第54話 大量にゲットしてみました
「凄いね、ドッペさん。こんなに大量なの、初めてだ」
俺は霊羅さんの姿をしたドッペさんと、ウキウキ気分で帰っているところだった。ドッペさんも俺につられたのか嬉しそうに笑っている。
時空の綻び探しは想像以上に順調で、これまでにないぐらい、大量の収穫があった。
それも、綻び石ばかりだ。持ってきていたコンビニ袋が心地よい重さになっていた。
どうやら嗅覚探査は、時空の綻びのサイズまで指定して探すことが出来るようなのだ。
というのも、ドッペさんが案内してくれた時空の綻びはどれも小さいサイズのもので、当然、綻びから手に入る箱も小さいものばかりだったのだ。
そうなると、その場で箱を開けて中身だけ回収するのも容易だった。箱はすぐに消えてしまうので。
──ドッペさんが周囲を見てくれているから、誰かに見られる心配もしなくて良かったしね。本当に、この見た目でさえなかったら完璧だったのに……
俺はワンピース姿の霊羅さんの見た目をちらりと横目で見る。
中身がドッペさんだとわかっていても直視するのが少し気まずい。それぐらい、圧倒的だった。
──あと、やっぱり、どうしても目立つんだよな……。なんであんな奴がこんな美女を連れてるんだという視線を、今日は何度、浴びたことか………
俺はやれやれと首をふると、気を取り直してコンビニの袋に詰めてある今日の収穫を改めて覗きこむ。
──本当に素晴らしい収穫だよな。十個以上あるし……そういや、一個、変なのあったな……
俺はコンビニの袋に手を突っ込んでガサガサと漁る。
すぐに探していた物が見つかる。
それはサイズは綻び石と同じくらいの石。ただ真っ白で、立方体の数字の入っていないサイコロのような見た目だった。
「まあ、帰って落ち着いたら鑑定すればいいか──ああ、ごめんごめん。何でもないよ、ドッペさん。独り言独り言。さ、帰ろうか。べべちゃんたちを待たせてる訳だしね」
俺はこちらを気にしていたドッペさんに謝ると、二人して家路を急ぐのだった。
◆◇
「ただいま……あれ、アビちゃん、いない?」
俺は部屋に入りながらドッペさんと顔を見合わせる。
ドッペさんがこてんと首を傾げて壁の方を指差す。
アビちゃんは深淵にいるんじゃない?と伝えたいのだろう。
「ああ、そうだよね。ただいまー」
帰宅して早々に、俺は冷蔵庫の壁にある覗き穴ベータから深淵を覗き込みながら、アビちゃんに帰ってきたよと伝えようと声をかける。
俺が覗きこんだ先の深淵。そこは、再び戦場と化していた。




