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剣と魔法の世界に行きたいって言ったよな?剣の魔法じゃなくてさ?  作者: 六轟


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 実技試験は、4種目ある。


 的に向かって魔術を放つ遠隔魔術試験。

 強化魔術等も込みの身体能力試験。

 総魔力容量と魔力操作能力を量る魔力試験。

 とにかく自分の持つ最大の技を見せる必殺技試験。


 試験名は俺が勝手につけた。

 プログラムには、『的に向かって何らかの魔術を放つ試験』みたいな感じで、説明自体が名前みたいな感じで書かれているもんだから、それだと説明しにくいだろって思って彩音に言ってみたら、「いいですね!学園側に進言してみます!」って言ってくれた。

 それで任せてたら、教師たちも何となくそれは感じていたらしく、教職員会議まで開いて試験名を決めたらしい。


 因みに、遠隔魔術試験と必殺技試験は、別に攻撃じゃなくても問題ないらしい。

 特に必殺技試験に関しては、有栖の時は斬撃を飛ばしただけだし、リンゼは空を飛んだだけだし、聖羅は聖水どばどば生み出しただけだったらしいから。

 とにかく自分の価値を最大限に引き出す技を見せろって事だ。

 俺に至っては、ボルケーノで会場の試技エリアを吹き飛ばしたからなぁ……。

 それで0点にされたのも良い思い出だ……。

 いや、ひとっつも良くないな?


 試験を受ける人数が多いため、4グループに分かれて、4つの試験を順番に受けて行く事で効率化を図っているらしい。

 涅は、必殺技試験から始まるようだ。

 最初から最大の技を見せるのは、その後の試験が中々大変なんじゃないかなって気もするけれども、魔術を使えない俺にはよくわからない。

 まあ、平民のグループが必殺技試験から始まることが多いらしいので、貴族と比較して魔力量が少ない彼等のために、披露する前に見せ場を用意してやろうって事なのかもしれない。


「まあ、リエラがついてれば大丈夫だ。緊張せず、気楽にいけ。その方がいい結果が出る気がする」

「は、はい!頑張ります!」

「リエラ、サポートよろしくな」

「ハイです 蝶は いっぱい サポート します」


 やる気を漲らせる2人を送り出す。

 リエラがどんなサポートをするつもりなのかは、正直よくわからないけれども、アイツは最上位妖精たちよりはちゃんと意思疎通ができるいい子だ。

 魔神だが。

 きっと大丈夫だろう。

 懸念点があるとしたら、緊張しまくりの涅のほうだろう。

 今も落ち着くためなのか、ミニリエラを抱きしめて、しきりに頬ずりしたり頭を撫でたりしている。


「……あ、ヤバイ。アイツら見てたら、俺も緊張してきた」

「なんでアンタが緊張するのよ……?」

「いや、俺はこの試験で試技エリアを吹き飛ばして0点になった男だからな。それを思い出すと、やっぱり同じようにこの試験に挑むやつら見てると緊張するわ」

「あぁ、あったわねそんな事……。でも、ここに使われてる小型の試技エリアも、アタシたちの時から比べるとかなりの改良が加えられているものよ。そう簡単には破壊できない筈だわ」

「だと思うんだけどな」

「ただ……」

「ん?」

「あの時のアタシたちの攻撃力なんて、100レベルを超えているリエラの力と比べると、羽虫みたいなモノだったんじゃないかって気もするのよね……。だから、どこまで参考にしていい物か……」

