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おにぎり

 おにぎりは美味しいもの。誰かや、自分の手作りならば特に。

 コンビニやスーパーのおにぎりは、それはそれで美味しいのだが、値段がかかる。

 昔は安く買えた米も、今では物価高の影響で高価になってしまっている。だからだろうか。おにぎり屋の看板が早く閉めてしまうのは。

売り上げの落ち込みと仕入れ高によって、おにぎりを作れる量は減ってしまっている。

嵩増しはしたくない。純米100%が店の売りだったから。その信念を貫いて。彼女はおにぎりを握っている。

経営自体は祖父の道楽だからこそ、危機に陥ることは幸いにして無い。

 だけど、彼女が作るおにぎりを大切にしてくれている人たちに対して、顔向けができないのである。

愚痴や不満を零したくなるが、そうすればお金が逃げてしまうと祖父から教わっている。だからしたくない。せめて、原材料であるお米が安ければいいのに。そう彼女は願っていた。

 そこに転機が訪れる。彼女が握るおにぎりの味を知った農家の一人が彼女と専属取引したいと申し出たのである。

一体どういうことなのであろうか。

 彼曰く、大事に育ててくれたお米を、そして美味しく握ってくれることに感激したそうだ。

 理由を聞いた彼女はすぐさま二つ返事で了承した。

 しばらくして、彼女のおにぎり屋は早く閉めてしまうことはなくなり、通常の営業時間まで開けることができるようになったのである。

 彼女の握るおにぎりは普通の味付けだが、その素朴さが人気となっているのであるーー。

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