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覗き穴ダンジョン~自宅警備員の俺の部屋の壁にダンジョンの深淵を覗ける穴が空いた件  作者: 御手々ぽんた


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第59話 エルダーフェンリルの死骸の使い道がわかりました

「やった! アビちゃんにドッペさん、ナイス!」


 ドッペさんがスライムオリジンの体となって参戦してからは、オリヒメを倒し決着がつくまで、あっという間だった。


 俺が深淵を覗く先では、俺の眷属たちが互いの健闘を喜び、称えあっている。とても楽しそうだ。


 その眷属たちの喜びに当てられたように、俺も一人アパートの部屋で、壁に顔を擦りつけながら気分が高揚していく。


 そんな皆の中央には、二体の神獣の死骸。

 原型を留めているエルダーフェンリルと、粉砕された残骸のオリヒメ。


 ──あれ、そういえばオリヒメを倒したことで、もう一体分、神獣の枠が空いたことになるんだよな。


 試しに、覗き魔の眼球で見ていくと、アビちゃん以外には進化可能の文字がやはり見える。


 ──順当に考えると、次はべべちゃん、かなー。アビちゃんと、神獣に進化させたべべちゃんの姿に、ドッペさんが変化できるなら、実質三人分の神獣、ってことになるし。まだ、敵の神獣が襲ってくる可能性があることを考えるなら、戦力的にはそれが一番、良さげ。


 そんな先のことをつらつらと俺が考えているときだった。


 今回の最大の功労者たるアビちゃんとドッペさんが俺の覗く穴の方へと近づいてくる。


 ──あ、二人が来そう。これはもしかして、あれかっ。褒めてほしくて戻ってくるのかな。うんうん。これは二人とも、盛大に褒めてあげないと!


 スライムオリジンとなったことで、コンパクトになったアビちゃん。

 いまなら抱っこして、よしよしと撫でてあげることすら可能だろう。


 俺は二人を盛大に労ってあげなきゃと身構えると、覗き穴から少しだけ離れて待ち構える。

 きっと、直ぐに覗き穴からこちらへとアビちゃんたちが出てくると、そう思ったのだ。


 ──あれ、遅いな?


 出てこない。

 どうしたのだろうと、恐る恐る覗き穴ベータに近づいて深淵を覗き込む。


 どうやら、アビちゃんたちが覗き穴の方へと近づいてきたのは別の理由があったようだ。


 べべちゃんとベヒーモスズがエルダーフェンリルの死骸を、覗き穴の近く、アビちゃんたちのところまで引きずってきている。


 ──何が、始めるんだ? そういや、皆、あのエルダーフェンリルの死骸をかなり大事なものと意識してる感じだったし。まあ、神獣の死骸だから何か使い道があるんだろうけど。


 俺がブラウニーちゃん達に加工でもしてもらうのだろうかと首を傾げていると、アビちゃんとドッペさんがなにやら体の一部を伸ばして俺に向かってゼスチャーを始める。


 予想とは違い、エルダーフェンリルの死骸について何かを俺にしてほしいらしい。


 なんだろうと思いながら、エルダーフェンリルの死骸を改めて覗き魔の眼球で見てみる。前に見たときは特に何もなかったはずだが、わざわざアビちゃんに言われたのだ。確認しないわけにはいかない。


 そんな俺の動きを感じたのか、アビちゃんが俺とエルダーフェンリルの死骸の間に入ってくる。

 そのまま、体を変形させて、まるで捧げるようにエルダーフェンリルの死骸を持ち上げるアビちゃん。


 バランスがとりにくそうで、アビちゃんがぷるぷるとしていて少しだけ可愛いと思ってしまう。


「あっ」


 俺の左目に映る文字列が、変化した。


『神獣(席外)により、神獣(十二席)の亡骸をシステムへ献上。アクセス不可領域への強制介入が可能となります。神域を作成しますか。使用綻びポイント【10】』



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