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戦力外とみなされSランクパーティから追放されたけど、実は最強のバッファーです〜祖父は伝説の賢者です〜  作者: 青上黒影
第二章

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第34話 村長

「捕まえろ!」


「は?」


 男たちが一斉にこちらへ向かってくる。


 何で俺たちが捕まえられる側なんだよ。


 目の前の男が剣を振り上げた。


「おらっ!」


「遅い」


 俺は一歩前へ出る。


「【強化】」


 身体に力が流れ込む。振り下ろされた剣を横へ避け、そのまま男の腹へ拳を叩き込んだ。


 ——ドゴォン!


「ぐふっ!?」


 男が壁まで吹き飛ぶ。俺は自分の拳を見る。残りの男たちが動きを止める。


「な、何だこいつ……」


「魔法も使ってないぞ……?」


「気合いで強くなってます」


「説明になってないよ」


 リゼットが杖を構える。


「さて」


 男たちを見る。


「まだやる?」


 数人の男が顔を見合わせる。


「ちっ!」


 1人が窓へ向かって走った。


「逃げるぞ!」


「おい待て!」


 男たちが一斉に逃げ始める。


「逃がすか!」


 俺が追いかけようとしたとき。


「待って」


 リゼットが俺の腕を掴んだ。


「村長さん」


 そうだった。床には老人が倒れている。俺たちはすぐに村長のところへ向かった。


「大丈夫ですか!?」


「う……」


 老人がゆっくり目を開ける。


「誰じゃ……」


「冒険者です」


「助けに来たわけじゃないんですけど、結果的に助けました」


 村長はしばらく俺たちを見る。


「お前たちが」


「はい?」


「オルディスの孫か?」


「なぜそれを?」


 村長が俺の顔を見る。


「目が似ておる。昔のオルディスもお前のような目をしておった。その馬鹿そうな目……」


「初対面で酷くないですか!?」


 リゼットが吹き出す。


「ふふっ」


「笑うなよ」


 村長はゆっくり身体を起こした。


「助かった」


「怪我は大丈夫ですか?」


「大したことはない」


 村長は倒れた椅子を見る。


「それより」


 表情が変わる。


「あいつらは何者だ?」


「さぁ、何者だったんでしょうか。俺たちも今来たばかりなので」


 村長は少し考える。


「おそらく、西の森を狙っている連中じゃな」


 村長は立ち上がる。


「お前たちが聞きに来たのも、そのことだろう?」


「はい」


「なら話そう」


 村長は部屋の奥へ向かった。棚の前で立ち止まり、何かを探し始めた。


「どこにあったかのう」


「何を探してるんですか?」


「古い記録じゃ」


 しばらくして1冊の本を取り出した。


「これじゃ」


 机の上に置く。かなり古い本だった。表紙は傷んでいる。


「この村には昔から伝わる記録がある」


「オルディスについてですか?」


「それだけではない」


 ページをめくる。


「西の森の地下には古代の遺跡がある」


「遺跡?」


 リゼットが反応する。


「古代遺跡!?」


 リゼットの目が完全に輝いている。


「昔からこの村では遺跡へ近づくことを禁じておった」


「何故ですか?」


「中に何があるのかわからないからだ」


 村長がページを指差す。


「100年以上前、その遺跡で異変が起きた。遺跡の地下から、大量の魔物が現れた。そのとき、この村を救ったのがお前の祖父——オルディス・レイヴンだ」


「爺ちゃん……」


「オルディスは魔物を倒した後、遺跡の中へ入った。数日後、オルディスは戻ってきた。詳しいことは何も話さなかった。ただ1つだけ——遺跡には近づくな、と」


「なぜですか?」


「聞いても答えなかったらしい」


 リゼットが腕を組む。


「怪しいね」


 俺も同じことを思っていた。祖父は遺跡の中で何かを見た。そして今、再び異変が起きている。


「さっきの奴らは何かを探していたんでしょうか?」



「おそらく、遺跡の場所が書かれた地図であろうが……ないのじゃ。ここにあったはずじゃが。さっきの奴らに盗まれたかもしれんのう」

 

 リゼットと顔を見合わせる。


「奴らは村の西に逃げるじゃろう」


「遺跡へ向かったんじゃないかな」


 問題はあいつらだけじゃない。俺は思い出す。さっきのオーガは明らかに普通ではなかった。


「最近、西の森に黒い魔力みたいなものは出ていませんでしたか?」


「黒い魔力?」


 村長は少し考える。


「……ある」


「本当ですか?」


「森の近くで黒い霧を見たという村人がおる。最近のことじゃ」


 やっぱり何かがある。


「1つだけ、聞いておきたい。オルディスは生きておるのか」


「……わかりません。だから探してます」


 村長は俺を見つめる。


「そうか」


 そしてゆっくり頷いた。


「ならばこれを持っていけ」


 村長が棚の奥から何かを取り出した。


「これは?」


「オルディスが残していったものだ」


 小さな銀色のペンダント。表面には見たことのない紋章が刻まれている。


「爺ちゃんの?」


「うむ」


 俺が手に取った瞬間。


 ——ピカッ。


「!?」


 ペンダントが光った。


「何だ!?」


 リゼットが近づいてくる。光はすぐに消えた。


「今、光ったよね?」


 俺はペンダントを見る。


「何なんだ、これ」


 そのとき、頭の中に知らない声が聞こえた。


『……西へ』


「誰だ!?」


「どうしたの?」


 リゼットが聞く。


「カイム?」


「いや」


 俺は顔を上げる。


「何でもない。とりあえず西の森へ行こう」


 俺とリゼットは村長の家を出た。既に外は暗くなり始めている。


「明日の朝に出発しようか」


 その頃西の森の奥では——逃げた男たちが古い石造りの扉の前に立っていた。


「これか?」


「間違いない」


 男の1人が盗んだ地図を見る。


「地下遺跡の入口だ」


 その巨大な扉は長い間、誰も開けていなかったように見える。


「本当に入るのか?」


「当たり前だ」


「この中には伝説の賢者が封印した何かがあるんだろ?」


 男は笑う。


「だったら、宝があるかもしれない。それに」


 男は扉へ手を触れる。


「俺たちを雇った奴も言っていた。中にあるものを持ち帰れってな」


 扉がゆっくり開き始める。


 ——ゴゴゴゴゴ……。


 その奥から黒い霧が溢れ出した。


「何だこれ!?」


 男たちは後ろへ下がる。暗闇の奥で何かが目を開けた。


 ——ギィィィ……。


「今の、何だ?」


 誰かが呟く。返事はなかった。次の瞬間、男たちの悲鳴が森の奥へ響き渡った。

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