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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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786:

『教会バトルロイヤル~奥多摩がリングだ!~』開催決定したのが一昨日。

 そして、その日の昼からから早速始められた予選。

 そんな突然何もかもやって大丈夫なのかって思うけれども、教皇曰く「このくらい対応できなくて何が教皇ですか」とのこと。

 この予選によって、参加チームは20組まで絞られた。

 そこに、シード枠の教皇を合わせた21組が、今日奥多摩でバトルロイヤルを繰り広げる……らしい。

 そもそも何で奥多摩なんだ?って思ったら、「私がおすすめした」と聖羅が事も無げに言っていた。

 しかも、俺が活躍できそうだからという理由らしい。

 まあ、俺参加しないんだけど……。


「やっぱり参加しないの?絶対に参加しないの?」

「しない。絶対にしない」

「そう……」


 聖羅よ、何故そこで悲しそうな顔をするのかね?

 俺が教皇になるとかならないとか関係なく、俺がズタボロになりつつも頑張る姿が見たいとかそれだけなんだろう?

 ……ちょっと参加しとけばよかったかなって思っちゃうじゃないか。


 予選を勝ち進んだ中に、うちの関係チームは2つ。

 一つは、当然リンゼがリーダーを務める「チーム犀果」だ。

 このチーム名は、別に俺が考えた訳じゃない。

 俺が指名した代理人チームって事になってるから、この名前で呼ばれているだけだ。

 変えようと思えば変えれたらしいけども、面倒だったのでデフォルトだ。

 まあ、ぶっちゃけリンゼも一応本気で信仰している訳じゃないとはいえ、立場上うっすら教会信者って事になってるし、自分のチームで参加しても良いんじゃないかと思ったけども。


「ふーん……アンタの代理人になって参加するとチーム『犀果』になるんだ……?」


 って呟いてすぐに俺の代理人チームでの参加を決めていた。


「にしても、あの女性聖騎士の皆さんが本気で参加するとはなぁ」

「予選だと一方的だったみたい」

「全員で参加して、生き残ったのがリーダーの方がいるチームだと聞きました!」

「あの人ら、100レベル超えてるし、マッスル部の合宿参加して以降訓練もかなりしっかりやってるみたいだし、何より他にやることも大してないからなぁ……」

「掃除、訓練、バンド活動ばっかりだって言ってた」

「何なんだろうな聖騎士って」


 ある意味ストイックと言えなくもない……か?


「「「…………ふぅぅぅぅぅぅ」」」

「ふむ!中々良い呼吸になってきたのう!」

「「「はい!」」」


 さっさと終わればいいなぁなんて思いながら、奥多摩エリアの外縁部に作られた関係者用の観覧スペースにいる俺達。

 その近くで、ソフィアさんが声を張り上げている。

 何をしているかといえば、リンゼたちの仕上がり具合を確認しているんだ。

 昨日の予選では、狭い範囲に大量の参加者を集めて、そこからの戦闘開始だったわけだけども、正直他の追随を全く許さない次元の違う戦いを見せていたリンゼたち。

 しかし、本戦ともなればどんな化け物が出てくるかわかった物じゃない。

 だから、しっかりと夢特訓の成果を確認しているんだ。

 ぶっちゃけこの大会、教皇がどうのこうのについては、うちとしては割とどうでもいいと思っている。

 なのになぜ参加しているかといえば、リンゼたちの特訓のためだ。

 実戦に近い環境を用意することでやっと完成するというソフィアさんの提言により、この訳の分からないトンチキイベントに参加することが決まったんだ。

 是非是非結果を出して頂きたい。


「リンゼ、彩音、涅、調子はどうだ?」

「ふぅ……悪くないわね。寧ろ、体中に今までにない程の魔力が滾っているわ!」

「私もですね。正直、今であれば大試さんとプロレスしても勝てるような気がしてしまう程度には」

「するか?」

「しましょうか?友達同士での取っ組み合いはお家ゲームの華と聞きましたし」

「……また今度な。涅は?」

「負ける気がしません」

「おおう……自信に満ち溢れている……」


 ソフィアさんとの夢特訓をする前と比べ、3人から出るオーラのようなものが変わったような気がする。

 レア度が1つ上がったような感じ。

 金キラキラから虹色キラキラになったくらい。


「大試さん、対戦相手で強そうな方はいましたか?」

「強そうなのだと、やっぱり『チームメタルA』かなぁ」

「メタルA?」

「聖羅の護衛の女性騎士の隊長がいるチーム。本当は『チームデスメタルA』にしたかったみたいだけど、デスは止めろって指摘が入って泣く泣く変えたらしい」

「泣く泣く……」


 本当にどこ向ってんだろうなあの人たち。


「アタシは、あそこの3人が気になるわね」

「どれどれ?」

「ほら、あそこのお爺様3人組よ」


 リンゼが指さす方向に居たのは、参加者にしては珍しく神職っぽい格好をしている爺さん連中だった。

 教皇と同い年くらいに見える。


「強そうか?」

「いいえ。ただ、ちょっとね」

「何か気になるのか?」

「まあ……。だってあの方たち、現役の枢機卿本人よ?それが自分で参戦するなんて……」

「元気だなぁ教会上層部……」


 ふんぞり返っているデブの爺さんも、痩せぎすで目の鋭い爺さんも、腰の曲がった爺さんも、全員予選を勝ち抜いてここに居るはずだ。

 いつからあの組織は、戦闘力が重視されるようになったというのか……?


「まあ、トップがトップだからな」

「えぇ。ああやって力をつけ始めたのは、やっぱり教皇様が心変わりしたのが原因らしいもの」

「心変わりか。何があったんだろうなあの教皇に?ムッキムキじゃん……」

「上半身裸で参加するとは流石に思わなかったわ」


 俺とリンゼの視線の先にいるのは、修道服の上半分を脱いで腰に巻いたムキムキの爺さん。

 細マッチョ、と言って良いのかわからない程に筋肉がついている。

 あの服の何処に筋肉を詰め込んでいたんだろうかってくらいムッキムキだ。


「リンゼは、今からあの爺さんとも戦う事になるんだな……」

「フフ、掛かって来なさいってのよ!返り討ちにしてやるわ!」

「はい!大試さんは、友達の私が活躍する様をしっかり見ててください!後で感想文もお願いします!」

「私は強い!私は強い!私はつよにゃ!……舌噛みました……」

「……頑張れ!」


『参加者の皆さんは、所定の紋章の上へとお集まりください』


 会場全体にアナウンスが飛んだ。

 これから、『教会バトルロイヤル~奥多摩がリングだ!~』が始まる。





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