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第八章 関ヶ原
前回のあらすじ
三成は奇巧を殺した。
「魔王の血」を持つ者を排除したと思った。
しかし、関ヶ原では、すでに別の駒が動き始めていた。
慶長五年。
関ヶ原。
霧が濃かった。
兵たちの声。
馬のいななき。
鉄砲の音。
すべてが混ざり合っていた。
小早川秀秋は、松尾山にいた。
動かない。
西軍は苛立っていた。
「なぜ動かぬ!」
しかし秀秋は動かなかった。
迷っている。
いや。
迷わされている。
そして――
徳川軍から鉄砲が放たれた。
その音を合図にするように、小早川軍が動いた。
西軍の陣形が崩れる。
三成は絶句した。
「小早川……!」
そのとき。
霧の向こうに、人影が見えた。
玄巧。
三成の目が見開かれる。
「お前……」
玄巧は何も言わなかった。
ただ、静かにこちらを見ていた。
三成は悟った。
奇巧ではない。
本当に恐ろしい男は――
最初から、自分の視界の外にいた。
そして三成の脳裏に、別の疑問が浮かんだ。
――この男は、何者だ?
信長の血を引いているのか。
それとも。
まったく別の存在なのか。
答えは、まだ分からない。




