第61話 神域で寝てみました
「今日も、とてつもなく美味しいな──」
俺はアビちゃんが届けてくれた、ブラウニーちゃんたち特製のエビドリア風のごはんを、お守りのスプーンで食べていた。
このエビドリア風ごはんだが、俺には初めて口にする味だった。それは良い意味で、だ。
エビドリア風ごはんというのも、俺が今、勝手に名付けただけで、実際は入っている肉はカニとエビの中間ぐらいの食感。
ただ、俺が食べたことのあるどんなエビよりぷりぷりで、カニより断然、旨味が濃く深い。
さすがダンジョン産食材といった逸品で、神々の食事と言われたら納得してしまう味だった。
──ダンジョンでも、エビやカニっぽい風味の食材って採れるんだなー。うますぎる……しかし、みんな忙しそうだ。
神域が新たに覗き穴ベータの先に設置されてから、アビちゃんもドッペさんも覗き穴アルファとベータを頻繁に行き来していて、べべちゃんとベヒーモスズも何かと忙しそうなのだ。
ちなみに、アビちゃんとドッペさんによりバラバラに粉砕されたオリヒメの死骸は、欠片の一つも残さず、全てブラウニーちゃんたちの元へと運ばれていた。
今回の影の功労者のべべちゃんたちに、何かいい装備をつくってあげてと俺からは言付けを託してある。
そんな訳で、俺は一人で食事をしていた。
そしてお守りスプーンで食事を口に運ぶ俺の視界の端には、キラキラとした輝きが依然として存在していた。
そう、畳の上の、神域だ。
とりあえずダンジョンに出来た神域は、俺の支配領域であることにプラスして、鑑定によれば少なくとも疲労回復と、治癒能力向上の効果があった。
ただ、例によって例のごとく、鑑定での表示には、文字化けが一部あるのだ。
そのため、俺はまだ畳の上の神域に触れないでいた。
とはいえ、もうそろそろ眠たい。
そして、俺の部屋は、とても狭いのだ。
布団をひくには、必然的に畳の上の神域が邪魔になる。頑張って家具をすべて退かせばギリギリ神域を避けて寝れなくもないが、毎回それをするのもめんどくさいことこの上ない。そしてそこまでしても、変な体勢で寝ることになるので、体を痛めそうだ。
「はぁ。ま、仕方ないよね」
俺は神域がある畳を覆うように、布団を広げる。
すると、畳の上に見えたキラキラが布団を貫通するようにして、現れる。
そう、布団の上の一部が、今度はキラキラとし始めたのだ。それどころか、心なしかくたびれた布団がどこか、ふんわりしたように見える。
「うわぁ……」
少しだけ嫌な予感を感じながらも、長かった一日の疲れは抗いがたい。俺は神域が出来てしまった布団に潜り込むと、すぐに寝いってしまうのだった。




