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戦力外とみなされSランクパーティから追放されたけど、実は最強のバッファーです〜祖父は伝説の賢者です〜  作者: 青上黒影
第一章

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第17話 封印

 誰も動かない。目の前には暗い通路が続いている。その奥から、一定の間隔で音が聞こえてくる。


 ——ドクン。


 まるで心臓の音みたいだ。


「どうする?」

 

「戻るという選択肢もある。ただ、ここまで来て何も調べずに帰るわけにもいかない」


 俺も同じ意見だった。黒い人影。消えた冒険者。そして地下にある封印。全部が繋がっている気がする。


「行こう」


 リゼットが杖を握る。


「私も気になるし」

 

 俺たちは通路を進んだ。


 壁には古代文字のようなものが刻まれている。リゼットが時々立ち止まり、それを読んでいた。


「何て書いてあるんだ?」


「難しいなぁ」


「読めない?」


「読めるけど、古すぎる。多分これは……警告かな」


 リゼットが壁に触れないように近づく。


「『扉を開く者、力に飲まれる』ってさ。その次は……『選ばれし者のみ、災厄を退ける』」


 さらに奥へ進む。


「行き止まりか?」


 巨大な扉が現れた。石で作られた扉。高さは5m以上ある。


「でっか」


 リゼットが見上げる。


「開くの? これ」


「待て」


 扉へ近づくエレナを止める。


「不用意に触るな。何かあるかもしれない」


 エレナは素直に離れた。


「見て」


 リゼットが扉を指差す。


「これ」


 扉の中央に3つの紋章があった。


「古代文字じゃない」


 紋章をよく見る。1つ目は剣、2つ目は杖。そして3つ目は——。


「手だね」


 手のひらの形をした紋章。その周囲には、小さな光のような模様が描かれている。


「もしかしてこれ、私たちじゃない? 剣はエレナ、杖は私、手はカイム……みたいな? 多分」


 エレナも紋章を見る。


「試してみる価値はある」


「どうやって?」


「それぞれの力を使う」


 エレナが剣の紋章の前に立つ。リゼットは杖の紋章へ。俺は手の紋章の前に立った。


「3人同時だ」


 俺たちはそれぞれ力を込める。


「【強化】」


 俺の手から淡い光が溢れる。リゼットの杖に魔力が集まる。エレナの剣が光り始めた。


 ——ゴゴゴゴゴ……。


「動いた!」


 巨大な扉が震える。扉が少しずつ開いていく。その奥から冷たい風が吹いてきた。扉の向こうには巨大な空間が広がっていた。地下とは思えないほど広い。天井は見えない。中央には巨大な柱が立っていた。否、柱ではない。太い鎖が、中央に集まっている。その先には黒い球体があった。直径10mはある。表面から黒い煙のようなものが漏れている。


「これが封印……なのか?」


「待って」


 リゼットが俺たちを止めた。


「近づかない方がいい。魔力が凄いから。何が起こるかわからないよ」


 リゼットの顔は青ざめている。


「こんなの見たことない」


 ——ドクン。


 黒い球体が脈打った。


 ——ドクン。


 まただ。


「中に何かいる」


 空気が重くなる。黒い球体から声のようなものが聞こえた。


「今、声が聞こえなかったか?」


「聞こえた」


 エレナが剣を握る。


『やっと』


 黒い球体が揺れる。


『やっと来た』


「誰だ!」


『誰、か』


 低い声。さっきの黒い人影とは違う。もっと重い。耳ではなく、直接頭の中に響いてくるような声だった。


『長い間』


 ——ドクン。


『待っていた』


 黒い球体の表面にひびが入った。


 ——パキッ。


「カイム!」


 リゼットが俺の腕を掴む。


「逃げよう!」


 ——パキッ!


 ひびが増える。


「ふ、封印が壊れる!?」

 

「何で!?」


 答えは目の前にあった。


「やはりな」


 俺たちは振り返ると、入口の方に黒い人影が立っていた。


「ここまで来てくれたか。わざわざご苦労だったな」


 エレナが剣を構える。


「お前、どうやってここに!」


「案内した。お前たちをこの場所へ」


「つまり、俺たちを利用したってわけか?」


「扉を開ける者が必要だった。だからお前たちを集めた」


「ふざけるな!」


 エレナが飛び出す。


「待て!」


「はあっ!」


 エレナの剣が黒い人影へ振り下ろされる。


 ——ズバッ!


 しかし、黒い人影の身体をすり抜けた。


「無駄だ」


 黒い人影がエレナの横に現れる。


 ——ドンッ!


「ぐっ!?」


 エレナが吹き飛ぶ。


「エレナ! 大丈夫か!?」


「ああ……問題ない」


 エレナはすぐに立ち上がった。


「何が目的だ!」


「目的? 簡単なことだ」


 黒い人影は黒い球体を指差した。


「封印を解く。中にいるものを復活させる」


「あなたの思うようにはさせないよ!」


 リゼットが杖を構える。


「【フレイムランス】!」


 巨大な炎の槍が飛ぶ。しかし、黒い人影に命中する直前に炎が消えた。


「魔法が消えた!? どうして!」


「まだわからないか。ここは、私の領域だ。お前たちの力を試す場所だった」


 黒い人影が俺たちを順に見る。


「バッファー、古代魔法を継ぐ者、封印の剣を持つ者。お前たちは必要な3人だった」


 意味がわからない。黒い人影が両手を広げた。


「残念だがもう遅い」


 ——パキン。


 黒い球体に大きなひびが入り、地下全体が揺れた。


 ——ゴゴゴゴゴゴ……!


「封印が!」


 鎖が震える。1本、また1本と、黒い球体を繋いでいた鎖が切れていく。


 ——ガシャァン!


 このままでは全ての鎖が切れてしまうだろう。そうなってしまってはまずい。


「何か、何か手はないのか!」


 そのとき、俺の手が光った。

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