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不倫の神様  作者: 天狗
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27/70

LOG.27|鳴かせてみせる|I want you.







ミカと、

バーで別れたその夜。


代行が運転する車の中で、

俺はずっとスマホを握りしめていた。






『さっきはありがとうございました』

と送った。






既読はつかない。



……何時でもいいって、


……寂しがりだからって、



言ってたのに……。




いや、いかん。


これは仕事だ。


別に、恋愛じゃない。


だから返信なんて、待つな俺……。




そう言い聞かせて、

風呂に入り、

ベッドに倒れ込み、

気絶するように眠った。






ーーー








翌朝、スマホが震えた。




ミカからのLINEだった。










ミカ

『昨日はありがとねー!』

『飲みすぎて顔むくむく~笑』

『シン、記憶無いでしょ?笑』







ゼロ秒既読で返信した。






シン

『ありますあります!』

『ところで……』

『動画構成についてですが』

『相談いいですか?』







すぐに返事が来た。








ミカ

『ねぇ、敬語やだ!』

『しかもさぁ!』

『なんですぐ仕事の話なの!』

『やだ!』






俺は画面越しに、ニヤけた。








シン

『ごめんね、わかったよ』






ミカ

『ふーんだ!笑』

『今日、会いにいっていい?』

『肩こり直して~?♡』






シン

『了解』

『昼間なら予約空いてるはず!』

『待ってるね』






俺は精一杯、

誠実な文章を心掛けた。


……俺なりの努力だった。








ミカ

『わーい!』

『会えるの楽しみだね!』







ミカは軽々しく、

爆弾をほおり投げてくる。


俺は、

爆弾を1個も避けれず

真正面から喰らっていた。






シン

『うん』





素っ気ない返信は

精一杯の強がりだった。











ーーー









ミカはLINEのあと、

本当に店に来た。






ミカ

「あぅ、気持ちいい~…」






シン

「めっちゃ固いね」

「スマホ触りすぎですよ」








…ん?


ミカがソワソワしてる気がする。


やけに足がパタパタしている。









…子供みたいだな。











最初は、

整体しながら軽い雑談だった。


ふいに恋バナへと流れた。






シン

「そろそろ、」

「彼女作らなきゃとは思うけどね…」





ミカ

「ねぇ、不思議なんだけど…」

「何で彼女いないの?」

「シン、優しいのに〜」

「ガチで童貞じゃないよね?」






シン

「まぁ…何でだろうね。」

「ちなみに童貞じゃないよ…。」

「やめてくれ…。」










ミカはうつ伏せのまま、


足をパタパタさせながら言った。










ミカ

「……ねぇ」

「ミカさぁ、」

「彼氏いらないんだよね〜」








シン

「え、なんで?」








ミカ

「だって彼氏って…」

「自由が無くなるじゃん。」

「束縛されたり、色々面倒でしょ?」

「形式ばった、あの関係値がイヤなの。」

「だからミカはね…」

「彼氏になろうとする人はキライ。」








シン

「まぁ…確かに……」










ミカ

「ミカは、犬がほしいの!」










シン

「……犬?」

「犬って犬?」








ミカ

「犬!わんちゃん!」

「ペットじゃなくて人間のわんちゃん!」

「ミカの言うこと聞いてくれる…」

「ミカだけのわんちゃん♡」

「束縛しない。」

「裏切らない。」

「いつも甘えてくれる…」

「ミカは…」

「そんな、わんちゃんと暮らしたいの。」








シン

「そ、そうなんだ……?」









俺は、あまり驚かなかった。




なんとなく…


そんな感じのこと、

言いそうな予感がしてたからだ。








ミカ

「ミカのわんちゃん……」

「どっかにいないかなぁ〜♡」










わざとらしく言う。





…本当に、子供みたいな人だ。











ーーー










施術が終わると、

ミカは気持ちよさそうに伸びをした。








ミカ

「ん〜!」

「めっちゃスッキリした〜!」

「ありがとう〜!」








シン

「い、いえ……!」








ミカ

「またLINEするね?」

「無視しないでよ?」

「すぐ返信してね?」








シン

「うん、すぐに返すよ」










ミカ

「……違うでしょ?」








急に不安そうな顔を見せるミカ。








シン

「え?」








ミカ

「“わん” は?♡」








ミカは

目が無くなるくらい

満面の笑みで聞いた。















シン

「言うわけないでしょ…。」

「ほら、次の人、来ちゃうから」

「メイさん、またね。」












ミカ

「え~」

「つまんないの~」

「いつか絶対言わせるからね」

「絶対、言わせる。」








そう言って、

くるりと振り返って

出口のドアの方へ向かう。






俺は、

その背中を見送りながら、

スタイルの良さに見とれていた。











ファーみたいなモコモコの服でも


ミカのスタイルは圧巻だった。












そう思っていると、







ドアの前でふいにミカが、

俺のいる方へ振り返った。








ミカ

「……あっ!」









突然なにかを、

思い出したように目を丸くして、

てててっと小走りで戻ってきた。




そのまま俺の胸に、

ふわっと抱きつこうとした。




が、


回避。




ひょいっ








シン

「…ダメだよ、それは。」








ミカ

「いいじゃん別に!」






もう一度、

抱きつこうとしてきた。




何回やっても同じだ。





また、




回避、







がしっ




ぎゅう~





…失敗して捕獲された。






ぎゅっと掴んで、

離れてくれない。




うーん…困った。





ミカ

「胸板もふもふ〜♡」

「……これ、好き〜」








俺は、チビの割に

ベンチプレスを100近く上げる。


胸板だけは自慢だ。












ミカ

「…ただいま。」





お、おい!



そんな事言うなよ!


なんだそりゃ!








シン

「………っ。」









ミカは、離れた。










ミカ

「じゃ、またLINEするね。」

「わんちゃん、すぐ返してね?」








シン

「犬じゃないよ俺…。」

「LINEは返すから安心して。」

「またね、気をつけて。」








ミカ

「ふふ♡」

「またね〜」








俺は

ギリギリの…


ほんとにギリッギリのところで、

理性を保っていた。





大丈夫……。


これは、仕事……。



まだ会って2回目だ…。


懐かしいのは気のせいだ…。



仕事だ……。





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