LOG.15|煙の中|Are you happy?
2号機を沼らせてしまったあと、
そこから先は、連鎖した。
2号機は毎週、
俺のアパートに来るようになっていた。
そんなある日、2号機が言った。
2号機
「ねぇ、シン。」
「うちの友達、呼んでもいい?」
「その子もレスでさ…」
「新婚なんだけど…」
「同棲からずっとレスで…」
「溜まってるらしくてさ…」
「ね、いいでしょ?ね?」
シン
「あー。そうだなー。」
2号機
「ねぇってば!」
「聞いてる!?」
シン
「あー。」
うるせぇ、バカが。
俺様は今、とても忙しい。
天井を見ながら、
ミカのことを考えてる。
2号機の話は、
興味無いから、
テキトーに軽く聞き流してた。
けど来た。
本当に来た。
しかも、また、不倫。
玄関を開けた瞬間、
地雷って2秒でわかった。
年齢は30歳で元キャバ嬢。
整形バキバキのツインテール。
だけど、
妙に愛嬌があった。
笑うと
子どもみたいに無邪気だった。
3号機
「あなたがシンくん?」
「はじめまして~、おじゃま~」
「ノド乾いた〜無理すぎ~」
と言って
勝手に冷蔵庫から
エナドリを取り出す。
シン
「お、おい…」
足で冷蔵庫の扉を
バンッと閉めて
ダル着を脱いで
キャミ姿になる3号機。
そして勝手に、
タバコを吸い始めた。
完全に自由人。
2号機
「ね、ね、」
「私もエナドリ飲んでいい?」
下から覗き込むように
俺に聞いてくる2号機。
シン
「はぁ……。」
「好きにしろ…。」
めんどうなことになった…。
気づけば3人で
ダラダラ話しながら
そのまま夕方になった。
その日を境に、
俺のアパートは
アラサー人妻のたまり場に変わった。
ーーー
2回目に集まったとき、
3号機が
コンビニ袋をぶら下げてやってきた。
3号機
「シンくん、これ知ってる?」
「セブンスターじゃなくて、」
「セヴァンスターってやつ。」
「ちなみに合法だから安心して!」
シン
「ほう…!」
「完全にジョイントじゃん…!」
「面白そうだな…!」
退屈な俺には、
最高の刺激だった。
自慢じゃないが、
俺だって別に…
ド真面目、健全、
だけで生きてきたわけじゃない。
昔、悪い先輩がいて、
合法の草は見慣れていた。
セヴァンスターを吸った瞬間、
世界がフワッ…と傾いた。
なかなか、悪くなかった。
3号機
「ね?どう?」
「やばいでしょ〜?♡」
「これに酒とエナドリぶち込むの♡」
シン
「なんか…ぷ!はは!」
「勝手に笑っちゃう!ははは!」
2号機
「えー楽しそう!ウチもやる!」
3号機
「皆でハッピーハッピーしよ~♡」
ハッピーハッピーして、
首絞めて、
酒飲んで、
この、大人の遊びが
完全にテンプレ化していた。
ーーー
3人でアパートに集まるたびに、
床にはピザの箱。
テーブルは
エナドリ缶とスト缶で埋まり、
机の端には例のセヴァンスター。
外から見たら
完全にアウトな光景だけど、
当時の俺はそれが救いだった。
白昼夢みたいな時間が続く。
しかし、忘れちゃいけないのが
全員、人妻なこと。
つまり、夜には帰る。
夜は…結局独りだった。
独り、は、嫌だ。
ーーー
そして……。
当然、
そんな生活をしていたら…
仕事への意欲なんて
薄れていくに決まってる。
現にこの時点で俺は、
もう仕事する気が
ほぼ無くなっていたので
予約をブロックして
昼間からアパートに帰っていた。
アパートに帰れば高確率で
2号機か3号機か誰かしら、
勝手に部屋にいた。
堕落していることにすら
気づけないくらい楽園だった。
そして、
次は、4号機。
地獄は、まだ、連鎖していく。




