霜月の詩
「掌編集 100の小話」を書いていた時期のものです。
霜月に物語は流れていく。寂しい詩を、掌編に流してーー。
秋風がススキを凪いでいく。冷たい風と共に。意味も無くビニール袋が吹き飛ばされている。
ぬいぐるみで作られた鳥は羽ばたかない。スリルは味わえない。
冬になったらお別れだ。今年の秋とはもうお別れだ。来年また会いましょう。そう言って去っていってしまった。
あなたとわたしは違うから。だから去っていくのだろう。哀愁を抱えながら。
泣かないで。はなればなれにしないで。終わらせないで。そう願ったとしても無駄なのだから。
作りかけのセーターにも、二人の思い出が込められた宝物も、キャンドルの灯火を吹き消すかのように去っていってしまう。
込めた愛情も冷めてしまう。残酷な冬のはじまり。どうすればいいの?
遺された者の気持ちを考えないで。ただ脳裏を掠めるばかり。
目まいがするたびに思い出される。どうせなら永遠に忘れさせて。
冷たい雨が降っている。身体を芯から冷やしていく。微熱が強まり、熱発を引き起こす。良い夫婦になれると思っていたのに。
一筋の光が照らす日差しが眩しくて。どうせなら、落ちていくような感じを味わいたくなる。高まった熱が平熱へと下がっていくように。
鏡の中の自分はどんな顔をしているのだろうか。冬の反射する光で目を眩ませながら、そう思っていたーー。
雪待月の時は、極月へと、師走へと流れていくーー。




