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不倫の神様  作者: 天狗
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28/69

LOG.28|ミカを連れていけ|Port





整体の数日後、


ミカから突然LINEが来たのは、

前触れもなく、深夜1時すぎだった。



ミカ

『ねぇ、シン~』

『月曜ひま〜?』

『デートして~』





シン

『空いてるよ!』

『でもダメだよデートは』

『整体なら、いくらでも!』






送信してから、

1秒後に既読がついた。







ミカ

『ふーんだ!』

『やーだよ!』

『じゃあさ…!』

『撮影のために牡蠣食べたい』

『だからミカを港に連れてけ』

『ミカ、牡蠣食べないと、やる気出ない』

『あ~やる気出ないなぁ~』





俺は、

画面を見ながら

深く息を吐いた。





シン

『それは困るね』

『じゃあ俺が牡蠣買ってくるよ』








本音は、


メイさん、

是非とも、デートしましょう!



と、返信してもいいくらいだったが

マスターとのことを考えると

そうもいかない……。






ミカ

『バーカ!童貞!』

『いいから連れてけ!』

『牡蠣を食わせろミカに!』






あぁ、なるほど……。


これは…多分…

牡蠣を食べる以外の

選択肢はないルートだ。








シン

『わかった、わかった』

『デートは今回だけね』

『約束して』

『で、家どこらへんなの?』








ミカ

『ふふ♡』

『やったー!』

『ここに迎えきて!』





ポンッと

位置情報が送られてきた。


コインパーキングだった。








シン

『なんでパーキング?』

『家の前まで行くよ?』






ミカ

『いーの』

『家の前はダメ』

『返事は、”わん”でしょ?』





シン

『俺は犬じゃないよ…』

『わかった、とりあえず行くね』





ミカ

『よし♡』

『わんちゃん偉いね♡』

『楽しみにしてる〜』






俺はスマホを伏せた。


少しだけ…鼓動が早くなっていた。









ーーー








月曜の昼前。


俺は、

コインパーキングで待っていた。


ミカが指定してきた場所だった。





家の前はダメ、 その理由は聞かなかった。





俺は、

そもそも他人に、

そこまで興味が無いんだ。


誰がどこで浮気しようが、

俺には、一切関係ない世界の話だ。







そんな事を考えていたら、



住宅街の影から、


ちょこんと

小柄なシルエットが現れた。


ミカだった。





ピタッとした黒のワンピ。


海沿いへ行くにしては

寒そうな格好だ。


寒くても自慢の美脚は出す。


ミカのポリシーなのかもしれない。





そして手には……

異常にデカいバッグ。


旅行?お泊まり?

どう見ても1泊2日のサイズ。








「ミカ、今日泊まるー!」


なんて…


言い出さないよな……?





…変な想像をした自分に、

鳥肌が立って、嫌な汗が出てきた。






ミカが

俺の車を見つけると、


パァーッと

笑顔になって駆け寄ってくる。



ミカが

助手席のドアを開けた瞬間、


車内にふわっと

”ミカの香り”が広がった。





ミカ

「お待たせ〜!」





シン

「あ、うん……」





ミカ

「よいしょ!おもっ!」





ミカが

バッグをドスッと後部座席に置く。



重そうだった。






ミカ

「じゃ、行こっか♡」






俺だけが損しそうな、

嫌な予感のするお出かけが始まった。









ーーー









車が走り出す。


港までは約1時間。


助手席のミカは

窓の外を見ながら

足をパタパタさせていた。




ミカは

俺の顔を一瞬チラ見すると、


不意に

肘置きに置いてる

俺の左手をキュッと握った。





シン

「あ、あ、ちょ…!」




ミカ

「楽しみだね〜♡」

「ねぇ、港ってどんな所〜?」





俺は、

とっても久しぶりに、

女の子と手を繋いだ。







シン

「……っ!」

「…まぁ、景色めっちゃいいよ」






ミカ

「ふふ♡」

「たのしみ〜!」

「あー早く牡蠣食べたい~!」






笑うと目がなくなる。




俺は、


ミカを

笑わせることに喜びを感じていた。



もちろん、恋では無い。



恋では無いんだ……。








ミカ

「ねぇ!」

「牡蠣食べたらさ、海も見たい!」

「近くで海が見たい!砂浜!」






シン

「やだよ、汚れるじゃん」

「メイさんだけ、海に置いてくね」

「歩いて帰ってきな!」






ミカ

「やだよ!」

「さいてー!」

「ケチ童貞!」






シン

「おい、違うって!」

「童貞じゃないって!」







そんなこんなで

キャッキャしながら


港までの1時間、

俺はずっと浮かれていた。



車は、港へ近づいていく。




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