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異世界が思ってたんと違う!  作者: 馬之群
第3章 決着
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第48話 接敵と開戦

「念の為言っとくけど、かなり危険な戦いになるし、アンタたちは勝ってもその後が大変なことになるわ。それでもいいのね?」


 フローラが問い掛けた。オレたちは頷いた。

 外は既に兵士が慌ただしく動いていた。上空からミサイルのようなものが降ってきており、魔法で迎撃している。火の粉や破片が舞う中、オレとルーナは魔龍に姿を変えた。


「吾らのデータをもとに、最適な配置を考えました」

「言ってみなさい」

「ルーナ様はソーレ様の説得、フローラ様には兵士の指揮を執って管理人の相手を、サブマスターには勇者との一騎討ちをしていただいて、シャドウは狙撃を行います。いかがですか?」


 フローラは頷いた。オレはアルバの足止めに専念して、他は任せようと思っていたから不満はない。


「ルーナ様は直接ソーレ様の前にお姿を見せない方がよろしいかと」

「どうしてなノ?」

「ソーレ様のスキルは広範囲かつ強力です。ルーナ様の安全を確保したら、辺りが火の海にされてしまうかもしれません。ルーナ様がどこにいるか分からなければ、スキル封じになるでしょう」

「分かったヨ!あたし、ここにいるネ」


 利用されていることが分かっているのかいないのか、ルーナはえへんと胸を反らした。オレはポンポンとルーナの頭を撫でた。ルーナは金色の目でオレを見上げてくる。


 フローラのもとに、ソードとビーストがやってきた。二人とも軍服だ。ビーストは三つ首の大犬と、燃える鳥と、鋼の猪を連れている。


「魔王様、ご命令を」


「剣王は左軍を、獣王は右軍を率いて、機械兵と戦いなさい。深入りはせず、応戦に留めること。いいわね?」


 ソードとビーストは頭を下げた。


「拝命したぜェ」

「承知した」


 フローラ、ソード、ビーストくらいなら大した魔力も失わないか。


「ちょっと強化してもいい?」

「え?」

「献身」


 三人の力が少し上がったのを感じた。三人も自覚があるようで、そわそわしている。


「試しに動いてみて」


 兵士たちをミサイルから守るように巨大な土壁が出現し、ビーストの咆哮で強そうな魔物が多数集まり、ソードの姿が消えたかと思うと、遥か彼方で敵のミサイルが一斉に爆発した。ビーストがニヤリと笑う。


「大したモンだなァ。これァ坊ちゃんのスキルかい?」

「そうだよ。嫌なら解除するけど」

「とんでもねェ。助かるぜェ」


 ソードがいつの間にか隣に立っている。オレはゾッとして身構えた。


「礼を言う、魔龍。これで愛剣にたくさん血を吸わせてやれそうだ」

「その剣がオレに向かないことを祈るよ」

「向けさせないでくれたまえ。魔龍殺しの名誉など、この細腕には過ぎた重さだとは思わんかね?」


 本当に殺されそうで怖い。


「悪くないスキルね。お兄ほどじゃないけど、多少は戦えそうだわ」

「シリウスだって、フローラに力を貸してくれるさ」

「良いこと言うじゃない。ねえ、夜」

「何?」


 フローラはオレの手首に何かをはめた。フローラの腕によく似た蔦でできた腕輪で、目玉大のアメシストが紫の光を放っている。美しい。微かな守護の魔力を感じる。


「あげる。アンタ、運が悪いから、お守り。無事に帰ってきなさいよね」

「ありがとう、フローラ。武運長久を祈るよ」


 これなら、誰も失わずに終わらせられるかもしれない。


「アルバたちは後どのくらいで来そう?」

「管理人たちは三十分ほどで着くと思われます。勇者アルバはその奥におります」


 シャドウが言った。魔龍姿のルーナが尾をパタパタ振っている。


「にぃには?」

「魔龍の姿は見えません。魔力感知を行っておりますが、管理人と勇者アルバ以外に目立った反応はありません」

「ステルス魔法でも掛けたのかしら」

「魔龍にゃそんな能力ァねェとよォ。スキルならあり得ねェこともねェが」


 一同の視線がルーナに集まったが、ルーナは首をかしげている。ソーレが炎系のスキル持ちだということは知っている。隠密系も併せ持つ可能性は限りなく低いはずだ。スキル二つ持ちだって珍しいのに、そんな別系統があってたまるか。


「擬態で管理人に紛れておるのではないかね?」

「機械に擬態なんてできるのかナ?」

「擬液軟体じゃないんだから」


 だとしたら、どこに?隠れるのは不可能で、管理人には擬態できないとしたら……。


「勇者とやらは、間違いなく本物かね?」

「え?」

「遠すぎて断言はできかねます。魔力量は人間より遥かに多いです」


 シャドウが淡々と答えたことで、オレは背筋がぞくりとした。


「まさかよォ、ソード。あの勇者ァ偽物だってのかァ?だとしたらァ——」

「アルバの襲撃に備えないと!今すぐ!」


 あのアルバがソーレの擬態なら、アルバはどこにいるか不明だということになる。考えてみたら、勇者の鎧にはかなりの魔法が掛かっていた気がする。極端な話、今目の前にアルバが現れてもおかしくは——。


「ヤッホー」


 目の前に、甲冑が出現した。中身が誰かなんて、考えるまでもない。オレは反射的に叫んだ。


「全力で逃げろ!」

「逃がさないよ!」


 聖剣が振り抜かれる瞬間に反応できたのは、ソードだけだった。ソードの剣が聖剣の切っ先を逸らしたが、聖剣から放たれた光線は建物と兵士たちを薙ぎ倒した。兵士たちがパニックになる。ソードはアルバに反撃したが、アルバは軽々と剣を弾いた。


 悪い予感ばかりが当たる!敵の本拠地に単身で特攻するのは勇者の十八番だったな!

【作者のメモ】

・魔龍は服も含めて擬態できるので、甲冑姿になれば簡単にアルバのふりをすることができる

・勇者アルバの甲冑には魔法無効化の魔法が掛かっている。魔力探知も無効化される

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