開かずの宝箱
とある公園のベンチの下には宝物が埋まっていた。他愛ない公園のベンチにである。
最初は子供の何気ない悪戯だと思われていた。おもちゃの鍵で開けられると誰もが思っていた。しかし、どうやっても鍵穴を通さなければ開かない仕組みになっていたのである。
「開かずの宝箱」そう命名されたのは宝箱は公園の管理人が預かることになった。
彼ならば安心と思われていたのである。仮に泥棒が入ってきても、中身を知ることはできない。ピッキング技術に手慣れているかどうかは別の話になるのだが。
宝箱の鍵を巡って捜索隊が自主的に形成された。メインは子供たちだが、暇な大人も混じっている。ニートなのかホームレスかは知らないが。
捜索隊ができてしばらく経った頃のこと。子供たちや大人たちも飽きが来てしまったのか。鍵探しは止めてしまった。
「開かずの宝箱」は未だに開かずを貫いていた。
しかし、飽きが来てしばらく経った転機が訪れる。何でも町を騒がせている怪盗と名乗る人物が「開かずの宝箱」を開けてみせると公園の管理人に挑戦状を届けたのである。
警察も黙っていなかった。件の怪盗は別の町で生じた町長殺害事件と何らかの関わりが浮上していたのである。
その町では町長が亡くなったことで自由を満喫しているそうだが、それは余談である。
怪盗は警官の振りをしながら、件の宝箱の前に来た。そして、ピッキング技術を持ってして、中身を見ることができたのである。
その中身とは何だったのか。それは一つの挑戦状だった。宝箱を開けた者に対する新たな古びた挑戦状。それを見た怪盗は静かに、だがしっかりと笑い出した。時代遅れの技術であったことに。
怪盗がすでに習得していた技法であったが故に。しかし、技法は技法。終わらせずに誓うのであった。
そして、公園の管理人にこう言った。
「開かずの宝箱にしておくか、もう開けてしまったのが、どちらがいいかい?」