「うーん……」


 試技エリアを作っているのは、マル義兄さんたちを始めとしたリンゼの実家だ。

 あの人なら、改良しろといわれりゃそれはもうモリモリ性能上げてくるだろう。

 だけど、流石に無限に強化できるわけではないだろうし、仮に技術的には可能だとしても、予算とか製作期間とかによって制限が設けられるだろうから、限界はあるはず。

 そこに、リエラというイレギュラーが混ざった場合、いったいどうなるか……。


「……リンゼ、結界魔術の準備してもらっても良いか?」

「ええ……。試技エリアの周囲に緊急時に結界を張る担当がもう控えているみたいだけれど、備えは必要よね……」


 まあ、大丈夫だろう。

 根拠は無いが。



「次!涅咲愛!」

「はい!」


 とうとう涅の順番が回って来た。

 フンフンと鼻息荒く試技エリアへと入っていく。


「ふぅ……。リエラちゃん、よろしくお願いします!」

「はい リエラ 全力サポート します 魔力 あげます ね」

「うん!……お、おおお!すごい!いっぱい魔力が流れ込んでくるよ!」

「まだ いっぱい いけます」

「ありがとう!でも、とりあえずこれでいいよ!このままでも、多分今までで一番強い威力の魔術が撃てそう!」

「わかり ました 蝶は 咲愛さんを 結界で護ります ね」

「うん、お願い。余波とか怖いしね!」


 あ、リエラに試技エリア自体にも結界張ってもらうか?

 いや、でもなぁ。

 もう試験始まっちゃってるから、その状態で指示飛ばすと不正って思われそうだしなぁ……。

 うん、万が一の時はリンゼもいるし、最悪俺のボルケーノもぶち込んで相殺しよう。


 試技エリアの中の涅、何かの呪文を唱えている。

 呪文を唱えると、本来の自分の力を更にブーストして魔術を放てるらしい。

 つまり、魔神パワーをもっと強化してぶっ放すつもりなんだろう。


 うん、大丈夫。

 試技エリアを信じろ俺。

 手に汗握りまくりで滴り落ち始めたけど、落ち着け。


「歪め 撓め 澱め 重力の井戸の底にて 我が敵を塵芥へと帰せよ!」


 涅の手にまがまがしい黒い物があつまり、凝縮された。


「グラビティーレイ!!!!」


 その黒い塊が、試技エリアの床へと叩きつけられた。

 一瞬何も起きないように見えたけれど、少しずつその場所が収縮を始めて、それが加速していく。

 黒い光の柱のようなものが、試技エリアの中を制圧し、外へと出ようと暴れ狂う。


 ビキッ


「「あ」」


 俺とリンゼは、試技エリアの結界にヒビが入るのを見た。

 それで終わるならともかく、中の破壊の暴風は、未だに勢いを増している。

 うん、ダメそうですねぇ……。

 あと何秒試技エリアさんは耐えられるかなぁ……?


「……あ、ああ!非常事態につき結界を追加で張る!生徒は下がれ!」


 結界担当のおっさんが、あっけにとられている状態からやっと意識を戻して、すぐに試技エリアの周りに結界を張った。

 だけど、これで止められる気がしねぇんだよなぁ……。


「リンゼ!」

「わかってるわ!でも、アタシの結界でも無理な気がするのよね!」

「やっぱりか!?」


 正直、あれはもう自然災害とかに匹敵するエネルギーが一か所に集まって爆発しちゃったくらいの威力に見える。

 リンゼは、魔術の天才だ。

 だけども、聖羅みたいにギフトによって結界も爆発的に強化できたり、ファムみたいに、空間をずらしてどんな攻撃も無効化するようなデタラメな事ができるわけじゃない。

 それでも、ここで諦めたら学園ごと吹き飛びそうなので、頑張ってもらうしかない。

 リンゼの結界が持たないようなら、そこに俺のボルケーノでもぶち込んでみるさ。


「もう持たない!?くそ!皆にげろぉ!」


 結界おじさんが限界を叫ぶ。

 この状況で逃げずに最後まで結界の維持をしていた辺り、中々根性のあるイケメンらしい。

 ロン毛なのは頂けないが、その心意気に免じて許す!


