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大爆発の後も、試験は続いた。
試験用の試技エリアは、1つが消し飛んだとしても他にいくつかあるので問題なかったし、実質的な被害もそれだけだったので、いったん安全を確認するために中断されただけで再開された。
試験結果?
魔力試験は、魔力量が50点で満点、魔力操作が42点で合計92点という高得点。
身体能力試験は、リエラによるバフで、涅本人どころか試験官すら暫くゴールした事に気が付かないという異次元の結果を叩き出し100点満点。
遠隔魔術試験は、「ははは、キミはやんなくていいよ。100点だから」と試験官に乾いた笑いと共に追い出されていた。
必殺技試験は、ゴタゴタのせいで点数を教えて貰えていないけれども、恐らく100点だろう。
俺みたいに、施設をワザと壊したから0点な!とは言われない筈だ。
ワザともくそも、施設が持たなかったのが悪い!
そう判断されないなら俺がゴネる!
全力でゴネる!
何が何でも、涅には1組という良い環境で心安らかに過ごしてもらいたい。
主に、リンゼの心の平和のために。
そして、現在は試験が終わって、後は皆気を付けて帰りましょうって言う状態だ。
今年度の生徒会は、「仕事はさっさと終わらせて友達と楽しく遊ぼう」がメインスタンスなので、お手伝いになってしまっている俺や、現役生徒会長の彩音も既に帰る準備万端で玄関にいる。
どうして俺たちが一緒にいるかといえば、あるイベントが突然決まってしまい、そこに彩音も参加したいと言い出したからで……。
「はぁ……お泊り会楽しみですね!」
「お泊り会って言うんだろうか?泊まり込みで魔術の特訓するのを」
「言います!絶対言います!」
ソフィアさんからのマジ説教により、涅は魔術の特訓を受けることになってしまった。
そして、その会場は俺んち。
何故なら、ソフィアさんが俺からあまり離れられないから。
まあ、どこで悪落ちするかわからん涅をほっぽって帰るのも怖いので、連れて帰れるのは良い事かもしれんけれども、流石に会ったばかりの女子を自宅に連れ込むことには問題があるんじゃないかと思って本人に聞いてみたら……。
「本当ですか!?今まで住んでた部屋もお金なくて追い出されちゃって、寮生活で生活費を節約できるとは言え、かなり不安だったんです!」
「金の心配なんぞいらんわ!そんなもん大試が出す!それより特訓じゃ!」
「あわわわわ……はい!ありがとうございます!」
と、ソフィアさんが勝手に全部決めてしまい、更に涅もノリ気なので、サクッと決まってしまった。
まあ、我が家で生活するようになれば、亡霊画伯の影響で簡単に100レベルになるし、それによって魔力操作能力とかもゴリゴリ上がるだろうからいいことだとは思うんだけどもね。
社会における俺の評判を除けば。
「おい、またあの犀果が女を囲うみたいだぞ」
「しかも今回は、平民で魔術の天才だって噂の娘だろ?アイツは自分のとこの女ども使って戦争でも起こす気かよ?」
「やっぱヤってんのかな?毎日毎日代わる代わるさぁ」
「いいなー、俺もハーレムつくりてー」
「いや、ハーレムはどうかなぁ……?この前種馬の一生っていうドキュメンタリー見たんだけどよ、あれはヤバイって……」
「そういうマジの話をするなよ!今は夢を語ってんだから!」
ってな感じの話が既にいたる所でされているのが聞こえていた。
俺の強化された身体能力なら、奴らのヒソヒソ話だって聞こえるんだ。
聴こえてしまうんだ……。
「おまたせ」
「お待たせしました!」
俺がナーバスになっていると、職員室からリンゼと涅が戻って来た。
本来寮生活になる予定だったのを突然俺んちからの通いという事にしたので、その報告と、今回の大騒ぎの説明だのなんだのをしてきてくれたんだ。
本当は俺が行こうとしてたんだけれども、「アンタが行くと更に面倒な事になりそうな気がするからアタシが言ってくるわ」とイケメン美少女リンゼ様からの有難い心遣いによって、すんなりと話が終わったらしい。
俺の試験の時は、先生からの説教が終わった時点で夜だったからなぁ……。
「さて、じゃあソフィアさん。ここからの指示はお任せしてもいいですか?特訓って言うのが、具体的に何をやるのか俺にはわからないんで」
「良かろう!」
俺が腕時計に話しかけると、中からソフィアさんが飛び出してきた。
女教師コスで。
すごい似合っていて怖い。
「会場は、大試んちな訳じゃが、帰る前に用意するものがあるんじゃ!」
ソフィアさんが、手にもっている謎の棒をビシッと俺に突き付ける。
黒板とかホワイトボードでここに注目しろって示すために使われるアレ。
名前は知らん。
文房具屋とかで見ると、案外良い値段する。
「それって、店で買えるものですか?それとも、誰かに作ってもらったりしないと入手できないとか?」
エルフ流の魔術の特訓に使うのだから、下手をするととんでもない物を要求される可能性もあるので、少しビビりながら聞く俺。
なにせ、俺自身は魔術を一切使えない。
特訓どころか、効果的な訓練の仕方すらよくわからんのだ。
魔力だけは大量にあるけれども、魔道具や神剣に好きなだけ吸わせたり、サキュバスにごはんとして与えるくらいしか使い道がない……。
「うむ!まずは、服屋にゆくぞ!」
「服屋?訓練着でも買うんですか?」
「そんな訳が無かろうが!」
「そんな訳が無いんだ……」
そんな訳しか思い浮かばないんですが……。
「ずばり!パジャマを買うんじゃ!」
「「「「パジャマ?」」」」
「大試様 好き 好き」
いつの間にか、パジャマパーティーをすることになったらしい。
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