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覗き穴ダンジョン~自宅警備員の俺の部屋の壁にダンジョンの深淵を覗ける穴が空いた件  作者: 御手々ぽんた


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第86話 現状把握が追いつきません

「『覗き穴追加』っ!」


 狭く、静かなアパートの部屋に、俺の叫び声が響く。次に起こることを予感していた俺には、頭の上に戻っていたドッペさんの存在が、頼もしかった。


 俺の予想していた通り、声に呼応するように左目が熱く脈打ち始める。前に覗き穴を空けたときと、同じだ。


 今回も、左目の先の壁と壁の合わさる角に、小さな小さな点が、一つ現れた。


 俺はせく気持ちを落ち着けて、視線をそらさないようにして、じっと待つ。


 左目にノイズが走りはじめる。

 俺は前の経験をいかし、一切視線をぶらさないように、壁に両手をつくと思いっきり踏ん張る。ドッペさんも俺に呼応するように体の一部を壁へ伸ばすと、頭を支えるのを補佐してくれる。

 とても有能で、頼もしい限りだ。


 そうして俺は視線の先の壁に現れた点を安定させる。


 ドッペさんの協力もあり、無事、点が穴となる。

 そして徐々にその穴が広がっていく。


 ゆっくりとその先の景色が見えはじめる。

 新たなる覗き穴。覗き穴ガンマの誕生。


 その覗き穴の先にまず見えたのは、一本角のベヒーモス。ベベちゃんだ。しかし俺が知るベベちゃんより、いつの間にか、全体的にとても大きくなっている。


 それだけではなかった。

 ベベちゃん立派にそそり立つ一本の角に、真っ赤な猿のような生き物が串刺しになっているのだ。


 そこまで見たところで、俺は慌てて覗き魔の眼球スキルを発動する。


『テイム済みモンスター:ジャッジメントベヒーモス(半神獣)

 呼称:ベベちゃん

 所属:スライムオリジンの眷属

 スキル:突進、分裂、竜血、時跨ぎ(覚醒中)、審判

 装備:深淵竜の血染めの鼻輪

 '進化可能'

 '時跨ぎ覚醒継続中。継続終了まで23/360S。綻びポイントを使用し覚醒の延長が可能【10】'』


「――え、えっと? スキル時跨ぎ? 綻びポイントがいるの?」


 俺は思わず声に出してしまう。

 ベベちゃんは分裂にも深淵の祝福が必要だったし、今度の時跨ぎスキルは、綻びポイントがいるようだ。ベベちゃんは、大喰らいというか、どうにも何かと物入りの子、みたいだった。


 そして俺の呟きに、こんな時だけ鑑定スキルさんが素直に反応する。


『スキル時跨ぎ(覚醒)の効果を提示。効果一:所有存在の最盛期の姿へ時を越えて変化する。効果二:一定時間の移動において移動時間をスキップできる。移動範囲は群れまで含まれる。スキップする移動時間に応じて継続時間が消費される』


 鑑定スキルさんらしくない、とても懇切丁寧な説明だ。

 ただ、内容はちょっとあれだが。


 とりあえず、分かったのはスキルの効果がなんと二つもあること。

一つ目の効果が、今のベベちゃんの巨大な姿になることだろう。

 そしてたぶん、二つ目の時跨ぎスキルの効果で、今ベベちゃん達がいるところまで一瞬で移動してきたっぽい。


 その間にも、ベベちゃんに表示される覚醒の継続時間とやらが順調に減っていっている。


 なので、俺は綻びポイントを使用して、追加で覚醒を継続させるべきか判断するため、慌ててベベちゃんが串刺しにしているモンスターも鑑定する。


『モンスター:ヒヒイロサル

 呼称:ヒロイン

 所属:深淵の真なる暗黒の下僕の一。十三神獣、十三席

 スキル:立体機動、拷問魔法、半神半獣、神速移動、危機察知、鉄腕鋼指、□□□、□□□

 状態:瀕死』


 なんと神獣だ。


 しかも視線を移動したことで、俺は別のことにも気がついてしまう。


「なんでここに、焼肉の人らがいるの……」


 ベベちゃん達の足元近くに倒れている人影。


 それは前に俺に焼肉をたかってきたアイカさんと、その先輩さん。たぶん霊羅さんと顔見知りであろう、二人の女性探索者たちだったのだ。



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