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不倫の神様  作者: 天狗
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12/70

LOG.12|頑張ってるのかな?|Capsule






ミカに命令されて、


ミカの首を絞めた。



そんな刺激的な夜の数日後、

突然ミカからLINEがきた。







ミカ

『シン、迎えに来て。』

『出かけるよ~』













行先はひとこと。




『団地の公園』




それだけだった。





…理由なんて聞かない。




ミカに呼ばれたら行く。


それだけだ。









ーーー









迎えに行くと、

その日はやけに機嫌がよかった。





ミカが

車のドアを開け、

”ミカの香り”が車内に広がる。




ガチャ





ミカ

「やっほ!」

「ねぇねぇ、ドライブしよ〜」

「ちょっと遠いけど、いい?」





シン

「もちろん。」

「あ、わん。」

「…ん?」





よく見ると、

ミカが小さなスコップを持っていた。



子供用の、おもちゃのスコップ。






シン

「なに、それ?」

「何に使うの?」






ミカ

「うふふ♡」

「ひ、み、つ♡」






毎度のことながら、

ミカの考えることは、

俺には全く分からない…。






ミカ

「運転がんばってね、わんちゃん」





スコップを座席の下へ、

ぽいっと投げて、


タプタプと

スマホでナビを調べるミカ。






手が小さいから、

スマホ操作が両手だ。



愛おしすぎる…。






ミカ

「団地はね、ここから1時間半くらいかな」

「よし、出発~!」






足をパタパタするミカ。






ミカ

「大いなる旅の始まりよ!」

「あ、途中でコンビニ寄って!」

「コーヒー飲みたい!」







このテンションのミカは…


色々と嫌な予感がする…









片道1時間半。


道中は

どうでもいい話をしていた。


テレビの話、

モデル撮影の裏話、

好きな曲の話、

SNSの話…


たわいの無い会話が楽しかった。






ふと、地元の話になった。




ミカ

「わんちゃんはさ、」

「休みに地元帰らないの?」





シン

「帰らないかなぁ」




ミカ

「友達に会わないの?」

「パパは?ママは?」




シン

「…友達、か。」

「友達は、縁を切った。」

「ニートとか詐欺師とか……」

「ろくな連中じゃなかったから」

「地元を出て開業したのも、」

「その理由が大きかったりする。」





ミカ

「……」




シン

「ここにいちゃダメになるって、」

「本能で感じたんだ。」

「だから1人を選んだ。」

「でも正解だ!」

「この街で経営者仲間も出来たし!」

「この街で開業したから、」

「ミカにも会えたわけだし!」

「ミカと出会えて嬉しい!」





ミカ

「…そっか」

「ありがと」




シン

「で、親は、」

「俺めっちゃ嫌いで、」

「もう10年くらい、」




ミカ

「もう、わかったよ」

「もういいよ。」

「わんちゃん、頑張ったね。」





助手席から、

俺の頭を撫でるミカ。



そのタイミングで

信号に捕まった。



ふとミカの顔を見たら、


母性に溢れた、

とっても優しい顔をしていた。






そんなミカに、

「頑張ったね」と言われると、




俺…


頑張ってる…のかもしれない。







そう思えるから不思議だ。








…思えば、遠くへ来たもんだ。




開業した場所は、地元から片道2時間。



知らない街で、誰にも頼らず、ここまで、




ミカ

「わんちゃん。」

「青だよ。」




…全然気づかなかった。



信号が変わってた。



ミカが手を離す。






ミカ

「…ゲームしよ!」

「しりとり!」

「りんご!」






シン

「………。」

「ぷ、はは!」

「不器用だなぁミカ~!」





ミカ

「い、いーの!」

「ほら早く!」

「りんご!」




俺は、改めて感じた。



不器用で、ナルシで、

優しくて、エロくて、

可愛いミカが大好きだ。




そんなこんなで、

団地へ到着した。







ーーー








着いた先は、

想像よりも古い団地だった。


お世辞にも

綺麗とは言えない団地。




その中に小さな公園があった。


そこにミカは用事があるという。


遊具は、かなり錆びていて、

すみっこに木が生えていた。






ミカ

「懐かしい…」





大きな木のほうへ歩くミカ。



俺はミカの後ろへ、

ついていく。






ミカ

「この木…」

「この木の下にね、カンカン埋めたの…」

「タイムカプセル……。」

「もう、10年前…だなぁ。」







シン

「10年前ってことは…」

「ミカ10歳?」








ミカ

「そ。」







シン

「へぇ…。」






ふと横目で

俺の表情を見るミカ。







ミカ

「…想像したら可愛いでしょ?」

「10歳のミカ♡」








片足をぴょこっと上げて、

アイドルポーズをするミカ。


可愛すぎて

アゴ外れちゃうところだった。


危ない危ない。





アゴ外れてて忙しい俺に、

ミカはスコップを渡してきた。





ミカ

「はい♡」





シン

「え?」






ミカ

「掘りましょう!」

「タイムカプセル!」






目をキラキラさせてミカは言った。


当然のように、

掘るのは俺だった。




ここ掘れワンワン、ってか。






ミカはベンチに座って、

コンビニのアイスコーヒーを

ちゅーっと飲んでいる。




俺は木の根元あたりを、

ひたすら掘った。






が…




30分たっても土。



土の感触しかこない。








シン

「…ほんとにこの辺?」








ミカ

「このへん〜。」

「がんばれ〜。」






足をパタパタさせながら、

笑って応援してくる。





1時間経っても、

スコップの先に何も当たらなかった。








飽きた。


つまんなくてゲロ吐きそう。









シン

「…ミカ。」

「多分ないよ、これ。」








ミカ

「そっか〜。」

「じゃ、いっか。」






じゃ、いっか。


俺の手は泥んこ、

服も土まみれ。


片道1時間半かけてきて、

掘って、何も出ない。









ミカ様だから許される行為だ。









ーーー









そして、ミカは機嫌がいい。



タイムカプセルは無かったのに、


何故か

異常に機嫌がいいミカ様。






ミカ

「今日はありがと、シン。」

「なんかスッキリした〜」






オンボロな水道で

手を洗う俺の横に


ちょこんと

しゃがみこんで言うミカ。






スッキリの意味は

全然分からないけど…


それはそれでいいか、と思った。






と思った次の瞬間、

俺のスマホに地獄の着信が届く。






ピリリリリリ








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