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不倫の神様  作者: 天狗
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14/70

LOG.14|誕生|The Birth of a God








ミカがいなくなった。


LINEは消され、

既読すらつかない。


電話も繋がらない。









連絡…

帰ってくるよな…絶対…。



あの時みたいに…。







でも、

いくら待っても帰ってこない。


焦りと絶望が一周して、

やがて意味不明な思考に辿り着く。








…稼げば、帰ってくるんじゃないか?






街で目立つほど稼げば、


“きゃーシンすごーい” って


ミカのことだから、

何食わぬ顔で帰ってくるはずだ。






そうだ!

そうに違いない!



ミカが帰るまでに代用品を探して、

代用品で我慢すればいっか!









ーーー










「ミカが欲しがる男になる」







その一心で

ビジネスを猛勉強した。





そんなアホな思考なのに

本当に店は伸びていった。





今まで手取り30万だったのが、

気づけば 120万 に届いていた。







…だが努力は、ミカには届かない。




代用品も見つからない。



クソ、退屈だ…。





ミカが、

本当に帰ってくるのか

分からない不安と


「俺は一体なんのために?」

という感情が


順番に襲ってきて、

そろそろ耐え難いものがあった。






その反動は、

ある日突然、性欲の爆発となった。









その日、なんとなくスマホで

高級メンズエステ、と検索した。






気晴らしのつもりだった。


近辺のエリアで

1番高いメンズエステを見つけた。




60分の料金は、


温泉旅館へ

家族旅行できるくらいの値段。




安かろう、悪かろうだからな。


絶対、

高いほうがいいに決まってる。






スクロールしていたら、

目に入った名前があった。










ミカ










もちろん本人じゃない。


顔も違う、雰囲気も違う。





せめて名前だけでも。






そういう、情けない気持ちで指名した。








ーーー







部屋に通されて会った「ミカ」は

普通に綺麗で、

普通に優しい女性だった。



身長は俺と同じくらいで、

おかっぱみたいな、

ぱっつん前髪のショート。



顔は、

朝ドラ女優のように透明感抜群だった。






全然、本家ミカとは違う。


でも、違うからこそよかった。



施術が始まって少しした頃、

彼女が聞いてきた。






セラピ

「メンズエステってさぁ」

「彼女にはなんて言って来るの?」

「嘘つかなきゃ来れないよね?」






それは軽い雑談のつもりだろうけど、

俺にはちょっと刺さった。






シン

「…彼女いないよ」






セラピ

「え!? 」

「その若さで…!」

「ここに来れる経済力あるのに…?」






すごく素で驚かれた。




つい気分が乗ってしまった。







シン

「彼女…いらないんだよね。」

「形式ばった…」

「あの関係値が…」

「イヤなんだよね。」

「だから、犬になりたい」






セラピ

「……犬?」






シン

「なんでも言うこと聞く犬。」

「呼ばれたら行く。欲を叶える。」

「なんでもハイハイ言うこと聞く…」

「そんな犬がいい」






俺はうつ伏せのまま、

少し、足をパタパタさせた。






ミカ…元気かなぁ。







正直、

カラッと笑われて終わると思った。




でも、

セラピは一瞬ポカンとしたあと、

なぜか笑わなかった。


代わりに、

少し息を飲んでからこう言った。





セラピ

「…それさ、既婚者でもいいの?」







シン

「え?」








セラピ

「私、既婚者なの。」

「でも旦那がレスでさ…。」

「だから、ここで働いてる」

「旦那が15個年上でね…」

「若い子とヤりたくても…」

「独身のジジイしか寄ってこなくてさ…」

「ちょうど退屈してたんだよね。」






退屈…ね。



俺もそうだ。



退屈、なんだよな。






その告白が、

やけに生々しかった。


そして、

自然な流れで彼女が言った。







セラピ

「LINE…交換しない?」

「割り切りで会おうよ」






代用品が、見つかった。







ーーー








交換した翌日の昼。


LINEがきた。







セラピ

『今日ひま?』

『アパート、行っていい?』







その後。


俺のアパートの前に

彼女が立っていた。





部屋に入った瞬間、

昨日の施術のときより

明らかに距離が近かった。





そこからの流れは早かった。




そして、首絞め。




最初は怖がってたのに、

途中からスイッチが入った。




セラピ

「……すご…ゲホ」

「首絞め…こんなにイイの…?」







想像以上にチョロかった。



そこから完全にハマった。





彼女は、

首絞めに依存していった。





何度も何度も

痙攣しては絶頂していた。








それにしても…



初めての経験で、

少し思ったことがある。




人によって

首の感触が違う…。











ミカの首しか、






気持ちよくない。








早くミカの首を絞めたい。







ーーー








気づけば夕方まで求め合っていた。


何時間、

2人で くっついていただろう。







こうして、

ミカがいなくなった後に生まれた、


ミカ2号機。




つまり、

ミカのレプリカが誕生した。





これが初めての、不倫。





不倫って…楽しいな。




退屈しのぎにちょうどいいや。



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