「いくわよ!20連結界!」


 おじさんの結界が消し飛ぶ前に、その上から20枚の通常結界を重ね掛けするリンゼ。

 それだけでも、技術的にはとんでもない物らしい。

 なのに、その内側の結界からドンドン内部にバキバキと吸収されてしまっている。

 これでは、20枚結界があったとしても、やっぱり多少の時間稼ぎにしかならんな……。


 俺は、限界以上の威力でボルケーノを放つ準備を始めた。


「なんじゃ!?何が起きとる!?」


 しかし、そんな決意のチャージをしている俺の左手首につけられた腕時計から、外の異常を感じ取ったらしいソフィアさんが出てきた。

 そういえばこの人いたな!


「ソフィアさん!あの上から結界張って下さい!リンゼが頑張ってくれてますが、そろそろヤバ気です!」

「ぐぬぬぬ!お願い……!流石にこれは!アタシもキッツ……!」

「お、おお……よくわからんが、良かろう!これは……多重積層結界じゃな!?ならばワシも追加してやろう!50連結界!!」


 あっさりとリンゼ以上の枚数の結界を重ね掛けするソフィアさん。

 流石は、大昔からエルフ同士で暇つぶしに戦争して、生き残って来ただけの事はあるな……。


「お?結界がある程度安定し始めてるぞ!このままいけば耐えられる!」


 結界おじさんが希望を見つけて騒いでいる。

 だけど、多分この魔術の本番は、この後だと思うんだ。

 だって、グラビティがどうこうっていう技名から考えて、こうして黒い光の方に落ちていくような効果があるって事は……。


「リンゼ!ソフィアさん!まだ油断しないで下さい!この後が多分本番です!」

「え!?」

「なんじゃと!?」

「あの技、多分物質を超強力な重力で集めて圧縮しているみたいです!ってことは、限界まで圧縮された物質が、魔術効果が終わった後にどうなるか!多分爆発するんじゃないかなと思います!」


 やっぱりね、ここはフィクションを元にした世界なわけですよ。

 となると、こういう派手なトラブルの最後は、イケメンか美少女の死か、大爆発オチなんじゃないかと予想。

 超新星爆発的な事が起きそうな気がする。

 イケメンたちの死はしょうがないとして、無関係な人々から被害を出したくはない。

 何とかしなくちゃ……。


「リンゼ!ソフィアさん!結界の上の面だけ解除することはできますか!?」

「できるわ!」

「可能じゃ!」

「なら、やって下さい!」


 全面塞いでいる結界より、一方向にエネルギーを逃がす構造の方が、結界内で起きた強力な攻撃を受けても、被害は最小限に納められるし。


「見ろ!勢いが下がって来たぞ!」


 結界おじさんが、自分達は助かるんだという希望をみつけて声を上げた。

 そりゃあね、アホみたいに何もかもを吸い込む技で大災害になりそうな状態だったのに、それがなんとか収まって来たとなれば嬉しいだろう。


 だけど、やっぱり結界おじさんの発言は、何かのフラグにしか聞こえない。


「大試よ!勘じゃが、そろそろ大爆発っぽいんじゃが!?」

「え!?……あ、なんかピカピカ光ってますね!?」

「あとはもう祈るだけじゃ!」

「アタシ!初めて神にちゃんと祈るかもしれないわ!お願いだから何とか結界を維持させて!」

「クソ!今の俺には、結界を気軽に張れるような剣は……あ!結界じゃないけれど、結界を強化する方法思いついた!」

「なに!?なら早くしてほしいんじゃが!?」

「これを使う!いじ剣!」


 いじ剣でリンゼとソフィアさんの結界の維持を始めた。

 その直後……。


 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!


 天面を排して作られた結界の窓から、轟音と炎が空高くへと立ち上った。





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― 新着の感想 ―
>的に向かって魔術を放つ遠隔魔術試験。  強化魔術等も込みの身体能力試験。  総魔力容量と魔力操作能力を量る魔力試験。  とにかく自分の持つ最大の技を見せる必殺技試験。 1、的とその他諸々を穿ってや…
いじ剣すっかり忘れてたww
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