LOG.22|久遠の女王|Don't touch me
フォレストに到着し、
急いで部屋に向かった。
部屋に入るとミカは、
薄明かりの窓際の椅子に、
静かに座っていた。
黒いワンピに薄い白の上着。
黒のワンピは
ミカの正装であり、戦闘服。
脚を組んで、
頬杖をつきながら、
退屈そうに俺を待っていた。
ミカ
「ここで会うの、久しぶりだね」
そう言ったミカの顔は、
相変わらず世界一美しくて、
ホテルの部屋の中の
空気が止まる感覚があった。
シン
「ミカ、俺、」
ミカが手のひらを俺に向ける。
ミカ
「待って。」
「先に言っとく。」
「今日はしないからね。」
「お別れを言いたかっただけ。」
「改めて、ちゃんと。」
シン
「えっ」
ミカレプリカ相手だったら…
ここで止まるなんてありえない。
それは俺が、選ぶ側だからだ。
だけど、本家ミカは別だ。
光の強さが違う。
存在の鋭さも、
空気の密度も違う。
ミカだけは、
ずっと特別で、
ずっと神、だった。
不倫では到底味わえない、
スリル満点、完璧美少女。
ミカこそ、
”不倫の神様”なんだ。
俺は…凡人だ。
ミカ
「彼氏いなかったらね~」
「してた…かもね。」
「ま、アタシ彼氏いるからさ。」
「今日はゴロゴロしよ?」
「ね?」
そう言ってミカは、
立ち上がって、
ん~!っと伸びをした。
…彼氏。
体全身に
硫酸ぶっかけられたような感覚だった。
顔に出たらしく、ミカがすぐに笑った。
ミカ
「ぷ!あはは!」
「わっかりやすい!」
「あ、触らないでね!」
「触ったらもう会わないし。」
「彼氏にも事務所にも言うよ?」
「無理やりでした。ってね。」
「ふふ…。」
嬉しそうだな、ミカ。
でも、これが、ミカだ。
このわがままも、自由さも、
愛情の形が歪んでるところも、
ひとつ残らず、本家ミカ。
何も変わってないことに、
俺は逆に安心した。
ミカ
「………。」
急に、なにやら考えこむミカ。
嫌な予感はしている。
ミカは
顎を触った推理ポーズのまま、
視線を落とし、
しばらく黙った。
ミカ
「やっぱ…」
「それじゃつまんないか…。」
そう呟いて、
ミカは
ゆっくり白い上着に手をかけた。
薄手の上着を、
肩から滑らせるみたいに脱ぐ。
彫刻のように完成された体が、
ホテルの薄暗い照明に照らされ、
美しくコントラストされる。
ミカ
「アタシから触るのはアリね。」
「ねぇ、わんちゃん…」
「今度こそ期待を裏切らないでね?」
「ちゃんと我慢して?」
「…できるでしょ?」
シン
「わん。」
俺はまた、
ミカへ戻ってきてしまった。
やっぱり俺は…
貴方無しでは、この先、難しい。
だから、
貴方に出会えて嬉しい。
神様のような、貴方。
そんな貴方が本当に好きです。
ミカ様の、仰せの、ままに。




