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第二章 二人の男


前回のあらすじ

南光坊天海は、徳川家康の側近として豊臣家を内側から崩す策を進めていた。

だが、その裏側では別の人間たちが動き始めていた。

その中に、二人の若者がいた。

織田奇巧。

そして、斎藤玄巧。

「妙な名前の男がいる」

石田三成は、報告書から顔を上げた。

「織田奇巧?」

家臣が頷く。

「はい」

「織田家の者か?」

「それが、はっきりしません」

三成は眉をひそめた。

織田。

その姓だけで意味がある。

信長が死んでから、長い年月が経っている。

それでも「織田」という名には、人を動かす力が残っていた。

「もう一人は?」

「斎藤玄巧」

「こちらも素性が不明です」

三成は二つの名前を書き並べた。

織田奇巧。

斎藤玄巧。

奇巧。

玄巧。

妙に似ている。

だが、二人はまったく違う。

奇巧は人目を引く。

何を考えているのか分からない。

一方の玄巧は、どこにでもいる若者のようだった。

目立たない。

声も大きくない。

服装も普通。

だが――。

人の話を聞くときだけ、異様に目が鋭かった。

三成は最初、玄巧を重要人物とは考えなかった。

むしろ奇巧に興味を持った。

「織田家の血を引いている可能性がある」

そう考えたからだ。

三成は知らなかった。

歴史を動かす者ほど、歴史に名前を残したがらないことを。

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