礼儀正しい
時刻は深夜0時を刻んだ時のこと。ある町のコンビニでは、いつものように常連客がやって来ては買い物をする。店員はレジを打ち、イートインコーナーで買った物を食べる客。それだけの関係である。食べ終わればゴミ箱に捨てていく。無口だが礼儀正しい。
店員のほうも深夜帯にも関わらず決まりきった対応をする。しかし、マナーはしっかりしている。
互いに礼儀を弁えている。そんな関係である。
そんな二人の関係に新たな風が舞い込んできた。深夜バイトの女性である。
彼女もまた言葉の使い方を除いては、礼儀正しいほうだった。否、この町では礼儀が良くないといけないのである。
町長曰く、「礼儀の乱れは心の乱れ」らしく、礼儀を乱せば、強制矯正が待っているからだ。
しかもそれは礼儀が身に付いたと判断されるまで続く。つまりは、誰も礼儀を乱した行動が取れない。マインドバインドとも言える状態になっていた。
しかし、町長だけは、発令者特権だけに例外的に無効となっていた。
町長に逆らうならば、強制矯正の対象になる。どんなにハラスメントをされてもだ。
しかし、町長による強制は不意に終わりを告げる。
何者かが町長を襲撃し町長は生命を落としたのである。
その町は無理矢理の礼儀正しさは無くなった。風紀が良くなったのである。
ハラスメントをしていた町長は亡くなり、新たな町長が生まれた。
以前の公約である「礼儀正しい町を」は撤回され、新たな公約が成された。
それは「マナーを守りつつ自分らしく」と言うものだった。
そのおかげかどうかは知らないが、礼儀正しさは多少崩れつつも、コンビニの店員たちと客たちには笑顔が浮かんでいたのであるーー。




