↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力外とみなされSランクパーティから追放されたけど、実は最強のバッファーです〜祖父は伝説の賢者です〜  作者: 青上黒影
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/50

第10話 魔物

「グルルルル……」


 目の前の魔物が低く唸る。改めて見ると、かなり大きい。普通のウルフよりも一回りは大きく、額から生えた黒い角が月明かりに照らされていた。


「いけそうか?」


「勿論!」


 リゼットが杖を構える。


「その前に」


 俺はリゼットへ手を向ける。


「【強化】」


 淡い光がリゼットを包む。


「よし」


「やっぱり凄いね、これ」


「もう1回いくぞ」


「おっけー」


「【強化】」


 さらに淡い光がリゼットを包む。


「ふふっ。魔力が溢れてくるこの感じ、結構好きかも」


 魔物が動いた。


「来るよ!」


 黒い巨体が地面を蹴る。


「速っ!?」


 俺は横へ飛んだ。


 ——ドゴォン!


 さっきまで俺がいた場所に、魔物の爪が振り下ろされる。


「危な……!」


「【ファイアボール】!」


 リゼットの炎が魔物へ飛ぶ。


 ——ドォン!


「グルルルッ!」


 魔物が炎を受けながらも止まらない。


「効いてないのか!?」


「効いてる! でも硬い!」


「めんどくさいな!」


 魔物が再び俺へ飛びかかってくる。


「だったら!」


 俺は拳を握る。


「こっちも強化だ」


「【強化】!」


 身体に力が流れ込む。俺は地面を蹴った。


「おおおっ!」


 魔物の爪を避け、その横へ回り込む。そして。


 ——ドゴォン!


 拳を叩き込んだ。


「グォォッ!?」


 魔物の身体が横へ吹き飛ぶ。


「よし!」


 しかし、魔物はすぐに体勢を立て直した。


「マジかよ」


 普通のウルフならこれで終わっていた。こいつは明らかに違う。

 俺は魔物との距離を取る。


「リゼット、何かわかるか?」


「ちょっと待って!」


 リゼットが魔物を見る。


「魔力が変。魔物の中にある魔力とは違う」


「どういうことだ?」


「うーん、何かが混ざってる?」


 リゼットが首を傾げる。よくわからない。だが、普通の魔物ではないらしい。


「ま、倒してから調べればいいっしょ」


 リゼットが杖を掲げる。


「少し時間がほしい!」


「任せろ!」


 俺は魔物の前へ出る。


「お前の相手は俺だ!」


「グルルルッ!」


 魔物が俺へ突っ込んでくる。速い。だが、今の俺なら見える。


「遅い!」


 爪を避ける。反対側へ回り込む。


 ——ドゴォン!


 蹴りを腹へ叩き込む。


「グォッ!」


 魔物がよろめく。そこへ。


「カイム!」


 リゼットの声が聞こえた。


「離れて!」


 俺はすぐに距離を取る。リゼットの杖の先には、巨大な魔力が集まっていた。


「今度は加減するから」


「できるのか?」


「多分ね!」


「不安しかない」


 リゼットが杖を前へ向ける。


「【フレイムバースト】!」


 巨大な炎が魔物へ向かう。


 ——ドゴォォン!


「グォォォォッ!」


 炎が森を照らす。熱風が俺のところまで届いた。


「熱っ!」


 炎が消える。そこには。


「……どうだ?」


 魔物はまだ立っていた。


「嘘だろ」


「硬すぎでしょ」


 リゼットも驚いている。魔物の身体には大きな傷がついている。だが、倒れていない。


「グルルル……」


 魔物がゆっくりとこちらを見る。そのとき、魔物の額にある黒い角が光り始めた。


「下がって!」


 リゼットが叫ぶ。次の瞬間、黒い角から何かが放たれた。


「っ!」


 俺は咄嗟に横へ飛ぶ。


 ——ズドォン!


 地面が大きく抉れた。


「今の魔法か!?」


 魔物がさらに黒い光を集める。


「もう一発来る!」


 俺は地面を蹴る。黒い光が放たれる。だが。


「【強化】!」


 俺はさらに自分を強化した。身体が軽くなる。黒い光を避けながら、一気に魔物との距離を詰め、拳を振り上げる。狙うのは。


「あの角だ!」


 ——バキィン!


「グォォォォォッ!?」


 拳が黒い角へ命中した。角に亀裂が入る。


「もう一発!」


 俺は再び拳を握る。


 ——ドゴォン!


 黒い角が砕けた。


「グォォッ……!」


 魔物の身体から黒い魔力が溢れ出す。


「離れて!」


 俺はすぐに後ろへ飛ぶ。黒い魔力が空へ消えていく。そして——魔物の身体がゆっくりと倒れた。


 ——ズンッ。


「やったか」


 俺たちはしばらく動かなかった。魔物が完全に動かなくなったのを確認してから、近づく。


「うーん」


 リゼットが魔物を調べる。


「これは普通じゃない」


 リゼットが砕けた黒い角の破片を見る。


「何かの魔道具みたい。魔物が使うものじゃないけど」


「誰かが付けたとか?」


「その可能性はあるね」


 俺とリゼットは顔を見合わせる。


「誰がそんなことを?」


「さぁ」


 リゼットが真剣な顔をする。


「でも、気になることがある」


「何?」


「昨日」


 リゼットが俺を見る。


「視線を感じなかった?」


「ああ」


「私も。昨日の草原で、何となく誰かに見られてる気がした」


 偶然じゃないのか? 昨日から、誰かに見られている。そして今日、この妙な魔物が現れた。


「まさか……」


 リゼットが周囲を見る。


「誰かが私たちを見てる」


 森の中に、静寂が戻る。さっきまで聞こえていた虫の鳴き声すら、今はやけに遠く感じた。


「……帰るか」


「そうだね」


 俺たちは村へ戻ることにした。


「ねえ、気になってたんだけど。あなた、魔物と戦うの慣れてきたでしょ」


「まあ、ずっとパーティで戦ってたからな」


「でも前は前衛じゃなかったんでしょ?」


 今まで俺は、アルトたちの後ろにいた。前に出る必要なんてなかった。でも今は違う。自分で考えて、自分で動く。それが不思議と楽しい。


「案外向いてるのかもな、冒険者」


 その夜。村の宿へ戻った俺たちは、魔物についてギルドへ報告するための準備をしていた。


 村から少し離れた森の中。


「…………」


 1人の人物が立っていた。その人物の手には、黒い角のような物が握られている。


「失敗したか」


 低い声が森に響く。


「だが、確認はできた」


 人物は静かに笑う。


「やはり、あの青年の力は本物だ。もう少し調べる必要があるな」


 その人物は闇の中へ消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。