いが始まって、ほぼ間違いなく自分たちが負けるが、なんか面白くてやっちゃう。
そして、なぜかフレンドが増える。
俺が愚かしくも懐かしい思い出に浸っている間に、またもや戦局が一気に動いていた。
『花弁雪!』
彩音が技名を叫んだと思ったら、白いキラキラした小さな花びらみたいなのがいっぱい空中にできて、それが彩音の睨んでいる方角に扇状に飛んで行った。
数秒後、そのエリアが真っ白に凍り付き、そしてすべてが崩れ去って砂漠のようになってしまった。
『成功です!どうですか大試さん!?1チーム倒した気がしますよ!』
『まずアタシに聞きなさいよ!大試に聞いてもアイツは魔術の事全くわかんないから無駄よ!』
『でもやっぱり大試さんに褒められるのが一番嬉しいです!』
『……そう……』
『次がソフィアさんとリンゼさんですね!』
『!?フーン!』
彩音の言葉に一瞬悲しそうな顔になったリンゼだったけれども、直ぐに機嫌が戻ったらしい。
テンションもまた黒歴史量産体制になってしまった。
もはや奴にブレーキをかけられる者などいないのかもしれない。
あとは、勝手にブレーキがかかってもーぐるするしかないかも……。
『ふぅ……行きます!黒曜雪崩!』
覚悟を決めた表情になった涅も、彩音に続けと魔術を放った。
これは、涅が得意な黒っぽい感じの魔術で、超重力が発生する球状の真っ黒でちょっと透けてる空間を広範囲にばら撒くものだ。
詳細を省いて分かりやすく言うと、相手は死ぬ。
潰れたり分解されたりして死ぬ。
というわけで、涅の見ている側も砂漠みたいになってしまった。
『……やっぱり、私は強いかも……?』
『フッ!調子が戻って来たみたいね!夢の中であれだけノリノリだったアンタの力、存分に披露してやりなさい!』
『はい!!!』
アホみたいな火力の魔術をブッパしまくるチーム犀果。
その強さは規格外にも程があり、開始から30分で残りチームは4チーム。
脱落した17チームのうち、15チームがチーム犀果により倒されたという酷い結果になっていた。
これはもう決まったんじゃね?
俺がそう思ったのも無理なかったと思う。
っていうか、これを見ていたほぼ全ての人間がそう思っていたんじゃないかと思う。
ニヤニヤ笑ってるソフィアさん以外。
「……………………………………………………えっと……………………油断、したわ………………………………」
「………………………………うぅ……………………すごい恥ずかしい事を言っていた気がします……………………」
「…………あ……………………ああああ!私!さっきノってきたからって決めポーズしちゃいましたよ!?」
チーム犀果。
試合開始から42分で、討伐チーム数15チーム。
しかし、魔力切れを起こして教皇に手刀で首を落とされてリタイア。
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