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不倫の神様  作者: 天狗
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39/69

LOG.39|声を聞かせて|Nice to meet you









「……ってば!」

「ちょっと!」

「ねぇってば!」








シン

「…っ」

「うっせぇな…」

「あ!」






俺は

慌てて起き上がった。




店舗のソファで

寝てしまっていた。



朝方に寝たのか、

いつ入眠したか記憶が無い。





目の前には

自分の店のスタッフ、

リナがいた。







リナ

「何してるのよ!」

「呑みすぎたの!?」

「もう開店時間ですよ!」





シン

「わりぃ!」

「やっちまった!」

「ありがと!」







俺は急いで

店舗の更衣室で着替えた。







リナ

「9時から予約入ってるので」

「私、対応しておきますね」

「9時半のお客様はお願いしますよ!」

「…ん?」





ブー



ブー







スマホが震えている。






リナ

「オーナー、電話」

「メイ…?って書いてある」






俺は

着替えを止めた。






今度は、

俺をどうしようってんだ……。






バタン!




更衣室から飛び出した。





リナ

「わ!びっくりした!」






スマホを掴んで、

そのまま店の裏口へ出た。







シン

『…はい』




ミカ

『会おうよ』




シン

『なんのつもり、』




ミカ

『ごめん』





シン

『お前…な、』






ミカ

『ごめん。』

『ごめんね。』






その謝罪は…

心からの言葉に聞こえた。








ミカ

『だから、さ、』

『”わん”って言って?』





シン

『……はぁ?』

『何言ってんだ?』





ミカ

『許してくれるなら、』

『”わん”って言って。』

『声を、聞かせて。』













シン

『…わん』













ミカ

『会ってくれますか?』

『私と』











シン

『わん』











ミカ

『シンさん。』

『はじめまして。』

『メイ、です。』





















「…っ!」





「ちょっと!」

「ねぇってば!」








シン

「…っ」

「うっせぇな…」

「あれ!?」




俺は

ガバッと立ち上がった。



時計は、8時50分。



俺は、

更衣室で目覚めた。



更衣室の椅子で、

座ったまま寝ていたようだ。






シン

「え!?」

「待って、あれ!?」




さっきと違う。



ソファじゃない。





リナ

「もう!」

「酔っ払ってんの!?」

「お客さん来ちゃいますよ!」






リナは怒りながら、

更衣室を出ていった。







シン

「くそ…!」

「どうなってんだ…?」




俺は、

急いで着替えた。







シン

「おい、リナ!」






更衣室のドアを

少し開けてリナに聞く。






シン

「俺のスマホ、」

「電話鳴ってないか!?」







リナ

「鳴ってないですよ…。」

「さっき電話してたでしょ…。」

「早く着替えてくださいよ…。」





シン

「さっき…電話…?」









リナの声が、

一瞬、遠くなった。


店内の音だけが、

やけに大きく聞こえる。









自分を、信用できなく、なってきた。








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