第六話 探しに行きましょうか?
この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。
翌朝。
ライトは掲示板の前へ来ていた。
森ウサギ討伐も悪くない。
だが毎日同じ依頼ばかりでは飽きる。
それに。
昨日、リリアに教えてもらった。
依頼には色々な種類があるらしい。
採集。
討伐。
護衛。
人探し。
まだ知らないものもたくさんある。
掲示板を眺めていた、その時だった。
入口の近くから泣き声が聞こえた。
「うぅ……」
小さな女の子だった。
茶色の髪に、少しだけ良い服。
だが顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
ライトは近付く。
「どうした?」
少女が顔を上げた。
「お、お母さんが……」
「うん」
「いなくなった……」
いなくなったのは母親ではない。
この子だ。
ライトにも分かった。
「そっか」
少女はこくりと頷いた。
「俺はライト、名前は?」
「エマ」
「エマは歳、いくつ?」
「……7つ」
「7つか、1人で我慢できて偉いな」
ライトは少しだけ笑って頭を撫でる。
エマは少しだけ泣き止んだ。
「どこでお母さんとはぐれた?」
「商店街」
場所を思い浮かべる。
この子の足だと、かなり離れている。
よくここまで来たものだ。
その時だった。
「あーっ!」
聞き覚えのある声。
ミーナだった。
「エマちゃん!」
ミーナは駆け寄る。
そして頭を抱えた。
「またなの!?」
エマが肩を縮こませた。
「ご、ごめんなさい……」
また?
「知り合いなんですか?」
ライトが尋ねる。
「商会長さんの娘」
「へぇ」
「この子、よく迷子になるのよ」
エマはしょんぼりした。
「わざとじゃないもん……」
それはそうだろう。
迷いたくて迷う人はいない。
「ミーナさん、探しに行きましょうか?」
ミーナが聞いた。
「お母さんを?」
「はい」
ライトは考えた。
泣いている。
困っている。
たぶん。
母親の方も困っている。
「行きます」
「一人は心細いですから」
即答だった。
ミーナが少し笑う。
「優しいね」
「そうですか?」
よく分からない。
「困ってるみたいですし」
ライトにとっては、それが理由だった。
「ありがとう!」
エマが明るい声を出した。
「まだ見つかってないけど」
「でも探してくれるんでしょ?」
「うん」
当たり前だった。
エマがライトの手を掴む。
「行こう!」
ライトも優しく握り返す。
「うん」
ミーナが二人を見て苦笑した。
「無理しちゃ駄目だからね?」
「はい」
「大丈夫」
返事が微妙に違った。
ミーナは少しだけ笑う。
「商店街の人にも聞いてみて。エマちゃんは有名だから」
「それは嬉しくない……」
エマがしょんぼりした。
ライトは首を傾げる。
「有名なら見つかりやすいかも」
「そっち!?」
エマが驚いた。
だが確かにその通りだった。
迷子として有名なのはどうかと思うが。
見つかる可能性は高い。
「早く見つかった方がいいでしょ?」
「……うん」
二人は母親探しにギルドを出た。
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