影
キミの隣にあるものは何かな。空気だと大半の者は答えるだろう。
しかし、キミの隣にいるのは一つの影だ。ただの影じゃない。生きている影。
私は知っているよ。知っているだけに過ぎないのだがね。
キミの影は、様々な形をして夜に暗躍していった。そうだろう。
町長の暗殺も。開かずの宝箱も。図書館の怪物を退治したのも。
私はキミが行なったことを知っている。キミのような存在は、私にとって希有な存在だ。
私はしがない傍観者にすぎないのだよ。最後まで傍観者を貫くのだ。
キミがすることに私は干渉することはできない。仮にできたとしても、しない。
お互い、不干渉を貫くこうじゃないか。そのほうが、私のためにも、キミのためにもなる。
私からキミに忠告しておこう。普通、影というのは光によって生じるのであり、自由に動くことは無いのだよ。
なのに、キミの影は自由に動いている。おかしいと思わないのかね。それとも、偽神の戯れなのかもしれないが。そんなことは私の知る由もないことだ。
そのことを知った今、キミはどう動いていくのかね。これからも暗躍を続けていくのかね。どちらにしても私はキミの行動を見て、楽しませてもらおう。
ブラッドスミスの名を持つカクテルを呑みながらね。カーディナルも良いかもしれない。
でも、キミは呑まないのだろう。断酒の果てにあるものにキミは目を向けているのだから。
その先にあるのは何なのか。それは偽神のみぞ知るのだろうーー。




