↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力外とみなされSランクパーティから追放されたけど、実は最強のバッファーです〜祖父は伝説の賢者です〜  作者: 青上黒影
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/50

第9話 依頼

 翌朝。


「カイムー!」


 昨日と同じように、部屋の外からリゼットの声が聞こえる。


「起きてるー?」


「起きてるよ」


「じゃあ早く出てきて!」


「朝から元気だなぁ……」


 俺は布団から出る。昨日は魔法の実験で疲れたはずなのに、リゼットは朝から元気いっぱいだ。俺は顔を洗って、食堂へ向かった。


「おはよー」


「おはよう」


 すでにリゼットは朝食を食べ始めていた。


「カイム、これ美味しいよ」


「俺の分まで食うなよ?」


「食べてないよー」


「口にパンついてるぞ」


「え?」


 リゼットが慌てて口元を拭う。


「ないじゃん!」


「引っかかったな」


「もう!」


 リゼットが頬を膨らませる。


「朝から意地悪!」


「悪かったって」

 

 朝起きたら話し相手がいる——少し不思議な感じだ。


「今日はどうする?」


「冒険者ギルド!」


 リゼットは元気よく立ち上がった。


「新しい依頼、探そ!」


 朝食を済ませ、俺たちは冒険者ギルドへ向かった。ギルドの中は朝から人が多い。


「今日も混んでるな」


「依頼を受ける人が多いんだね」


 掲示板を見る。薬草採取、荷物の護衛、魔物の討伐。色々な依頼が貼られている。


「どれにする?」


「これ!」


 リゼットが1枚の依頼書を取る。


「近くの村の護衛?」


「うん」


「魔物討伐よりは楽そうだな」


「楽そうだから選んだんじゃないよ」


「じゃあ何で?」


「村! 知らない場所に行けるから」


「ああ……」


 なるほど。リゼットは本当に冒険が好きなんだな。


「じゃあ、これにするか」


「決まりだね」


 俺たちは受付へ向かった。


「護衛依頼ですね」


「はい」


 受付嬢が依頼書を確認する。


「目的地は王都から半日ほど離れた村です。最近、村の近くで魔物が目撃されているそうなので、少し注意してください」


「わかりました」


「それと――」


 受付嬢が俺を見る。


「お二人だけで大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


 俺が答える。


「昨日もホブゴブリンを倒してますから」


「ホブゴブリンを?」


「はい」


 受付嬢がリゼットを見ると、リゼットは胸を張る。


「私、魔法は得意なので!」


「そうですか。では、気をつけて行ってきてください」


「はい!」


 俺たちはギルドを出た。


「楽しみ〜」


「護衛だから、観光じゃないぞ」


「わかってるってば」


「本当に?」


「本当に」


「不安だなぁ」


 王都の門を出る。村までは徒歩で半日。俺たちは並んで歩く。


「そういえばさ。カイムって前のパーティではどんな感じだったの?」


「前の?」


「聞いたよ。【星の剣】にいたんでしょ?」


「……」


 俺は少し黙る。


「普通だったよ」


「普通?」


「ああ。4人で依頼を受けて、魔物を倒して、飯を食って……」


「楽しかった?」


「……まあな」


 少しだけ胸が痛む。もう戻れない。でも――。


「今は今だ」


「そっか」


 リゼットはそれ以上聞かなかった。しばらく歩いていると、村が見えてきた。


「あそこだな」


「おー!」


 リゼットが駆け出す。


「おい、待て!」


「早く早く!」


「護衛対象を置いてくなよ!」


「ごめーん!」


 やっぱり自由すぎる。

 村に到着すると、依頼人らしい男性が俺たちを出迎えた。


「冒険者の方ですか?」


「はい」


「助かります。最近、村の近くで魔物が出るようになってしまって……」


「どんな魔物ですか?」


「それが……」


 男性が困った顔をする。


「姿を見た者がいないんです」


「見てない?」


「はい。ただ、夜になると森の方から大きな音が聞こえてきて……」


「なるほどぉ」


 リゼットが腕を組む。


「何かいるのは間違いなさそうだね」


 俺たちは村にある宿へ案内された。今日はここで一泊するらしい。


「夜になったら森を見に行ってみる?」


「え?」


 リゼットが俺を見る。


「行くの?」


「依頼だろ?」


「そうだったね。じゃあ夜まで休憩か」


「魔法の実験は禁止だからな」


 念のため釘を差す。


「えぇ〜!」


「昨日、岩山を削っただろ」


「ちょっとだけだよ?」


「ちょっとじゃない」


「むぅ……」


 リゼットが不満そうな顔をする。俺たちは宿で少し休んだ。そして夜。俺たちは村の外に出た。

 月明かりだけが森を照らしている。静かだ。昼間とはまるで違う。


「何かいる」


「わかるのか?」


「魔力を感じる」


 リゼットが杖を握る。


「かなり近い」


 俺も周囲を見る。


「どこだ?」


「あっち」


 リゼットが森の奥を指差す。俺たちは慎重に進んでいく。すると――。


 ——ガサッ。


「……!」


 茂みが揺れた。


「来るよ!」


 俺は【強化】を使う。


「【強化】!」


 身体が軽くなる。次の瞬間。森の奥から、巨大な魔物が姿を現した。


「何だあれ……」


 見たことのない魔物だった。4本の脚。鋭い爪。額には黒い角が生えている。


「リゼット、知ってるか?」


「知らない」


「え?」


「私も初めて見た」


 リゼットが杖を構える。


「でも――」


 魔物がこちらを睨む。


「多分かなり強いよ」


 俺は拳を握る。


「丁度いい。新しい力を試せるじゃないか」


「それ、昨日からずっと思ってたけど。戦うの、結構好きになってない?」


「そうでもないよ」


 魔物が地面を蹴った。その瞬間、森の奥——俺たちから少し離れた場所に、一瞬だけ人影が見えた。俺はそちらを見る。


「カイム?」


「いや……」


 誰かいる。でも、次の瞬間にはもう消えていた。


「……気の所為か」


 俺は魔物へ向き直る。今は目の前の敵に集中する。だが――。森の奥では、誰かが俺たちを見ていた。


「…………」


 その人物は何も言わず、静かにその場を離れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。