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戦力外とみなされSランクパーティから追放されたけど、実は最強のバッファーです〜祖父は伝説の賢者です〜  作者: 青上黒影
第一章

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第18話 寝坊

 勝手に【強化】が反応する。俺は手を見る。淡い光と黒い球体。

 俺は思い出す。廃村の家でも俺の【強化】は黒い魔力に反応した。


「俺のバフが……封印に反応してる?」


 俺は黒い球体へ手を向ける。前へ出ると、黒い人影が笑った。


「何をするつもりだ?」


 俺は手を向ける。身体の奥から力が溢れてくる。


 今まで誰かを強くしてきた。アルトたちを。リゼットを。エレナを。ならば——。


「壊れかけたものだって、強化できるかもしれないだろ!」


 ——バァァァァン!


 俺の体から今までで一番大きな光が溢れた。地下全体を照らすほどの光だ。光が黒い球体へ向かう。


「やめろ!」


 黒い人影が初めて声を荒げる。


 淡い光が黒い球体を包み込んだ。


 ——ドクン。


 黒い球体が震える。切れかけていた鎖が光に包まれた。


 ——ガシャン!


「!」


 1本、鎖が元の位置へ戻る。そしてもう1本。


 ——ガシャン!


 さらにもう1本。


 ——ガシャン!


「そんな馬鹿な! 封印を……強化しただと!?」


 生き物だけじゃない。もしかしたら。


「何でも強化できるのか?」


 さらに魔力を込める。


「【強化】!」


 ——バァァァァン!


 光がさらに強くなる。黒い球体のひびが少しずつ消えていく。


「おいやめろ!」


 黒い人影が俺へ向かってくる。


「ここは任せろ」


 エレナが前に立つ。


「邪魔をするな!」


「誰が邪魔だって?」 


 エレナの剣が光る。


 ——ズバァン!


 黒い人影を吹き飛ばした。


 リゼットが杖を構える。


「【フレイムランス】!」


 炎の槍が黒い人影へ向かう。


 ——ドゴォン!


 爆発し、黒い人影の姿が煙に包まれる。


 俺は両手を黒い球体へ向ける。


「【強化】!」


 ——ガシャン!


 最後の鎖が同時に元の位置へ戻った。黒い球体のひびが完全に消える。


 ——ドクン。


 さっきまでとは違う、小さな音。ゆっくり静かに。


 地下の揺れが止まる。黒い球体も動かない。俺はその場に座り込んだ。


「カイム!」


 リゼットが駆け寄ってくる。


「大丈夫!?」


「魔力を使いすぎただけだ」


 エレナも近づいてくる。


「立てるか?」


「大丈夫だ。ところで影は?」


 煙が消えていくが、そこには誰もいない。


 ふと、地面を見ると。黒い結晶が落ちていた。拾い上げると結晶は砕けた。


「ギルドに報告しないとな」


 俺たちは地下を後にした。

 地下遺跡から戻った翌日。俺は宿のベッドに倒れ込んでいた。昨日は地下遺跡での出来事をギルドマスターに報告した後、騎士団の人間からも色々と質問された。封印のことや黒い人影のことなど、俺たちにもわからないことばかりだったので、結局ほとんど答えられなかったが。そのせいで宿に戻ったのは夜遅く。正直、今日は1日くらいゆっくり休みたい。


「おそよー!」


 部屋の扉が勢いよく開いた。


「うるさいなぁ……」


 布団から顔を出すと、そこにはリゼットが立っていた。


「朝から突撃はやめてくれないか……」


「朝じゃないよ?」


 リゼットは俺のベッドまで近づいてくる。


「もう昼前だよ? だから依頼を受けに行くの!」


「えっ、今日?」


「今日!」


 俺は再び枕に顔を埋めた。


「休みたいんだけど」


「駄目でーす。冒険者なんだから働かないと」



 俺は諦めて身体を起こす。どうせこのまま寝ていても、リゼットがずっと騒ぎ続けるだろう。


「エレナは?」


「下で待ってるよ」


「最初から行く気だったのか」


 顔を洗い、簡単に朝食を済ませてから食堂へ向かうと、エレナがすでに席に座っていた。俺たちを見ると、いつもの無表情のままこちらへ視線を向ける。


「遅い」


「起きたばかりだからな」


「もう少し早く起きろ」


 エレナの前にはすでに食べ終えた皿が置かれていた。どうやら俺たちを待っていたらしい。


「体調は大丈夫なのか?」


 エレナは少しだけ首を傾げる。


「私か?」


「昨日、結構吹き飛ばされてただろ」


「問題ない」


「カイムこそ大丈夫なの?」


 今度はリゼットが聞いてくる。


「昨日、封印にバフを使って魔力をかなり消費してたでしょ?」


「もう回復した」


「無理はしないでね」


「ありがとう」


「うん……」


 何故かリゼットは少しだけ目を逸らした。


 朝食を終えた俺たちは、そのまま冒険者ギルドへ向かった。今日の依頼はまだ決めていない。昨日まで地下遺跡で色々あったこともあり、本当なら簡単な依頼を受けたかった。


「今日は薬草採取とかでいいんじゃないか?」


 俺が依頼掲示板を見ながら言う。


「えー」


 すぐにリゼットから不満そうな声が聞こえた。


「薬草採取はつまんない」


「楽でいいだろ」


「冒険者っぽくない!」


「冒険者は地味な依頼もやるんだよ」


 隣にいたエレナが依頼書を見ていた。


「これならどうだ」


 エレナが1枚の依頼書を指差す。


「オークの討伐?」


「森の近くで複数確認されているらしい」


「へえ、ランクはBか」


 今の俺たちなら問題ないだろう。エレナとリゼットがいれば戦力も十分だし、俺のバフもある。


「これにするか?」


「さーんせいっ」


 リゼットがすぐに手を上げる。


「魔物討伐の方が面白いし!」


 俺たちは依頼書を持って受付へ向かった。


「この依頼をお願いします」


「はい、確認しますね」


 受付嬢が依頼書を受け取ろうとした、そのときだった。


「ちょっと待ちなさい!」


 後ろから大きな声が聞こえた。

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