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戦力外とみなされSランクパーティから追放されたけど、実は最強のバッファーです〜祖父は伝説の賢者です〜  作者: 青上黒影
第一章

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第19話 金髪

 振り返ると、1人の少女が立っていた。長い金髪を後ろでまとめ、腰には細身の剣を下げている。年齢は俺たちとそれほど変わらないように見えるが、冒険者らしい装備を身につけていた。


「その依頼」


 何故か俺たちは睨まれている。


「私が受けようとしてたんだけど」


「そうなのか?」


 俺は手に持っていた依頼書を見る。


「そうよ!」


「でも、まだ受付には出してないだろ」


「今から出すところだったの!」


「じゃあ早く出せばよかったんじゃないか?」


「何ですって?」


 少女の眉がぴくりと動いた。どうやら癪に障ったらしい。


「カイムの知り合い?」


 リゼットが小声で聞いてくる。


「全然知らん。誰?」


「あなた!」


 少女が俺を指差す。


「その依頼、私に譲りなさい!」


 急に言われてもね。


「断る」


「何でよ!?」


「俺たちも受けるつもりだから」


「私は朝から狙ってたの!」


「知らないよ」


「ぐぬぬ……!」


 少女が悔しそうに俺を見る。すると、しばらく何かを考えた後、突然口元に笑みを浮かべた。


「いいわ」


「何が?」


「勝負しましょう先にオークを倒した方が勝ちよ! 負けた方は文句なし!」


 何だこいつ。


「もう一度言うが断る」


「何でよ!?」


「面倒だから」


「この……!」


 少女が腰の剣に手をかける。


「おい、ここギルドだからな?」


 俺が言うと、少女ははっとしたように周囲を見る。受付嬢が困った顔でこちらを見ていた。


「覚えてなさいよ。絶対に私が先にオークを倒すんだから!」


 そう言い残して、少女はギルドを出ていった。


「何だったんだ?」


「面白い子だったね」


 リゼットは楽しそうに笑っている。


 俺たちは依頼を受け、王都の外へ向かった。依頼の場所は王都から少し離れた森だ。最近、森の近くにオークが複数出現しているらしく、近くを通る商人たちにも被害が出始めているという。


「さっきの子、本当に来るかな?」


 森へ向かう途中、リゼットがそんなことを言った。


「勝負するって言ってたよ?」


「俺はしない」


 しばらく歩いていると、先頭を歩いていたエレナが突然足を止めた。


「何かいる」


 エレナの表情が少しだけ変わる。俺たちも足を止め、周囲に注意を向けた。すると、森の奥から低い唸り声が聞こえてきた。


「グルルルル……」


「オークか?」


「いや……」


 エレナが剣に手をかけた直後。


 ——バキバキッ!


 木々を押し倒しながら、巨大な魔物が姿を現した。全身を黒い毛で覆われた巨大な熊だ。普通の熊とは明らかに違う大きさで、立ち上がれば5m近くありそうだ。


「グラットベア……」


 リゼットが小さく呟く。


「Bランクの魔物だよ」


 リゼットが杖を構える。


「普通の冒険者なら、1人で戦う相手じゃないよ」


「何でそんなのがここにいるんだよ」


 グラットベアは俺たちを見つけると、大きく唸り声を上げた。


「グオオオオ!」

 

 巨大な魔物が地面を蹴った。その巨体からは想像できないほど速い。俺たちはすぐに左右へ飛び、突進を避ける。


 ——ドゴォン!


 グラットベアが通り過ぎた場所の地面が大きく抉れた。


 エレナが剣を抜く。


「私が前に出る」


 グラットベアへ向かって走り出した。


 俺は2人へ手を向ける。


「【強化】!」


 淡い光がエレナとリゼットの身体を包む。その直後、リゼットが杖を前へ向けた。


「【ファイアボール】!」


 炎の球がグラットベアへ向かって飛んでいく。


 ——ドォン!


 爆発が起きる。


「グオオオ!」


 グラットベアが大きく吠えた。炎を受けても、グラットベアは止まらない。そのままエレナへ向かって腕を振り下ろした。エレナは素早く横へ避けると、その隙を狙って剣を振る。


「はっ!」


 ——ズバッ!


 グラットベアの腕に傷が入るが。


「硬いな」


 エレナが眉をひそめる。


「任せて!」


 リゼットが再び魔力を集める。


「【フレイムランス】!」


 巨大な炎の槍がグラットベアへ向かって飛んでいった。しかし、グラットベアは巨大な腕を振り、炎の槍を横から弾き飛ばす。


 ——ドゴォン!


「嘘だろ」


「魔法を弾いた!?」


 グラットベアが突然方向を変え、リゼットへ向かって走り出した。


「リゼット! 危ない」


「えっ!?」


 距離が近い。俺が走っても間に合わない。そう思ったとき。


「邪魔よ!」


 横から誰かが飛び込んできた。


 ——ズバァン!


 グラットベアの攻撃が逸れる。


「!?」


 そこにいたのは。


「さっきの……!」


 冒険者ギルドで会った金髪の少女だった。


「何でここに!?」


「決まってるでしょ!」


 少女はグラットベアと距離を取りながら叫ぶ。


「オークを倒しに来たのよ!」


「今、目の前にいるのオークじゃないけど!」


「そんなの見ればわかる!」


 少女は俺を見る。


「それより! 助けたんだから感謝しなさい!」


「助かった。ありがとう」


「ふふん」


 少女が得意そうに笑う。


「もっと感謝してもいいのよ?」


「それは遠慮する」


「何でよ!」


「グオオオオ!」


「まだ来るぞ!」


 エレナの声で、俺たちは再びグラットベアへ意識を向けた。


「話は後だ!」


 俺は自分に【強化】をかける。


「【強化】!」


 身体の奥から力が溢れてくる。


「リゼット、魔法を頼む!」


「了解!」


「エレナは——」


「わかっている。任せろ」


 そして——。


「金髪!」


「誰が金髪よ!」


「だって名前知らないからさ!」


 実際金髪だし。

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