第79話 ゲートを閉じてみました
そのまま自分の両手を掲げて確認すると、なぜ突然ゲートが綻びの赤い光のように見えるようになったのか、分かった気がした。
たぶん、俺のスキルがレベルアップしていたせいだろう。
『・スキル
覗き魔の眼球レベル3 27/3000
悪意なき借用レベル1 53/200
・称号
深淵を覗きし者
強奪者
・祝福
深淵の祝福レベル2 98/100』
覗き魔の眼球がレベル3へ。そして悪意なき借用もレベル1になっていた。
どちらのスキルの効果なのかなど、細かい部分が当然、気にはなった。だが残念なことに、あんまりのんびりと確認している時間はないのだ。
そもそもが神域への攻撃がいつ始まってしまうかわからない。
なので、俺はゲートを時空の綻びに戻して、報酬ボックスに変えられそうという直感のままに足を踏み出す。
幸い察しのいいドッペさんは、すぐに俺の意図を理解してくれたようだ。
オーガナイトとゴブリンアサシンの死骸で積み上がった俺の周囲の肉壁へ、その体を伸ばす。
そして、一閃。
それだけで、俺の進む方向の肉壁に道が出来上がる。
俺が踏み出す度、そうやってドッペさんのおかげで道が出来上がっていく。
「あ――」
そうして俺が何歩か歩いたところで、俺は大事なことに気がついてしまう。
うずくまったままの霊羅さんを置いてくのは危ないのでは、と今更ながらに思ったのだ。
俺が心配しないといけないほど霊羅さんは弱くない。とはいえ、あんな地面にうずくまる姿勢のままで襲われたら、さすがにひとたまりもないだろう。
そう思って俺が振り返ると、不思議なことに俺のすぐ後ろに、霊羅さんがうずくまっていた。数歩は進んだはずなのに、霊羅さんとの距離が変わっていない。
試しに俺はそのまま歩いてみる。
――ええぇ……いったい何がしたいんだろ、霊羅さん……
思わず内心でツッコミを入れてしまう。
どうやら俺が進むと、少なくとも霊羅さんもついてきてくれるようなのだ。
ただ、うずくまったまま、だ。
いったいどういう仕組みかは謎だが、たぶん匍匐前進の一種なのだろう。そこでもう、俺は彼女については深く考えることを諦める。
何よりも、今は綻び石だ。
それには、この敵の溢れ出てくるゲートがまずは邪魔なのだ。
すべての不審なことを背後に置き去り、俺はまずゴブリンアサシンがメインで溢れてくるゲートに向かって一直線に進み始める。
俺の進む先には道が切り開かれ。
背後からはズリズリという微かな不気味な音が迫る中、俺は無事に一つ目のゲートの前に立つ。
改めてそのまま両手をゲートに伸ばすと、そこにしっかりとした手応えを感じる。
その間にも眼前のゲートからは敵が絶えることなく現れては、即座にドッペさんにより排除されていく。
迷っている暇はない。
俺は手応えのあるゲートの縁の左右を、両手で握るように掴む。そして力任さに、閉じる方向へ、勢いよく両手を合わせたのだった。




