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指パッチン練習してたら魔法が出るようになりました  作者: Naoya


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13/22

【13話】「文化祭は魔法でドタバタ!」

「はい! ここでダンスのフォーメーション崩れてるよ!」


文化祭当日の朝、体育館のステージ裏は大混乱だった。

クラスの出し物は演劇とダンスを組み合わせたステージ発表。けど、いざ本番となると小道具が足りないだの、衣装が破れただの、誰かが台詞を忘れただの、トラブル続出。


「ちょ、誰かテープ持ってきてー!」

「衣装の肩ひもがー!」


私は裏方の仕事を手伝いながら、汗をぬぐった。だけど、胸の奥は昨日の湊《みなと》との出来事でいっぱいだった。

「魔法もお前も嫌いになれない」なんて、あんなこと言われて――。思い出すだけで心臓が暴走する。


「ひかり」

「ひゃいっ!?」


間抜けな声を上げた私の前に、湊《みなと》が現れた。白シャツにベスト姿、舞台用の衣装を着ていて普段よりも格好よく見える。


「落ち着けよ。顔、真っ赤だぞ」

「そ、そういうこと言わないで!」


慌てて背を向ける私。湊《みなと》は不思議そうに笑っただけだった。


⸻


やがて開演。幕が上がり、舞台の上では仲間たちが必死に演技をしている。私は袖で見守りながら、小道具の準備をしていた。


「次のシーンで、あの剣を渡さなきゃ……」


タイミングを見計らっていた時。

――パチン。


しまった。無意識に指を鳴らしてしまった。

剣の小道具がふわりと宙に浮かび、スルスルと舞台の中央に飛び出していく。


「えっ!?」

「魔法か!?」


観客席からどよめき。舞台の役者たちは慌ててアドリブでごまかそうとするが、完全に予定外だ。


(やばいやばいやばい!)


私は慌てて手を振り、もう一度パチン。今度は剣がふわりと役者の手に収まった。観客は「おお~!」と拍手喝采。奇跡的に「演出」と誤解されたらしい。


「……セーフ?」


安堵したのも束の間、また別の小道具が浮かびかけている。私は必死で魔法を抑え込んだ。


⸻


舞台が終わると同時に、私は裏手で膝をついた。

「危なかった……」


「お疲れ」

肩に手が置かれる。湊《みなと》だ。


「見てた。……ひかり、力の加減、まだ難しいんだな」

「……うん。ごめん。みんなに迷惑かけてばっかり」


俯く私に、湊《みなと》は小さく笑った。


「でも、今日は助かった。あのアドリブ演出のおかげで、むしろ盛り上がってたぞ」

「え、ほんとに?」

「ああ。……それに、俺は好きだよ。お前の魔法」


真正面から言われ、心臓がまた跳ねた。視線が合ったまま、世界が止まったみたいに感じる。


「み、湊……」


その時、クラスメイトの声が響いた。

「二人とも! 打ち上げの準備するぞー!」


一気に現実に引き戻され、私は顔を真っ赤にしたまま立ち上がった。湊《みなと》も少し照れくさそうに視線を逸らす。


でも、心の奥に残る温もりは、消えなかった。

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