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美術館のニ階
私は気がつくと美術館の二階にいた。
吹き抜けの美術館である。
一階の展示物を二階から眺める。すると、一階から人影が現れた。どうやら展示物を鑑賞しているようである。
正直、羨ましいと思った。展示物を間近で見られるのだから。
遠目からでは鑑賞が難しいというのに、彼は間近で鑑賞できる。
私にはできないのだ。遠すぎて、星の輝き程度にしか分からない。展示名すら分からない。
彼のように間近で鑑賞できたら良いのに。
私は不満を抱いていると、急に彼は驚いて膝や頭を床につけて、まるでひれ伏すようになった。
彼の急な行動に嫉妬よりも、何故か心配が先立った。
どうしたのだろうか。彼がさっき見た展示物のせいだと思う。この状況ではそうとしか考えられない。
やがて、私の視線は捉える。あの赤色金剛石を。美しくカットされた宝石を。四つの貴石を持つ宝石を。
女王の名に相応しき宝石を。
そして、奇しくも彼と同じ結論が出てくるだろう。
あの宝石がこの美術館に飾られているということはすなわち、所有者に最後の鬼籍を与えたのだとーー。




