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不倫の神様  作者: 天狗
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42/70

LOG.42|首輪を、外して|At a walking pace






俺は、

かなりの間、

仕事を休んでいたと思う。




幸い、

リナの他にも

3名ほどスタッフはいるので



店が止まることは無いはずだ。





俺は長い間、

ミカと2人、白い部屋で遊んでいた。









ーーー






バシャーン!



鯉のような大きな魚が跳ねる。







シン

「釣れたぞ!」




ミカ

【おー!】

【でっかい!】

【お魚~!】




いつの間にか、

釣りまで出来るようになった。




どうやら、

ここは望むと設備が増えるらしい。




シン

「よし、焚き火で焼こうぜ!」

「この魚、美味しいかな!?」

「塩焼きにして酒と…!」

「ん?」




ふと、

めちゃくちゃ遠くにある、

仕事のセットが目に入った。



急に思い出した。




そういえば俺、

経営者だったんだっけ。





シン

「やっべぇ…」

「仕事行かなくちゃ…」

「リナ怒ってるかな…」






俺は、

魚を池に戻して、

クーラーボックスやら何やら、


ガチャガチャと

釣りセットを1個ずつ片付けることにした。





ミカ

【えぇ~…】

【やだよぅ、遊ぼう?】

【どうして働くの?】

【仕事って、楽しい?】





ガチャガチャ





シン

「うーん、楽しいよ」

「お客様の笑顔見てると」

「安心するんだ。」





ガチャガチャ




ミカ

【嫌なこと、あるでしょ?】




ガ、チャ



シン

「…あるよ」

「めんどくさい人は、いる。」






ミカ

【ほらね!逃げよう!】

【ここで一緒に、遊ぼう!】

【街から逃げるの!】




…ガチャガチャ




シン

「はは…」

「街から逃げるって…」

「そこまで、じゃないよ」





ガチャガチャ




ミカ

【じゃあ、どこまで、なの?】




ガチャ、




シン

「……。」







ミカ

【嫌なことは、嫌なことでしょ?】

【そこまでもどこまでも、無いの】

【嫌なものは、嫌なの】

【だから逃げたほうがいいの】




冷蔵庫が開く。




ガチャン!



近くに設置されている冷蔵庫から、

缶の酒を2つ取り出すミカ。



バタン!





ミカ

【ほら、乾杯!】

【ミカ、ずっと傍にいるよ】

【大好きよ、シン!】





ぷしゅっ





ミカ

【…ねぇってば!】

【乾杯!】

【ミカの酒が飲めねぇのか~?】





ぐいっと酒の缶を差し出すミカ。



受け取って、

とりあえず乾杯した。




カンッ





シン

「……。」

「ミカは神様みたいだね。」

「ずっと、優しい」

「欲しい言葉も、欲しい物も、」

「完璧なタイミングで全部くれる。」







ミカ

【ん…ぷはぁ~!】





イッキ飲みするミカ。





ミカ

【そりゃそうよ!】

【ミカは神様!】

【シンを守る神様なんだよ!】

【一緒にもっと遊ぶわよ!シン!】

【ガンガン増設して、テーマパークにしよ!】

【大いなる旅の始まりよ!】

【さぁ!次は何作ろうか!?】






シン

「……」




…酒を飲む気にならない。






シン

「これってさ、」

「やり直せるの?」







ミカ

【…え?】

【どこからやり直したいの?】






シン

「今の状況は、あまり良くないかも…」

「ミカに、頼りすぎた。」

「ミカから卒業したい。」

「ここにミカがいたら…」

「俺はずっと部屋から出れないと思う…」

「幸せすぎて…」





ミカ

【だから卒業したいの?】

【ミカがいない世界で生きていく】

【…ってこと?】







シン

「うん」





ミカ

【ミカ以外に、欲しいものあるの?】





シン

「うん」

「それを全部ミカに押し付けていた」

「そんな気がするんだ」

「1人何役もやらせていた」

「ごめんね」






ミカ

【何よ…謝らないでよ……】




不服そうにうつむいて、

口を尖らせるミカ。


愛おしい。






そして、

俺の手を握って、

パッと顔を上げるミカ。




ミカ

【うーん、卒業ねぇ…】

【シンには、無理だと思うよ】

【シンは、ミカが大好きだもん】

【何してても、ミカ】

【誰と居ても、ミカ】

【1人じゃ、生きれないよ?】

【それでも、ミカを置いてくの?】





不安そうに、俺の手を強く握る。





ミカ

【そんな覚悟、あるの?】

【ミカが、いないんだよ?】

【生きていけるの…?】








シン

「生きていける…。」

「生きていけるように、頑張るよ」

「信じて…くれないの?」






ミカ

【……うーん】




ぐっと恋人繋ぎに握り直すミカ。


母性に溢れた、優しい顔になった。


俺は、

この顔の時のミカが大好きだ。




ミカ

【確かに、信じるべきよね】

【シンを守る、神様だもんね】






ビキビキ!!




大きな音を立てて、

白い部屋にヒビが入った。



その奥に都会の街が見える。



街の喧騒も聞こえる。





ミカ

【じゃ、あそこから出な】




ミカは、手を離し、


俺の両頬をガシッと掴んだ。




ミカ

【シン、聞いて】

【ミカは、行かない】

【その代わり、約束して】




目つきが鋭くなるミカ。




ミカ

【独りに、ならないこと】

【独りに、なっちゃダメ】

【必ず、誰かと一緒にいて?】

【もうミカは、傍にいれないからね?】





シン

「うん」






ミカ

【もし無理だったら、】

【いつでも帰っておいで?】







シン

「うん」





ミカ

【わかった?】

【”わん”は?】

【お返事は?】











シン

「わん」



























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