第44話 覗き穴の追加を検討してみました
「覗き穴の追加かー。これは地味に嬉しいな」
冷蔵庫の横にある穴から覗ける範囲はやっぱり狭くて、常々、もっと深淵の色んな所を見てみたいなーと思っていたのだ。
「この、筆頭眷属というのは、アビちゃんのことだよね。つまり、アビちゃんが行ける範囲に追加で一つ、か」
これはどこに覗き穴を設置するか、なかなかに悩ましい。
俺の支配領域の縁に設置すれば接近してくる部外者を見張れそうだ。
それか、俺の支配領域内でも別の角度から見れるように設置するという手もある。
支配領域内にいる眷属たちも、ベヒーモスズにブラウニーちゃんたち、そしてドッペさんと、かなり数が増えてきた。なので、一ヶ所からの覗き穴だと、見ることの出来る皆の行動も限定的だったのだ。
これが例えばブラウニーちゃんたちの工房の中に設置させてもらえれば、ブラウニーちゃんたちが物を作っている姿を見られるようになりそうだ。
ベヒーモスズの休んでいる所の近くに作ったら、のんびりしているベヒーモスズやべべちゃんを眺めるのも癒されそう。
「あとはやっぱり定番だと、今の位置からできるだけ遠くに作るか、だよね」
ダンジョンの一層では、さまざまな位置のゲートを使ったダンジョン物流がとても盛んなのだ。
それに似たことが、二ヶ所の出入口があればこっちでもできそうだなーと思ったのだ。アビちゃんやドッペさんなら覗き穴を通して俺の部屋を経由できる。そうすれば、長い距離を短縮して移動出来るだろう。
夢は広がるばかりだった。
ちなみに、鑑定スキルによる追加の文字列によると、覗き穴の追加には深淵の祝福を40ポイント使用するようだった。
まあ今、48あるのでそれは問題ない。
「あと、問題はこれだよな」
鑑定スキルにより表示された追加の文字列をみての独り言が、止まらない。
文字列を読み解くと、どうやら俺が覗き穴の追加を宣言したタイミングでアビちゃんが居るところと、俺の左目が見ているところが繋がりそうなのだ。
つまり、アビちゃんがどこにいるのか正確に知らないままに、俺は覗き穴を繋ぐことになりそうだった。
「今の覗き穴の位置から遠くに作る一番の問題は、ここだよね。あれ、ちなみにその場合って、アビちゃんには奥に行ってもらうのかな? それとも地表の方面、か?」
嬉しい追加の項目だとは思いつつ、どうやらこの覗き穴の追加には、とても悩ましい問題が山積みだった。
「……まずはアビちゃんとドッペさんと、相談しよう」
俺はそう決めると、アビちゃんが深淵から戻ってきてくれたタイミングで話しかけることにした。




