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第十章 魔王の正体
前回のあらすじ
三成は最後まで「魔王」の存在を追った。
しかし、その正体を知ることはできなかった。
そして時は流れる。
徳川家康の最期の日。
「……天海」
家康の声は弱かった。
天海が近づく。
「ここにおります」
家康は、その顔を見つめた。
長い沈黙。
「お前……」
天海は黙っている。
「どこかで……会ったことがある」
「そうでしょうな」
その声。
その目。
その笑い方。
家康の記憶の奥に、一人の男が蘇った。
炎。
本能寺。
織田信長。
「……まさか」
天海は笑った。
「ようやく気づいたか」
家康の目が見開かれる。
「信長……!」
天海は否定しなかった。
「本能寺で死んだはずの男が、なぜここにいる……」
「死んだことになっただけだ」
家康は震える手で布団を握った。
「では……すべて……」
「すべてではない」
天海は静かに答えた。
「お前が築いたものもある」
「だが」
天海は家康を見下ろした。
「その盤を作ったのは、私だ」
家康は笑った。
苦笑とも、恐怖ともつかない笑いだった。
「魔王め……」
その言葉を最後に。
徳川家康は目を閉じた。
天海――いや。
織田信長は、しばらくその顔を見つめていた。
そして部屋を出た。
天下は、すでに彼の思い描いた形になっていた。




