第43話 検証を続けてみました
「ふーん。ドッペさんは、ベヒーモスにはなれるけど、深淵竜にはなれないのかー」
俺の覗いている深淵では、ドッペさんが次々にベヒーモス達の姿をとり、水を出したり竜巻でホバリングしたりしているところだった。
「……サイズはそんなに違わないと思うんだがな。他に何か理由があるんだろうな」
ちなみに、ドッペさんの能力の検証で、変化が継続できる時間は不明だった。何せ、あのあとずっと霊羅さんの姿のままだったのだ。とりあえず、俺から離れると、その直前にとった姿を継続する、ということはわかった。
変化の継続時間については、後日、改めて要検証にした。時間のあるときに、後回しだ。そして俺はそのまま別の項目の確認を行っていた。
そのうちの一つ。変化出来る姿の制限の有無の確認。そこで、どうもドッペさんが変化出来ないものもあるようなのだ。まあ、当然といえば当然の結果ではある。
深淵竜は、ダメだった。
「じゃあ、次は霊羅さん以外の人間に……」
俺がそこでふと思い付いたのは、焼き肉をたかってきた探索者の人だ。
「たしか、アイカさん、だったっけ──うーん、これもダメか」
俺は記憶を手繰り寄せるようにして思い出すも、ドッペさんは霊羅さんの姿のままだった。
その後も色々と人の姿を思い出すも、ことごとく失敗。結局、ドッペさんがなれたのは、眷属たるアビちゃんたちと、プラスでなぜか霊羅さんだけのようだ。
「法則がわからないな……これ、霊羅さんが入ってなかったら、ドッペさんが変化できるのは俺の眷属だけってことになるんだが。──逆に考えて、霊羅さんが俺の眷属だとか? いや、まさかな。そんなことある訳ないか」
頭をひねるが、全くわからなかった。
そこで、そういえば最近自分を鑑定スキルで見ていなかったなと思い出す。
何か検証のヒントがないかなと俺は自身の左手を鑑定で見てみた。
『・スキル
覗き魔の眼球レベル2 7/300
悪意なき借用レベル0 13/20
・称号
深淵を覗きし者
強奪者
・祝福
深淵の祝福レベル2 48/100』
「あ、覗き魔の眼球のレベルが一つ上がってる!深淵の祝福もだー。いつの間に」
全然、レベルが上がっていることに気がつかなった。
そして久しぶりに確認をしたので、何でこんなにポイントが貯まったのか、はっきりしない。まあそれなりに色々と覗き魔の眼球スキルを使っていたので、そのどれかが特に高ポイントだったのだろうか。
そして地味に、次のレベルアップまでのポイントがえぐいことになっていた。
「とりあえず、覗き魔の眼球から……」
ドッペさんの件はすっかり頭の片隅だ。俺はわくわくしながら呟くと、左目に映る文字列がいつものように変化する。
『スキル覗き魔の眼球レベル2の効果を提示。スキル鑑定を内包。スキル粗探しを内包。スキル蔑視耐性を内包。スキル邪眼耐性を内包。称号「強奪者」の効果によりスキル邪視を内包。保有者は深淵の支配者へと至る資格を持つ。筆頭眷属の存在を基点に、覗き穴を追加可能(1/1)』
「ふむふむ、内包するスキルに追加はない……覗き穴の、追加っ!?」
最後まで読んで、俺は思わずそんな大声をあげてしまったのだった。




