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覗き穴ダンジョン~自宅警備員の俺の部屋の壁にダンジョンの深淵を覗ける穴が空いた件  作者: 御手々ぽんた


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第47話 新しい穴を空けてみました

 アビちゃんたちの出立を見送ってからどれくらい時間が経っただろうか。


 俺は布団に横になっていた。手には何かの骨でできた姉妹人形の片割れを握って、ぼおっと天井を眺めている。


 何かしようか、とも思ったのだが、どうにも気が散ってしまって、集中できなかった。


 それに他のことをしていて、万が一、姉妹人形が損壊したことに気がつかなったら、せっかくの皆の準備が無駄になってしまう。

 それは何としても避けたかった。きっと、そんなことになったら後悔するだろうから。


 そのため、俺は久しぶりに、こうやってぼーとしながら天井を眺めているのだった。


 こうしていると、深淵を覗く穴を見つける前のことを思い出す。働いていた会社が倒産し、無気力に部屋に篭っていた時のことだ。


 あれからそんなに時間は経っていないのに、随分と前のことのようだ。あの時と、ちょうど俺は同じ様なことをしているけれど、気持ちは全然、違った。


 何せ、今の俺は一人じゃないのだ。アビちゃんが、そして皆がいる。頼もしい仲間たち。心許せる友、と俺が言ってもきっと皆、快く受け止めてくれるだろう。


 その時だった。

 手のなかで一瞬、姉妹人形が震えた。


「来たかっ!」


 次の瞬間、ぽきんと半分に折れる姉妹人形の片割れ。そのまま、姉妹人形が崩れていく。それは明らかにアビちゃんからの合図だった。


 俺は、がばっと勢いよく起き上がる。急がなくちゃと、なぜだか思ったのだ。


 冷蔵庫のある壁へと走り寄る。

 新たな覗き穴を空ける場所は、事前に決めていた。


 今ある覗き穴の隣、少しだけ離れていて、立っていても覗ける高さ。


 その予定していた場所に急ぎ立つと、俺は顔を壁につけるようにして、スキル覗き魔の眼球を使用しながら叫ぶ。


「『覗き穴追加』っ!」


 狭く、静かな一人きりのアパートの部屋に、俺の叫び声が響いた次の瞬間だった。

 声に呼応するように俺の左目が熱く脈打つ。その俺の左目の先。


 壁に小さな小さな点が、一つ現れる。


 俺は視線をそらさないようにして、じっと待つ。


 すると、左目にノイズが走りはじめる。

 それも何度も、何度もだ。そのノイズのせいで、壁に現れた点が揺れる。


 俺は一切視線をぶらさないように、壁に両手をつくと思いっきり踏ん張る。


 そうしていると、俺の視線の先の壁に現れた点が、安定し、揺れていた動きも無事に止まる。


 点が、穴となる。


 そして徐々にその穴が広がっていく。

 まるで俺の視線が、文字通り穴を空けているかのようだ。


 そうやって、穴が広がるにつれ、ゆっくりとその先の景色が見えはじめる。


 そこに映ったのは、激しい閃光。そして、騒音。


 まるで何か尋常ならざる存在たちが、生存をかけてあい争うかのような、光と音。


 小さな覗き穴が、完全に空く。深淵へと続く、新たなる覗き穴だ。


 その覗き穴の先。

 そこではアビちゃんたちが激しい戦闘を繰り広げていた。

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