LOG.36|首輪に、棘を|Not, with you
プリクラの中で、
ミカとキスして落とされた俺は、
結局、ホテルに来てしまっていた……。
ホテルの部屋に到着して、
ミカは
すぐにベッドへダイブした。
そのまま、
クルッと仰向けになり、
手を広げた。
ミカ
「くっついて。」
「早く、くっついて。」
俺は
もうすっかり
ミカが愛おしかった。
がっついて
キスをしまくった。
そして
ワンピースに手を這わせると、
ミカ
「それは、無理」
シン
「…ん?」
ミカ
「無理。しないよ。」
「くっつくだけ。」
シン
「…は?」
俺は
ガバッと勢いをつけて
ワンピースを脱がそうとした。
ガンッ
ミカは肘を、俺の首に強く当てた。
シン
「う!」
「ゲホッ!ゲホッ!」
喉仏が破裂するところだった…。
加減ってもんを知らないのかよ…。
シン
「な…なんで?」
「なんで、しないの…?ゲホ」
ミカ
「性欲じゃないから。」
「ミカは、くっつきたいの。」
「くっついてキスしたいの。」
「そこから先は、汚いからしない。」
「服は、脱ぎたくない。」
ミカが、
何を言ってるか分からない。
でも
今この瞬間、
自分の状態を理解した。
自分は、
猛獣使いではないこと。
自分には、
女性経験が足りないこと。
自分は今、
罠にハマって生け捕りにされてること。
それと…
よく見たら、
ミカが心底嬉しそうなこと。
ミカは
顔を真っ赤にして
目を輝かせていた。
ミカ
「したかった?」
ワンピースを少しめくるミカ。
シン
「う、うん…!」
俺は
ゴクリと生唾を飲んだ。
ミカ
「したいなら、」
「”わん”って言って?」
シン
「わん」
俺は食い気味で答えた。
ミカ
「もっと。まだ足りない。」
シン
「……わん」
「わん、わん」
情けない、という感情は無かった。
ミカ
「もっと。」
ミカは
顔を真っ赤にして
自分の体を触り始めた。
ミカ
「…っ!」
「もっ……と!」
「たくさん言って……!」
シン
「わ、わん!」
「わん」
ミカの一挙手一投足が
俺の視界を支配していた。
ミカの、呼吸が響く。
はぁ……
はぁ……
シン
「……。」
はぁ……
はぁ……
それは、
人生で初めての経験だった。
目の前で美女が、
俺の声で興奮して、
自分の体を触っている。
映像が刺激的すぎた。
はぁ……
はぁ……
そして、我慢の限界。
俺はミカに飛びかかった。
だが…
拒絶。
シン
「ゲホ!ゲホ!」
ミカ
「学習しないのね…。」
右手の中指を、
ティッシュで拭きながら、
呆れるミカ。
ミカ
「邪魔されてイけなかった。」
「あと少しだったのに。」
「気分悪いから、帰る。」
「パーキングまで送って。」
シン
「…っ!?」
「はぁ?帰る…?ゲホ」
「ここまで来といて…?」
ミカ
「バーカ」
「あの時我慢できて…」
「なんで今日は無理なのよ?」
しゃがんで、
床にいる俺に顔を寄せるミカ。
ミカ
「アンタさぁ…」
「あの時、間違えたわね」
「あの日を逃したアンタとは、」
「一生、しないわよ。」
俺は絶望で何も言えなかった。
息が吸えないし、吐けない。
そんな俺を見て、
心底嬉しそうなミカ。
ミカ
「早くして。」
「早くアタシを…」
「元の場所に返して。」
荷物を持って
颯爽と部屋の出口へ
歩いていくミカ。
俺は…
その背中を情けなく追い、
仰せのままに、運転手となった。




